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元ラガーマンおっさんとモフモフ子狼の異世界飯!~クラフトスキルで始める、食いしん坊開拓物語~  作者: はぶさん


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第29話:ふわふわの誘惑!簡易蒸しパン製造器


翌朝。ユウキは、洞窟に設置された石釜の残り火の温かさに包まれながら目を覚ました。ひんやりとした洞窟の空気も、石釜のおかげで以前よりずっと過ごしやすくなっている。隣ではルークが、ユウキの胸元に顔をうずめて、穏やかな寝息を立てている。その少し離れた場所では、モフモフ草食竜が、丸まって静かに眠っていた。


「よしよし、ルーク。モフモフも。おはよ。今日も一日、頑張るか!」


優しく頭を撫でてやると、ルークは「クゥン」と小さく鳴いて、体を伸ばした。モフモフ草食竜も、ユウキの声に反応して、クリクリとした目を開け、小さく「キュルル……」と鳴いた。朝一番の仲間たちとの触れ合いは、ユウキにとって何よりの癒やしであり、この「嘆きの森」での日々を充実させる原動力となっていた。


**今日一日でクラフトできるのは一つだけ。** 洞窟の拠点では、石釜、蒸し器、燻製器、麺棒と板、泡だて器、コーヒーミル、手作りの食卓と椅子、携帯用簡易調理セット、粉ふるい器、手動式製麺機、簡易食品乾燥機、香辛料粉砕器、そして昨日完成した搾油機といった調理器具や食器が揃い、塩、醤油、果実酒、樹液糖、味噌、仕込み中の酢といった調味料も充実してきた。食に関する基盤は完璧に整い、食卓はあらゆる味覚と食感で豊かになった。しかし、ユウキの頭の中には、**「この上質な粉と豊かな甘味を活かして、もっと手軽に、ふわふわで甘い菓子類を作りたい」**という新たな欲求が湧き上がっていた。石釜で焼くパンとは違う、蒸し料理特有の優しい食感が恋しくなったのだ。これは、まさに「調理器具」であり、粉の「加工」にも関連する、食のバリエーションを広げる重要な一手となる。


「なぁ、ルーク。モフモフも。お前たち、甘くてフワフワの、まるで雲みたいなパンって食ったことあるか? あれ、美味いんだぞー!」


ユウキが問いかけると、ルークは「ワフッ!」と興奮したように一声上げ、モフモフ草食竜も「キュルルルル!」と全身の毛を逆立てて喜んだ。甘くてフワフワ、という言葉に二匹とも期待で胸を膨らませている。


「ああ、もちろん! これがあれば、蒸し器を使って、あっという間にそんな菓子が作れるんだ。特にモフモフ、お前、甘いもの好きだもんな? だから、今日は……**『簡易的な蒸しパン製造器(型)』**をクラフトするぞ!」


これで、ユウキは精製した粉と樹液糖を使い、複数の蒸しパンや蒸し菓子を同時に効率よく作れるようになる。油を使わないため、ヘルシーで、朝食やちょっとしたおやつにも最適だ。必要な素材は、熱に強く、蒸気を通しやすい特定の石、または熱に耐える植物の繊維だ。ユウキは、多孔質の軽量な石材が蒸気を通しやすく、かつ熱を保持する特性に目をつけた。これら全て、この「嘆きの森」で手に入る天然の素材だ。


早速、クラフトに取り掛かる。ルークとモフモフ草食竜も、ユウキの隣にちょこんと座り込み、目をキラキラさせて作業を見守っている。ユウキはまず、選りすぐった多孔質の石材と、熱に強い植物の繊維を選び出す。頭の中で**「簡易的な蒸しパン製造器」**の設計図が浮かび上がる。これは、石釜の蒸し器にセットできる、複数段の棚と、そこに置く小さな型からなる。


ユウキは、必要な素材を揃え、クラフトのスキルを発動する。手元の石材が削られ、滑らかな型に変わっていく。植物繊維が、網目状の棚へと合成されていく。カシュン、カシュンと、素材が合成されていくような音が微かに響く。スキルを使うユウキの手は澱みなく動き、まるで魔法のように素材が新たな形を成していく。ルークとモフモフ草食竜は、その光景を不思議そうに、しかし真剣な眼差しで見つめている。モフモフ草食竜は、時折「キュルル……?」と小首を傾げ、ユウキの作業を見守った。


「こらこら、お前たち。これはまだ食べられないぞ。でも、これができれば、フワフワで甘いもんが、一度にたくさん作れるんだからな!」


ユウキが笑いながら言うと、ルークは「クゥン」と小さく鳴き、モフモフ草食竜も「キュルル!」と嬉しそうにしっぽを振った。まるで「早くフワフワを体験したい!」と言っているかのようだ。


ユウキの魔力が素材に流れ込み、加工が進む。やがて、光が収まると、ユウキの目の前に、見た目は素朴だが、機能性と実用性を兼ね備えた**手作りの簡易蒸しパン製造器(型付き)**が一つ、完成していた。数個の型がセットできる棚があり、蒸し器にぴったり収まるサイズだ。


「うおお! できた! これが俺たちの蒸しパンメーカーだ! ルーク、モフモフ、見てみろ!」


ユウキが完成したばかりの製造器を二匹に見せると、ルークは興奮したように立ち上がり、クンクンと匂いを嗅いだ。モフモフ草食竜も、ユウキの足元にまとわりつき、クリクリした目で製造器を見上げている。


「ワフッ! ワフッ!」

「キュルル! キュルル!」


と、二匹は喜びの声を上げ、ユウキの周りを跳ね回る。その仕草に、ユウキは思わず二匹をまとめて抱き上げて、その頭を優しく撫でてやった。


「よしよし、そんなに喜んでくれるのか。じゃあ早速、明日はこの製造器で、とびきり甘くてフワフワの蒸しパンを大量に作ってやるか!」


早速、蒸しパン製造器を洞窟内の蒸し器の横に置く。今日の料理は洞窟の食卓で済ませるが、明日からの蒸しパン作りが今から楽しみで仕方がない。ルークとモフモフ草食竜も、ユウキの隣で、いつも以上にワクワクした様子を見せている。


「なぁ、お前たち。明日は、朝から甘いフワフワが食えるぞ! 楽しみにしてろよ!」


ユウキがそう言うと、ルークは「クゥン」と短く鳴き、モフモフ草食竜も「キュルル……」と喉を鳴らした。まるで「うん、楽しみだね!」と言っているかのようだ。


簡易的な蒸しパン製造器の完成は、ユウキの異世界生活における「食のバリエーション」と「手軽なおやつ作り」を、新たな次元へと引き上げた。これで、甘くて優しい食感の料理を、より効率的に楽しめるようになる。この「嘆きの森」での生活は、ルークとモフモフ草食竜というかけがえのない仲間と共に、ますます豊かで充実したものとなった。


一日の終わりに、石釜から放出される穏やかな熱を感じながら、ルークとモフモフ草食竜の頭を撫でる。二匹はユウキの腕に顔をこすりつけ、小さな寝息を立てている。次は何をクラフトしようかと考える。甘味を活かせるようになったことで、**より複雑なデザートや、飲料の加工**も面白そうだ。


「よし、明日は、この洞窟での生活をさらに充実させるための、あれをクラフトするぞ!」


ユウキは仲間たちの温もりを感じながら、次なるクラフトに期待を膨らませ、静かに目を閉じた。


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### 連載スケジュールについて


**おっさん・ユウキとルークの異世界開拓記、いよいよ本格始動!**


この物語は、**2025年7月28日(月)より、毎日連載をスタートします!**


* **2025年7月27日(日)までに、第1話から第20話までが公開済みです。**

* **第21話以降は、7月28日(月)より順次公開いたします!**


今後の公開スケジュールはこちら!


* **平日(月~金):朝と晩に1話ずつ公開**

* **週末(土~日):朝・昼・晩に1話ずつ公開**


読者の皆さんの応援や反響次第で、公開ペースをさらに増やすことも検討してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


**ユウキとルークの異世界開拓記、ぜひお楽しみください!**


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