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元ラガーマンおっさんとモフモフ子狼の異世界飯!~クラフトスキルで始める、食いしん坊開拓物語~  作者: はぶさん


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第37話:清らかな恵み!携帯用濾過器と森の探索


ユウキは石釜の残り火の温かさに包まれ、ゆっくりと目を覚ました。隣にはルークが、胸元に顔をうずめて穏やかな寝息を立てている。少し離れた場所では、モフモフ草食竜がまん丸くなって眠っていた。


「よしよし、ルーク。モフモフも。おはよ。今日も一日、頑張るか!」


優しく頭を撫でると、ルークは「クゥン」と小さく鳴き、体を伸ばした。モフモフ草食竜も、ユウキの声に反応してクリクリとした目を開け、「キュルル……」と小さく鳴いた。朝一番の仲間たちとの触れ合いは、ユウキにとって何よりの癒やしだ。


「なぁ、ルーク。モフモフも。お前たち、森を歩き回って喉がカラカラになった時、どこでも安心して飲める水があったら最高だと思わないか?」


ユウキが問いかけると、ルークは「ワフッ!」と力強く一声上げ、モフモフ草食竜も「キュルルルル!」と全身の毛を逆立てて喜んだ。安心できる水という言葉に、二匹とも期待で胸を膨らませている。モフモフ草食竜は特に水場が好きだから、安全な水は彼にとっても嬉しいことだろう。


「そうだろう? 今までは拠点の水を持ち出したり、きれいな水源を探したりしてたけど、もっと遠くまで探索に行くことを考えると、やっぱり安全な水は大事だよな」


ユウキは頷きながら、今日のクラフトを頭の中で組み立てる。これまでのクラフトで洞窟の拠点は完璧に整った。石釜、燻製器、冷蔵庫に調理台、麺棒や臼、そして発酵容器まで。食に関する基盤は万全だ。だが、肝心なのは「外での活動」の安全性と快適性だ。


「よし、決めた! 今日は、**『簡易的な濾過器』**をクラフトするぞ!」


ユウキが宣言すると、ルークとモフモフ草食竜は目を輝かせた。


「これがあれば、森のどんな水源からでも、安心して飲める水が手に入るんだ。ルーク、お前ももっと喉を潤せるし、モフモフも美味しい水を飲めるようになるぞ!」


ルークは「ワフフン!」と鼻を鳴らし、モフモフ草食竜は「キュルルル!」と可愛らしい声で応える。


「それに、料理に使う水ももっと綺麗になって、出汁の味も格段に上がるはずだ。最高の出汁で、お前たちに美味いもん食わせてやるからな!」


ユウキは、まるで少年のような笑顔で言った。必要な素材は、水を効率的に濾過できる特定の**植物の繊維**、微細な不純物を取り除く**細かな砂**、そして吸着作用のある**炭に加工できる木材**だ。ユウキの脳裏には、森の湿地帯に生える**「水流草すいりゅうそう」**、特定の川底に堆積する**「浄化砂じょうかざ」**、そして焼くと上質な炭になる**「炭化木たんかぼく」**の姿が浮かび上がる。これらは全て、この「嘆きの森」で手に入る天然の素材だ。


早速、クラフトに取り掛かる。ルークとモフモフ草食竜も、ユウキの隣にちょこんと座り込み、キラキラした目で作業を見守る。


「まずは、水流草を編んで、粗いフィルターを作るぞ」


ユウキは器用に水流草の繊維を編み込んでいく。指先がまるで魔法のように動き、丈夫で水を通す層が形になっていく。ルークはユウキの手元をじっと見つめ、モフモフ草食竜は「キュルル?」と小首を傾げながら、水流草の新しい匂いを嗅いでいる。


「次は、浄化砂だな。これをきれいに洗って、フィルターの層にするんだ」


ユウキが浄化砂を清める間、ルークは興味津々に砂の匂いを嗅ぎ、「クンクン」と鼻を鳴らす。モフモフ草食竜は砂がサラサラと音を立てるのを不思議そうに聞いている。


「そして、炭化木だ。これを焼いて、最高の炭を作るんだ!」


ユウキが炭化木を加熱すると、微かに香ばしい匂いが漂う。モフモフ草食竜は「キュルル!」と喉を鳴らし、その匂いに惹かれたのか、ユウキの腕に頭をこすりつけてきた。


「こらこら、お前たち。これはまだ飲み物じゃないぞ。でも、これができれば、どんな森の奥でも、安全で美味い水が飲めるようになるんだからな!」


ユウキが笑いながら言うと、ルークは「クゥン」と小さく鳴き、モフモフ草食竜も「キュルル!」と嬉しそうにしっぽを振る。二匹はユウキの足元でじゃれつき、時折、完成していく濾過器に鼻を近づけては、新しい匂いを嗅ぎ分けている。その無邪気な様子に、ユウキは自然と口元が緩む。彼らが快適に過ごせるよう、ユウキは常に最善を尽くしたいと考えていた。


カシュン、カシュンと、素材が合成されていく音が響く。ユウキの魔力が素材に流れ込み、加工が進む。やがて光が収まると、ユウキの目の前に、見た目は素朴だが、機能性抜群の**手作りの簡易濾過器**が完成していた。手のひらに収まるほどの筒状で、上部には水を注ぐための開口部があり、下部には濾過された水が出てくる小さな口がある。内部には、水流草、浄化砂、炭の層がしっかりと組み込まれており、見た目にも機能的だ。


「うおお! できた! これが俺たちのポータブル浄水器だ! ルーク、モフモフ、見てみろ!」


ユウキが完成したばかりの濾過器を二匹に見せると、ルークは興奮したように立ち上がり、濾過器の匂いを嗅いで「ワフッ!」と一声上げた。モフモフ草食竜も、ユウキの足元にまとわりつき、クリクリした目で濾過器を見上げている。


「ワフッ! ワフッ!」

「キュルル! キュルル!」


二匹は喜びの声を上げ、ユウキの周りを跳ね回る。ユウキはその仕草に、思わず二匹をまとめて抱き上げ、頭を優しく撫でてやった。ルークはユウキの腕の中で嬉しそうに尻尾を振り、モフモフ草食竜はユウキの肩に頭をすり寄せる。


「よしよし、そんなに喜んでくれるのか。じゃあ早速、試してみるか!」


ユウキは洞窟の外に出て、近くの小川から少し濁った水を汲んできた。濾過器の上部に水を注ぐと、内部の層をゆっくりと水が通り抜けていく。そして、下部の口から、キラキラと輝くほど透き通った水が滴り落ちてきた。


「おお! 見ろ、ルーク、モフモフ! この通り、透き通った水になったぞ!」


ユウキは、その透明な水を掌に溜めて二匹に差し出した。ルークは警戒しながらも、ユウキの掌から水をペロペロと舐めた。その澄んだ味に驚いたのか、もう一口、もう一口と、満足そうに水を飲んだ。モフモフ草食竜も、ルークの様子を見て安心してか、恐る恐るユウキの掌に鼻を近づけ、ごくごくと水を飲み始めた。その愛らしい姿に、ユウキの心は温かくなった。


「ワフッ! ワフッ!」とルークがしっぽを振る。

「キュルルルン!」モフモフ草食竜も嬉しそうにユウキに擦り寄る。


「よしよし、美味いか? これで、森の奥まで行っても安心だな。さあ、明日はこの濾過器を持って、新しい食材を探しに行くぞ! どんな珍しいもんが見つかるか、楽しみだな!」


ユウキは濾過器を携帯用簡易調理セットの横に大切にしまった。これで、どんな場所でも安心して水分補給ができる。明日の探索と、そこで見つけるであろう新しい食材、そしてそれを使って作る料理が今から楽しみで仕方がない。ルークとモフモフ草食竜も、ユウキの隣で、いつも以上にワクワクした様子を見せている。


「なぁ、お前たち。明日は、もっと遠くの森に行くぞ! 新しい発見があるかもしれないな! 楽しみにしてろよ!」


ユウキがそう言うと、ルークは「クゥン」と短く鳴き、モフモフ草食竜も「キュルル……」と喉を鳴らした。まるで「うん、楽しみだね!」と言っているかのようだ。彼らはユウキの言葉に耳を傾け、冒険の予感に瞳を輝かせている。ユウキは、そんな彼らの信頼に応えるべく、これからもこの異世界で、最高に美味しい料理と、安全で快適な生活を追求していくことを心に誓った。


一日の終わりに、石釜から放出される穏やかな熱を感じながら、ルークとモフモフ草食竜の頭を撫でる。二匹はユウキの腕に顔をこすりつけ、小さな寝息を立てている。次は何をクラフトしようかと考える。濾過器を持っての探索が楽しみだ。新たな食材を見つけたら、**その食材に特化した調理器具**や、**新たな保存方法**が必要になるかもしれない。


「よし、明日は、この洞窟での生活をさらに充実させるための、あれをクラフトするぞ!」


ユウキは仲間たちの温もりを感じながら、次なるクラフトに期待を膨らませ、静かに目を閉じた。


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### 連載スケジュールについて


**おっさん・ユウキとルークの異世界開拓記、いよいよ本格始動!**


この物語は、**2025年7月28日(月)より、毎日連載をスタートします!**


* **2025年7月27日(日)までに、第1話から第20話までが公開済みです。**

* **第21話以降は、7月28日(月)より順次公開いたします!**


今後の公開スケジュールはこちら!


* **平日(月~金):朝と晩に1話ずつ公開**

* **週末(土~日):朝・昼・晩に1話ずつ公開**


読者の皆さんの応援や反響次第で、公開ペースをさらに増やすことも検討してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


**ユウキとルークの異世界開拓記、ぜひお楽しみください!**


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