表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜  作者: 杜若スイセン
Ver.1-epilogue ちょっと長いエピローグ、あるいはやることの尽きないインターバル
423/473

415.さあ、お前の称号を数えろ!

 というわけでやっていこうか。運営さんにこういうところでのボケ祭りに味を占められるのは癪だけど、出されたからには拾わないといけないのが配信者。せめてさくっと済ませてしまおう、今日はちゃんとメインイベントがあるんだから。


「時系列順なので、前回……ザダクロにいた時以来ですね。最初が《その程度で対策したつもりかね?》と」

「明らかにザダクロのダンジョンだねー」


 条件は「自身に特攻を持つ敵が出現するダンジョンをクリアする」。名前も条件も、まあアチーブメントとしておかしなところはないかな。バージョン1時点ではまだ基本種族に対する特攻は存在しなくて、そもそも取得できるプレイヤーが限られる点に目を瞑れば。

 続いて……うわ。


「『ダンジョンの踏破報酬としてバッジを設置する』」

「ジムリーダーじゃん」

「称号名もばっちり《ジムリーダー》だよ。雑な乗っかり方してきちゃって……」


〈草〉

〈やられたなお嬢〉

〈まあそりゃやるでしょ〉

〈同業他社なんだよなあ〉

〈九津堂だぞ?〉


 まあこれはバッジを持ち出した私が悪いね。世の同業他社は一般に思われているよりは仲がいいし、このくらいのオマージュなら会社を跨ぐこともさして珍しくない。向こうのオールスター乱闘ゲームも他社キャラクターが少なからずいるし、中には九津堂キャラも含まれている。

 というか、そもそも九津堂はソフトメーカーだ。いくらダイブVRのDCOとソシャゲの《百鬼戦録》があるとはいえ、ハードを出している会社との関係が悪化したら死活問題である。これはたぶん、ネタ的な文脈で概念を借りる許可を裏で取っていると思う。九津堂ならそのくらいはやる。


 どんどん行こう。《薪を小太刀にしてお相手いたす**》。


「あー、冨田勢源。そう来たかぁ」

「ミカンの言う通り、中条流の小太刀の達人こと冨田勢源が元ネタですね。無理に試合を申し込まれた際、そこにあった薪に革を巻いて立ち合って勝ったとか」

「ちなみになんでそんな称号がついたの?」

「冨田勢源は眼病で失明していて、盲目の剣豪として有名でね」

「……えっもしかしてアレ?」


〈冨田勢源!!〉

〈まずそれで秒で名前が出てくるミカンとお嬢は何者だよ〉

〈は??〉

〈バケモンか?〉

〈しかもその試合のときにはもう見えてないんだよね……〉

〈一つの逸話に人外エピ二つとかフィクションかDCOでしかやらないだろ〉


 そう、これの取得条件は「目隠し状態のまま100%のダメージを与えて敵を倒す」だ。《見猿》と《一つ目小僧》のときにやった魔力覚頼りである。たぶんこれ、あの時点で進化していた精霊はみんな持っている。

 次、《カリスマインフルエンサー》。条件が「行動が流行を作る」なんだけど、取得日が上田さんと天香ちゃんのロケの日だ。たぶん、ファイアブル串かな。あれで取得できるなら、カナタさんあたりはたこ焼きでついていそう。


「《我が城は難攻不落》。条件は『保有するダンジョンの踏破率が一定期間5%未満を保つ』」

「うわ、取得率低そう」

「普通はそんな調整しないからね。何かわけありじゃないと持ってないと思う」


 この踏破率は「踏破数/挑戦終了数」という計算式でできているそうで、この挑戦終了数というのが踏破数+死亡数となる。つまり素材採取や生きたままの撤退は数に含まないわけで、それで5%というのはとんでもなく低い。なお《薄明》の踏破率はというと、普通に0.1%を切っている。

 シンプルに言い訳ができないものが続くけど、まだ一週間分も進んでいない。このあたりの一週間何してたの私。


「続いて……『オンステージ!』、『幻双界公認アーティスト』。もはや言うまでもないのでスルーします」

「『意志末』、PVとサブスクでけっこう凄い数回ってたのよねえ」

「《峠の走り屋》……あの、これそういうことじゃなくないですか?」

「いつの間にロードレーサーになったんだろうね、私たち」


 言うまでもなくいろは坂だ。ちなみに基準は24時間以内らしい。当時だとレベルを超過させた上で近道を使っても少し大変だったけど、今なら騎乗式があるから取ろうと思えば取れそう。

 《引き金は二度引く》、《俺だけの切り札》。それごれ「一度の戦闘で奥義を二度使う」と「固有奥義を使用する」。どちらも大太郎法師との再戦のときのもの。

 《歩くレシピサイト》という「レシピを一定数開発する」があるけど、料理人じゃないのにこれを持っている人は他にいるのだろうか。ちょっとトラウトパーティではっちゃけ過ぎたかな?


「…………」

「どうしたのルヴィア」

「いや。次の、『固有奥義で大幅に攻略難易度を下げる』なんだけどさ。称号名なんだと思う?」

「え、なんだろ……」

「……《ありがとうアイリウス》」

「プレイヤー発のものを当たり前に取り入れてくるわねえ?」

「い、一瞬びっくりしたの。わたしいま何もしてないのに、と思ったの」


 確かにあのシーン、切り抜きの再生数も伸びたけどね。それにしても、公式プレイヤーであることを加味しても双方向的なゲームだ。

 ちなみに私以外までアイリウスに感謝させられるわけではなく、ちゃんと対象になった唯装の名前が当てはまるようになっているらしい。随分なこだわりである。






 もちろん「ダンジョンショップにおける迷守の分け前が一定額を超える」や「ダンジョンを譲渡する」、「バージョン1のレベルキャップに到達する」などといったちゃんとアチーブメントらしいものもたくさんあるんだけど、これらは全スルーとする。思っていたより多くて、予定時間が迫ってきているのだ。

 「騎乗式を入手する」についた第二段階を示す、途端に取得率が落ちる星も、「自分よりレベルが高い敵を一秒以内に二体撃破する」のような取ろうと思えば取れるものも同様に飛ばす。


 だから続いてはこれ。


「『唯装魂以外の双界人を連れてログアウトする』、アメリアを連れ帰った件ですが……」

「なに? 称号名がまずかったりするの?」

「あー……そうだねぇ……」

「《ゆうべはおたのしみでしたね》。その言い回しだと意味が変わってくるんですよ」

「確かに楽しみはしたけどね。断じていかがわしいことは」


〈草〉

〈宿屋かな?〉

〈エッチなことしたんですね?〉

〈くそっじれってえな!〉

〈確かにお楽しみでしたね。セイサガで〉


 あのね、私の相手、13歳なんだよ。こういう言い方をされると犯罪臭というか、もうちょっと手心とか……ね?

 16歳ながら見た目はかなり幼げな結乃さんに懐かれて連れ帰ったことのあるミカンも必死だ。イメージ的に死活問題だから。幸いにして普段の素行を認められて疑いはかからなかったようだけど。……まあ、そこが信用できない人にはそもそもついて行かないだろう。


 それから、その下に並ぶのがDCO初のランキング称号たち。新嘗祭のミニゲームはランキングが設定されていて、下限なしてランキングが称号として付与されていた。……口には出さないでおいたけど、手元には一位称号が三つある。うち二つはパーフェクトで同率がそれなりの数いるけどね。


「そしてトップ勢は全員、この辺りにできれば目を逸らしたいものがありまして」

「ドンマイなの」

「軽いねアイリウス……。そう、《超越者》です」


〈ああ〉

〈それかあ〉

〈かわいそうに〉

〈ゲーム側から千人単位で人外認定された瞬間である〉


 余談だけど、わざわざ一人一人に認定員のような人が訪ねてきたらしい。私は新嘗祭のときに名指しで言われていたからなかったけど、あのとき笑っていたトップ勢たちはもれなく一週間以内に同じ目に遭ったそうな。いい気味……じゃなくて、仲間だね。

 《生還探索者》は「《異界に通じる暗路》を踏破する」というもの。CoC色を色濃く出してきているのと……踏破だけで称号になる扱いは《薄明》と同等だ。妥当だと思う。


「それから……《黒閃》」

「もうどんな条件なのかわかった」

「クリティカル連打ねえ? でしょお?」

「うん。回数条件は4回」


〈連続記録じゃねーか!〉

〈まあ確かにアレはクリティカルみたいなとこあるけど〉

〈地味に取得キツくね?〉

〈派手にキツいぞ〉

〈じゃあお嬢のには何個星がついてるんですかね〉


 こういうわざとらしいものもある。取得したのは12月1日だから、ゲリライベントでsperに出してもらったマギタイトゴーレム戦のときのものだ。

 その次は翻って称号に相応しいもので、《龍が認めし者》。「龍人への進化条件を満たす」だ。同等の扱いとなるものに《精霊の呼び声》があたるかな。


「《公式配信の担い手》などというわかりやすい上に魂胆見え見えのものもありますと」

「クロニクルクエストの16種を全部倒すのが条件のやつがあったけど、ルヴィアは当然取れてるよね?」

「うん。配信中にやったからね」


 残りはほぼクロニクルクエストのもの。「一人でバージョンボスのHPをゲージの5%以上削る」だったり、「同一のボスと二度相対していずれも死なずに勝利する」だったりとなかなか厳つい字面も揃っている。

 日時からして、前者は那夜さんもバージョンボスとしてカウントされているね。後者はというと、暮奈は一戦目は退いただけで私たちの勝ちではないし、サツキ戦には私は参加していない。これは揺葉戦で、朝方の耐久戦で参加扱いになったのだろう。


 《幽霊泥猫を本気にさせたな》なんてのもあった。「神宮寺雫の第二形態への変化を目の当たりにする」だそうで、これがアチーブメントになっているあたり未発生のまま攻略することも想定していそうだ。

 そして残るのが、


「《猫鎮めの神業》と《世界を救った者》。雫を倒した証と、バージョンクリアのご褒美ですね」

「……いやほんと、長かったよねえ」

「バージョンひとつと考えると短いくらいじゃない?」

「メグ伝いに聞いたけど、想定クリア時期は一月半ば以降だったらしいよ。私たちは早すぎるくらいだった、とか悪態ついてたって」

「へえ。それは嬉しいなっ!」

「ミカン、何もそこまで力強く言わなくても」


 まあ、仕方ない。トップ勢は運営さんをやり込めてぎゃふんと言わせるのが何よりも快感になるからね。私だって人のことは言えなかった。

 トップ勢以外も持っていたりするものはほとんど流してこれ。案の定一話かかっちゃいました。


 ミカンこと橙乃がいかにDCO内とキャラが違うかを見せたり、ハヤテちゃんも初登場したり、どこぞの投げ銭マシンガンとsperガチ勢の霊圧が見えたりしている『10分でわかる月雪フロル』は現在、なろうとカクヨムでの読まれ具合の違いを実感している最中だとか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『Dual Chronicle Online Another Side 〜異世界剣客の物語帳〜』

身内による本作サイドストーリーです。よろしければご一緒に。

『【切り抜き】10分でわかる月雪フロル【電脳ファンタジア】』

こちら作者による別作となっております。合わせてお読みいただけると嬉しいです。


小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ