表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元ラガーマンおっさんとモフモフ子狼の異世界飯!~クラフトスキルで始める、食いしん坊開拓物語~  作者: はぶさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/39

第23話:野外の食卓!携帯用簡易調理セット


翌朝。ユウキは、洞窟に設置された石釜の残り火の温かさに包まれながら目を覚ました。ひんやりとした洞窟の空気も、石釜のおかげで以前よりずっと過ごしやすくなっている。隣ではルークが、ユウキの胸元に顔をうずめて、穏やかな寝息を立てている。


「よしよし、ルーク。おはよ。今日も一日、頑張るか!」


優しく頭を撫でてやると、ルークは「クゥン」と小さく鳴いて、体を伸ばした。その愛らしい仕草に、ユウキの顔も自然と緩む。朝一番のルークとの触れ合いは、ユウキにとって何よりの癒やしであり、この「嘆きの森」での日々を充実させる原動力となっていた。


**今日一日でクラフトできるのは一つだけ。** 洞窟の拠点では、石釜、蒸し器、燻製器、麺棒と板、泡だて器、コーヒーミル、手作りの食卓と椅子といった調理器具や食器が揃い、塩、醤油、果実酒、樹液糖、味噌、そして仕込み中の酢といった調味料も充実してきた。食に関する基盤は完璧に整い、食卓はあらゆる味覚と食感で豊かになった。しかし、ユウキの頭の中には、**「拠点から離れた場所でも、もっと手軽に、本格的な調理を楽しみたい」**という新たな欲求が湧き上がっていた。森の奥で新鮮な食材を見つけても、焚き火だけではできる料理が限られる。これは、まさに「調理に関するもの」であり、野外での食の体験を格段に向上させるための重要な一手となる。


「なぁ、ルーク。お前、いつも洞窟で美味い飯食ってるけどさ、たまには森の真ん中で、採れたての食材で料理するのも最高だと思わないか?」


ユウキが問いかけると、ルークは「ワフッ?」と首を傾げ、真っ直ぐな青い瞳で見上げてきた。まるで「森の真ん中で? それって楽しいの?」と聞いているようだ。


「ああ、もちろん楽しいさ! 森の空気も、景色も、全部がご馳走になるんだ。だから、今日は……**『携帯用簡易調理セット』**を作るぞ! 最低限の機能でいいからな!」


これで、ユウキとルークが森を探索する際、新鮮な食材を見つけたらその場で調理し、温かい料理をすぐに楽しめるようになる。野外での食事のバリエーションが広がり、冒険の楽しみが倍増するだろう。素材は、軽く、かつ熱に強い特定の石材や、しなやかで丈夫な蔓、そして特定の植物の葉を加工した耐熱性の網を使う。これら全てが、この異世界の森で手に入る天然の素材だ。


早速、手作業に取り掛かる。ルークも、ユウキの隣にちょこんと座り込み、目をキラキラさせて作業を見守っている。まず、**石の出刃包丁**を使い、採集してきた軽量で耐熱性のある石材を丁寧に加工していく。これは、組み立て式の**簡易焚き火台(または小型の石釜の土台)**となる部分だ。次に、しなやかな蔓を編み込み、火に強く、食材を乗せられる**折りたたみ式の調理用網**を作り上げる。最後に、特定の植物の葉を何層にも重ねて加工し、簡易的な**小型の煮込み用容器**を一つ作る。これら全てが、コンパクトに収納できるような構造を意識して、緻密に作り上げていく。


ユウキが石や蔓を削ったり編んだりするたびに、カツン、カツン、シュルシュルと音が響き、ルークはそれを耳をピクピクさせながら聞いている。時折、ユウキの手元に顔を近づけて、完成を心待ちにしているようだ。


「こらこら、ルーク。まだ完成じゃないぞ。でも、これができれば、森のどこででも、美味い飯が食えるんだからな!」


ユウキが笑いながら言うと、ルークは「クゥン」と小さく鳴き、嬉しそうにしっぽを振った。まるで「早く森で食べたい!」と言っているかのようだ。


ユウキは、汗をかきながらも、根気強く素材を加工し、組み合わせていく。前世の知識と、この異世界で培った経験、そして鍛え上げられたラガーマンの体格をフル活用して、理想の形を追求する。やがて、夕暮れが迫る頃、ユウキの目の前に、見た目は素朴だが、機能美を備えた**手作りの携帯用簡易調理セット**が一つ、完成していた。焚き火台、網、小型の煮込み用容器が全てコンパクトにまとめられる優れものだ。


「うおお! できた! これが俺たちの野外調理セットだ! ルーク、見てみろ!」


ユウキが完成したばかりのセットをルークに見せると、ルークは興奮したように立ち上がり、クンクンと匂いを嗅いだ。まだ料理の匂いはしないが、ルークはユウキの喜びを感じ取っているようだ。


「ワフッ! ワフッ!」


と、喜びの声を上げ、ユウキの周りを跳ね回る。その仕草に、ユウキは思わず抱き上げて、その頭を優しく撫でてやった。


「よしよし、そんなに喜んでくれるのか。じゃあ早速、明日はこのセットを持って、森の奥まで行ってみるか!」


早速、携帯用簡易調理セットをリュックに詰める。今日の料理は洞窟の食卓で済ませるが、明日の野外調理が今から楽しみで仕方がない。ルークも、ユウキの隣で、いつも以上にワクワクした様子を見せている。


「なぁ、ルーク。明日は、森の奥でとびきり美味いもん作ってやるからな。楽しみにしてろよ!」


ユウキがそう言うと、ルークは「クゥン」と短く鳴き、ユウキの足に頭をすり寄せてきた。まるで「うん、楽しみだね!」と言っているかのようだ。


携帯用簡易調理セットの完成は、ユウキの異世界生活における「食の体験」を、洞窟の外へと広げた。これからは、森のどこででも、採れたての食材で温かい料理を楽しめる。この「嘆きの森」での生活は、ルークというかけがえのない相棒と共に、ますます豊かで充実したものとなった。


一日の終わりに、石釜から放出される穏やかな熱を感じながら、ルークの頭を撫でる。ルークもユウキの腕に顔をこすりつけ、小さな寝息を立てている。次は何を作ろうかと考える。野外での食事が可能になった今、さらに食料の安定供給や、新たな食材の発見に繋がるアイテムも考えられる。


「よし、明日は、この洞窟での生活をさらに充実させるための、あれを作るぞ!」


ユウキはルークの温もりを感じながら、次なるクラフトに期待を膨らませ、静かに目を閉じた。


---


### 連載スケジュールについて


**おっさん・ユウキとルークの異世界開拓記、いよいよ本格始動!**


この物語は、**2025年7月28日(月)より、毎日連載をスタートします!**


* **2025年7月27日(日)までに、第1話から第20話までが公開済みです。**

* **第21話以降は、7月28日(月)より順次公開いたします!**


今後の公開スケジュールはこちら!


* **平日(月~金):朝と晩に1話ずつ公開**

* **週末(土~日):朝・昼・晩に1話ずつ公開**


読者の皆さんの応援や反響次第で、公開ペースをさらに増やすことも検討してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


**ユウキとルークの異世界開拓記、ぜひお楽しみください!**


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ