何処にも行けない
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
イラストに触発させたんですわ。
執拗い程に唇に口紅を塗りたくり、舐めることも、拭き取る事もせずに鏡を凝視した。そうしていると、男が映り込み、そっと私の肩に手を置いた。鏡越しに目がかち合う。表情は変えなかった。すると得意げに笑って顎を固定し、薄い唇を頬に押し付ける。
「とても綺麗だ」
「悪戯は楽しい?」
真後ろにあったベッドまでエスコートとし、先に座らせると膝上に乗り上げた。彼の得意げな顔は崩れる事は無い。それに少しむっとして、私がさっきされた様に頬に唇を押し付けた。こってりと塗り付けた紅が移るように強く。顔を離す。私の唇が彼の頬に乗ったのは想像に難くない。
今夜は行くつもりのない夜会があった。くだらないおべっかも、張り付いた笑顔も、安売りする気はなかった。それでもシルエットの美しいドレスを纏い、丁寧に化粧を施すのは、単純に彼を焚き付けたかっただけなのだが。
彼は大して困った様子もなく、頬に着いた口紅を親指で拭う。べったりと塗ったのだ。一度には削ぎ落とせない程に塗りたくったのだ。当然それで落ちるはずも無く、唇の形を残したままに、掠れて残る。それでも落とした気になって、親指に着いた赤を舌先で拭った。その時の半眼が、這い出た舌先が、妙に色っぽいく、思わずむっとする。
「えっち」
「? 高く評価してくれて嬉しいよ」
分かっててやってんな此奴。
「それはそれとして、お前が俺を置いて浮気しに行くんだ。邪魔をするのは当然だろう」
「浮気じゃないよ。だって元々蹴るつもりだったし」
死んだ目でそう返答すると、整えた髪を衣類を乱すように指が踊る。髪と髪の間に指を入れてぐしゃぐしゃに掻き回す。肩に形ばかり引っかかっていた紐を払う。どうやら『どうせ何処にも行かないならば、乱しても構わないだろう』という判断らしい。
まぁそれを見越して御丁寧に着飾って髪を整えた訳だが。綺麗に着飾ったのは、乱して欲しいから。悪戯をするのは、色っぽい仕草が見たいから。
「『出掛ける』なんて言うものならば、ヒールを折っているところだった」
「弁償させるから」
「勿論」
多分、彼は本当に出掛けるものならば、ブランド物のヒールなんて全てへし折る。靴を無くして、何処にも行けないようにして、私をこの部屋に閉じ込める。そうして悪びれる事無く、また悪戯をする。
「あのさ……まだ此処、口紅残ってるけど」
頬を指差して指摘すると、またさっきと同じ様に親指で拭い、静かに舐めとる。静謐な色気に釘付けになる。
「でも……いいよ。ヒール全て折って、何処にも行けなくさせても。その代わり、満足するまで私の要望に応えて貰うから」
オマケ
ベッドに膝まづいて足を観察する。この間、履き慣れないハイヒールに無理矢理足を捩じ込んだせいか、所々に靴擦れが出来ている。赤く擦れて、腫れ上がった部位を撫でて、労る様に撫で回す。それから。
「それ……やめて」
静かにキスを落とし、強めに吸い付いた。これ程までに舌に返しが着いていたら良いと思った事はない。そうすれば肉を削ぎ落として、より傷口を抉れたのに。
「外なんか出なければ良い」
お前を傷つけるものは、俺だけで良いだろうに。
ぼーっと動画を漁って、イラストを見ていたら触発されました。口紅拭う仕草が好きなんですよ。男女問わず。
何度も話すようですが、目と口に色気がある人が好きなんですよ。
だから伏し目がちに舐めとる姿がなんとも好色。
ごりごりに着飾っているから、一見やる気なくても行く気はあるんだろうな。という事で邪魔してます。
化粧しても一から直せば時間がかかる。
それを繰り返して、行かせないつもりです。
最終手段は全てのヒールをへし折ります。えいっ。
でも彼女的には邪魔されるの分かっていてわざとやってます。
完成されたものを崩されるのが好きそう。あらお揃い。