表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜  作者: 杜若スイセン
Ver.0-2 魔剣精霊の誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/505

36.コメント欄のツッコミから目を逸らし始めた怪物共

今回はちゃんと予約投稿しました!

12:05になっても投稿されていなかったら木の下に埋めてもらっても構わないよ!

 翌日も攻略を継続。二日目は三分の二を過ぎたところから再開だ。ボス戦を考えても、負けなければ今日中にクリアできるだろう。

 今回は私たちが先頭を走っている。前情報がなくて少し大変だけど、配信でこちらから情報提供ができるのは大きい。突っ走っても後続がついてくるから、あまりペースを気にする必要がないのだ。






「……向こうに敵反応あり。イモリ2」

「了解。開幕で叩くわ」

「ルヴィア、目視よろしく」

「うん」


 このダンジョンは部屋どうしを細い通路が繋いでいる形になっている。このような地形でも通路の角の向こうまで《索敵》が通るので、現実よりはずいぶん楽だ。

 ただ、ここに限れば少し話が違った。





ケイブニュート Lv.22


属性:氷

状態:汚染




こそこそ岩 Lv.23


属性:土

状態:汚染





「……岩は1か。一気に叩こう」

「はぁい。《グルームロア》!」

「《アトモスロア》」

「突撃ー!」


〈流れるように〉

〈準備がいいよな〉

〈当たり前のように魔術保持する〉


 実際に見てみると、そこには2体の白いイモリ型モンスター、名前を《ケイブニュート》。ただ、一緒に一体だけ別のモンスターがいた。

 《こそこそ岩》。いかつい男のような顔がついて宙に浮いた岩だ。どことなく森の《タンコロリン》に似ている気がしないでもないが、別物。

 このモンスターが厄介で、なんと現状《索敵》が効かない。目視ではしっかり見えるとはいえ、《索敵》に頼りすぎていると不意打ちで痛い目に遭うのだ。私も初回は危うく直撃を受けそうになった。


 だから、このダンジョンでは索敵後に改めて目視確認が鉄則。斥候(シーフ)がひときわ輝くマップになっている。斥候職の割合が少なめな最前線組が多いこのダンジョンでこのギミックを出してくるとは、《九津堂》は相変わらず小憎たらしいことをしてくるものだ。

 現に、人数が埋まりきっていないパーティは臨時でシーフを募集しているところが多かった。主にゲームバランス調整の面で、喜ばしいことではあるんだけどね。

 ちなみにこのパーティでは、私が兼ねている。……本当に何でも屋になってきているような気がするけど、気にしないでおこう。






「うん、上々だね」

「見つけてさえしてしまえば、岩はボーナスですわね」

「体当たりしかしてこないもんね」


 なんだかんだで、手間取ったりすらしない。やはり過剰火力なのでは?

 まあ、このダンジョンはメインストーリーだ。エンドコンテンツではない。もう少しで全員がレベルカンストになるパーティが苦戦していたら、それはそれで困るけど。


 ……そう、私もレベルキャップの25に到達したのだ。今後はプレイヤー経験値を稼いでもレベルが上がらないから、時間の使い方も少し変わってくる。

 他にも《片手剣術》や《パリィ》を中心に、スキルレベルもベータ時上限の40へ到達するものが出始めていた。

 おかげで今回、ほとんど剣での攻撃をしていない。可能な限り《回避》を優先しているし、もはや魔法アタッカーそのものの頻度で魔術を撃っていた。


「んー、《闇魔術》がキャップねえ」

「あ、届いたんだ」

「ええ。サブ上げする? するかも?」


〈マジかよ〉

〈ほんとはえーな〉

〈追いつけるかなぁ〉


 ルプストはどちらかといえばサブの《火魔術》や《氷魔術》もバランスよく上げている方だけど、それでもレベルキャップに届くほど。最前線をひた走るプレイヤーにとっては、ここからは少し育成が難しい時期になってくる。

 あまりポジティブな言葉ではないけれど、アルファテストや配信の影響がある現状の私たちはいわゆるゲーム廃人の領域にある。差を縮めるためのキャップだけど、無理に追いつくことはないのだ。


「もうじきボスだけど、そのへんどうする?」

「サブ中心でやっていい気はしますね。これだけ余裕だと」

「危なくなったらメイン使えばいいし、いいんじゃないかな。ね、ルヴィア」

「うん。判断は……私がすればいいか」


〈ボス戦で縛りプレイってマ?〉

〈まだベータなのに……〉

〈もはや別ゲー〉


 ……そろそろ、キャプションに「一般的なプレイングではありません。ご了承ください」くらいは書くべきだろうか。








 さて、そんなわけでボス部屋前。


「……あれ、小さくない?」

「ボス部屋のマップこれだけ?」

「《水路》のと同じくらいしかありませんわね」


〈せっま〉

〈大丈夫なんこれ?〉


 うん。なんか、ボス部屋が小さい。扉の前まで行って埋まったマップを見るに、明らかに。てっきりこれまでのような大きなボススペースが用意されていると思っていたのだけど。

 1パーティで倒すボスが12体いる形式だった《御触書・弐 王都の水路を越えて》に参加していたクレハたちによれば、そこのボス部屋と同じくらいだとか。


「もしかして、このボス、1パーティ用だったりする?」

「かもね……」

「とりあえず見てみるしかないけど……小さかったら、そのまま戦っちゃおうか」








 そういうことになりました。


「ゲージ削れるよ、回避準備!」

「了解!」

「それじゃ、いただきねえ? 《コールドプロード》」


 ボスの名前は《聖窟のお化け岩》。道中でも出てきた《こそこそ岩》を大きくして、闇のような影をまとった外見をしている。

 攻撃パターンは、基本は岩落としと体当たり、闇属性らしき魔術弾。サイズもHPゲージも、やや高難度には思えるものの1パーティ向けのものだった。


「離れて!」

「は、はい!」

「……っと!」


 一段目のゲージを削り切られて飛び上がったボスに、私の《直感》スキルが大きな反応。前衛組が慌てて距離を取る。

 直後、勢いよくストンプ。そこから同心円状に衝撃波が広がってくる。幸い速度も高さも大したことはなかったので、フリューの召喚体も含めて避けることは難しくなかった。


「知ってるよ。こういう避けるのが簡単な大技は、いざ受けるととんでもない威力があるって」

「あるあるですね」

「気をつけないと」


〈うわぁ〉

〈確かにあるよなそういうの〉

〈もう出てくるのか〉


 アクション要素の大きいRPGではたまにある要素だ。これでもかと避けやすく作っているんだから、避けられなければ大ダメージを受けても文句言えないよな、というわけ。

 VRMMOはまさにアクションRPGの極致ともいえるものだから、その要素は取り入れられて当然ともいえる。





「次に何が出てくるかわからない。気をつけて……っと」

「おお、手が生えた」

「しかも浮いてない? 浮いてる?」


〈なんか一気にかっこよくなったな〉

〈わかる〉

〈ボスみたいな見た目になったな〉


「ボスなんだけどね?」


 次ゲージへの移行は、新たな攻撃パターンが増える合図。今回もその法則に漏れず、ボスは新たな手を出してきた。

 ……文字通り、新たな手を出してきた。


「……よし、ここまではこれまで通り」

「ということは、次あたり来ますね」

「《スピードブースト》。前衛組、気をつけて」


〈だからなんで打ち返せるんスかって〉

〈お嬢に常識を求めるな〉

〈むしろお嬢が常識だから〉


 片手で抱えられるくらいの大きさの岩を飛ばしてくる攻撃。これは避けやすいし、後衛の方に飛んだものはフリューの盾が止める。

 次に闇の属性弾。これは私がパリィして跳ね返す。威力が高い代わりに速度が遅かったから、試しに打ち返してみたらいいダメージになったのだ。

 案の定コメント欄は盛り上がったけれど、遠くの球は無理に拾いに行かない。無茶して失敗すれば本末転倒だ。


「このモーションは……」

「パンチだろうね。全員、直線上から退避!」


〈ロケットパンチだ!〉

〈かっけえ〉


 そしてその次に新技。見た目はただのパンチだけど、単純に大きいからなかなかの脅威だ。しっかり全員で射線から避けて、念を入れてしばらく待つ。


〈ここで待てるのほんと偉い〉

〈なんで攻撃しないの?〉

〈ボスが次に何してくるかわからんじゃろ〉

〈ボスの攻撃パターンを確認してる〉


 岩投げ。フリューは受け止めて、前衛は各自避ける。

 闇属性弾。私が跳ね返して、前衛はこれも避ける。

 そしてロケットパンチ。余裕を持って退避。岩の拳は虚空を振り抜かれた。


 ……そして、また岩投げ。


「……パターン成立だね。じゃあ、イレギュラーに気をつけつつ攻撃再開」

「了解。一気に行きましょう」


 相手は初見のボス、攻略法の確立も重要だ。まして時間制限のあるようなタイプでもないから、リスクを冒してまで急ぐ理由もない。

 こちらからの攻撃を抑え気味にしつつ観察していると、それ以上の新技はなく二巡が終わった。ここまで来れば心配もいらない、様子見はそれで終わりだ。

 それからは反撃の時間。第2ゲージが尽きるまで、トップクラスの火力職4人による総攻撃が火を噴いた。





  ◆◇◆◇◆





「……ふぅ。なんだかんだ、普通に終わったね」

「けっこう時間かかっちゃったねー」


〈こいつらつえぇ〉

〈アレ相手に危なげないとかなんなの〉

〈最強パーティか?〉


 そんなこんなでボス討伐。最終ゲージで手のひらによる押し潰し攻撃が来た時は少しびっくりしたけど、モーションが大きくてわかりやすいおかげで回避は難しくなかった。火力も足りていたし、終わってみれば楽勝と言って差し支えないだろう。

 とはいえ、一パーティで挑むにはかなり強いボスだった。私たちはよかったけれど、これではなかなか攻略が難しい気がするけど……。


「さて、奥に進もうか。まずはイベントアイテムを取らないと」


 やけに美味しいボスドロップと経験値を流し見して、ボス部屋の奥に繋がる通路へ。これまでと違い、壁には明るい色の石が混ざっている。

 最深部の入口に、扉。それを開くと、奥には白く輝く部屋があった。


「ここが一番奥のようですわね」

「ということは、たぶんこれが……ですよね」


 まあ、見ての通りというべきだろう。クレハの《採掘》スキルに反応した以上、この部屋を構成している白い石こそが目的のアイテムだ。

 スキルさえあれば誰でも掘り出すことができるが、スキルレベルが高いに越したことはない。そのままクレハに任せる。


 ただ、すぐにクレハの口から疑問符が飛び出した。


「……あら?」

「どうかしたの?」

「アラートですね。『このパーティではこれ以上採掘することができません』だそうです」

「なるほど、量に制限があるんだ。となると……」






「よっしゃクリアー!」

「ちょっと待ってってば……って、ルヴィアさんだ!」

「うわ本物だすげえ……」


〈え?〉

〈後続もう来たの?〉

〈あのボスをお嬢たちより速く倒せるわけなくないか〉

〈あー、そういう〉


 と、ちょうどいいところに。

 後続パーティだ。見たところレベルは私たちよりある程度下で、王都到達からさほど期間を空けていないだろう。最前線勢御用達となってしまっている私の配信もつけていない。


 私たちがボス地点へ到達した時点では周囲にプレイヤーの気配はなかったし、私たちは順調にボスを倒した。それなのにすぐに追いついてきた彼らの存在は、このダンジョンの形式に直結する。


「あの、少しいいですか」

「は、はいっ」

「まずは……あなたたちもボスと戦いましたよね?」

「もちろん。このクエ、無限リポップ式のボスっぽいです」


 こんなたくさんのプレイヤーが攻略に向かうダンジョンが、レイドならともかくパーティボス一度きりで終わりとは考えにくい。だから、これは予想通り。

 クリアと叫んできていたことからもわかる通り、彼らもボスと戦った。つまり、今回のボスは何度も復活するのだ。

 それどころか、インスタンス(複製)マップで複数のパーティが同時にそれぞれのボスと戦えるようになっているはずだ。私たちもクリアしたばかりだから、でないと辻褄が合わないし。


「では……そうですね、ボスのゲージは何段でしたか?」

「二段でしたけど……」

「やっぱり。私たちの方は三段だったんですよ」

「……ということは、プレイヤーレベル連動型ボス?」

「だとしたら、あのメインにしては強烈な難易度にも納得だね」


〈ほぼノーダメクリアした奴らが何か言ってる〉

〈強烈(苦労したとは言ってない)〉

〈アリと比べればカブトムシだって強烈だろ!〉


 このパーティのレベル値は私たちよりもひと回り低い。なのに、私たちとほとんど同時にクリアしている。となれば、私たちよりも難易度の低いボスだったのはそれらしい話だ。

 逆に、全員レベルカンストの私たちが随分な難易度を課せられたのも納得がいく。このボス、キャラクターが育っていればいるほど難しくなるのだ。


 だから、まあ……レベル上限に届きつつあるようなトップ層は、とりあえず頑張れ。頑張ればクリアできる難易度ではあったから。


「えーと……やっぱり、採れる量はボス難易度依存ぽいスね。うちのはけっこう少ないっすわ」

「でしょうね。でないと、難易度の高い最前線層が来る理由が薄れてしまいますし」





○聖石のかけら(大)

分類:イベント

品質:E

・《聖窟のお化け岩》を倒さなければ手に入らない、癒しの力を持った石のかけら。この大きさのかけらを手にするには、最強状態の《お化け岩》を倒す必要がある。

注意:一度《聖石のかけら》を手に入れたパーティのメンバーは、入手から72時間のあいだ次の《聖石のかけら》を入手することができません





アイテムをよく見ると、再挑戦に制限がついていた。どれもそれぞれ3~4日で終わっている《御触書》クエストにおいて、まる3日はなかなか大きい。というか、下手をするとその前に終わる。できるだけ多くのプレイヤーに参加させるのが目的なのだろう。


 これまでも多くのプレイヤーを参加させるよう工夫はされていたけど、最後に直接ボス戦をしていたのは1レイド、三箇所それぞれ50人いるかどうか程度の上位層だった。

 プレイヤー数1500人のゲームで150人という数字はそれなりに大きいが、さらに多くのプレイヤーに関わってもらうのが目的に違いない。ここ以外の二箇所がどちらも難易度の低いものになっているのも、その方向性を助長するし。


 それでいて、レベルの高い先行組の影響力はそれなりに高い。これならどちらの層も、楽しんで攻略に参加できるはずだ。


「さすがによく考えられてるね」

「プロですもの」

「なんでジュリアが得意げなの……?」






 ……一方で、この方式だと一度《洞窟》をクリアしたトップ層は暇を持て余すことになる。

 《九津堂》のことだ、おそらくその時のためのクエストは大量に用意されているだろう。それが意味するのは、つまり……。


「これは推測なんだけど……トッププレイヤーの皆さん。いよいよお待ちかねの時間だよ」

「ええ、そうですね。おそらくは今頃、各地で高難度個別クエストが発生しているはずです」


 メインクエストが前線プレイヤーだけのものではなくなった。では暇になった前線プレイヤーは、何を目指すことになるのか。

 より高難易度なクエスト、小さなダンジョンの個別攻略。主要な住民たちとの特別な縁。それらが今、示しうるひとつの到達点は。


「私との約束ね。夜草神社の決戦に、一人でも多く───《唯装(ユニーク)》を持ってきて」

ふたたび戦闘回、ボス戦でした。展開の都合上難しいこともありますけど、やっぱり戦闘回はできるだけ頻繁に置きたいところですね。

今回もボスには明確なイメージ元がいます。前回のウィ○ピー○ッズよりは難しいと思いますが、わかった方はぜひご回答ください(露骨なコメ稼ぎ)


前回、大ガバをやらかしたのになぜか普段より伸びました。昨日は申し訳なく思うと同時に困惑していました。ミスをして伸びるのはVtuberだけだと思っていたのですが……。まあ、ルヴィアはVtuberのようなものかもしれませんけど。

5話に及んだコラボ回はこれで終わりとなります。クレハとジュリアは今後もたまに出演しますが、今後の本格コラボは未定です。

次回は木曜日、次のクエストに移ります。久々のソロです。ご期待ください。


20万文字を超えた本作ですが、まだまだ更新は続きます。続きをご期待くださっている方は是非、ブックマークをつけた上で更新通知をONにして、よろしければ評価点もつけて行ってくださいな。あわよくば感想もぜひ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『Dual Chronicle Online 〜幻双界巡りの物語帳〜』

身内による本作別視点です。よろしければご一緒に。

『【切り抜き】10分でわかる月雪フロル【電脳ファンタジア】』

こちら作者による別作となっております。合わせてお読みいただけると嬉しいです。


小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
[気になる点] マリオギャラクシーのポルタ?
[一言] ワムバム○ックさん!? 洞窟大作戦ではお世話になりました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ