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Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜  作者: 杜若スイセン
Ver.0-2 魔剣精霊の誕生

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36/506

35.人をダメにする幼馴染たち

※致命的なタップミスにより予約投稿ミスが起こって5時間遅れました。許してください。





(注意!

今回は現在コラボ中のスピンオフ作『異世界剣客の物語帳』の未公開部分の内容を含みます。

狐花にとら氏からは問題ないと返答を得ておりますが、どうしても気になる方はしばらくの間該当箇所を飛ばしてお読みください。)

※現在はあちらにて該当部分を公開済です。


というわけでわちゃわちゃ雑談回です。どうぞ。

「というわけだから、雑談しよう」


〈おい〉

〈軽率に実況放棄するじゃん〉

〈お嬢そういうとこある〉

〈話すことないんやなって〉


「まあ、それでお茶を濁すしかなさそう? ないかも?」

「なんかルヴィア、そのうち『グランドクエスト進行回は雑談枠』とか言い出しそうだよね」

「ソロだったらさすがにそこまでは行かない……と思う」

「尻すぼみですね?」


 だって、周りが強すぎるんだ。2クエスト続けて戦力が揃いすぎたフルパーティ、ソロは《酒蔵地下》の第一層で人形を大量に倒したのが最後。装備を変えてからあの一度くらいしかソロ戦闘自体をしていないから、今の私がどれだけやれるのか正確には把握できていない。

 ただ、今のコウモリ程度ならソロで五匹くらいまとめて飛んできても全く困らないだろう。そういう意味では、もしかしたら本当に雑談枠になってしまうのかも。






「雑談というと……クエストのこととか?」

「そういえばクレハ、《水路》のボス二枚抜きしたのよ。のよね?」

「ええ、まあ。倒してもクリアされていなかったので、もう一度行ったら余っていまして」


〈えぇ……〉

〈そんな軽いノリで言うことか?〉

〈ほんとこの姉妹おかしい〉


 そう、クレハとジュリアはごく最近、というか昨日にかなり大きな手柄を立てていた。

 二人が参加した《御触書・弐》の《王都の水路を越えて》にもボスがいたんだけど、それがレイドボスではなかった。一パーティで挑むようになっているボスが12人いて、手分けして全て倒せばクリアという形になっていたのだ。

 12パーティが動員されるとして、最大72人。1.5レイド分にもなる戦力をもって相手するはずのボスだったのだが、現実はそうはいかなかった。

 実際のボス戦参加プレイヤーは60人にも満たなかったらしい。それなのにあっさりクリアされたこのクエストのMVPが、クレハとジュリア。プレイヤー二人でボス三体を倒した姉妹である。


 近接火力二人だけでボスに挑んだ時点でおかしいというのに、それに軽々と勝利。それどころか翌日に素材採取のためダンジョンに潜り直したところ、まだボスが残っていた。これを見たクレハはあろうことか、ジュリアに煽てられるままにソロでボスを倒してしまった。

 これが金字塔と化したことで、最前線ではただでさえ高かった二人の知名度は爆上がり。私とブランさん、カナタさんに次ぐほどの認知度を保持している。


「他にもいろいろしてたよね。ちらほら聞いてるよ」

「気恥ずかしいのですが……どれも実際にやったことなので、何も言えないんですよね」

「最初は私から離れていたけど、意味があるのか怪しいくらいの人の集め方だったよね」

「なになに、デュエルの話ぃ?」

「最低限の振る舞いが身につく前でしたのに……今思っても恥ずかしいですわ」


 この最低限の振る舞いというのは、ロールプレイの定着のこと。まあ確かに、オフで見せてもらっていた練習中の光景と比べると見違えるように安定している。

 なんでも紫音に教えてもらったらしい。いずれ配信に映るだろうということで紫音の方から声をかけたと本人が言っていた。

 まあ、現役で活躍中の演技派プロ女優に教われば嫌でも上手くなるというものだ。


〈は? 裏山〉

〈シオンちゃんの友達とかいう爆アド〉

〈しかも同い年だよな確か〉

〈もしやクラスメイト……?〉








「それ以外だと……あ、クレハとジュリアの高すぎるPS(プレイヤースキル)の理由とか」

「ああ、それがあったわねえ」


〈ん?〉

〈お?〉

〈理由なんてあるのか〉


 言われてみれば、それもあった。しかもこれ、私も他人事ではない。

 一応個人情報ではあるけれど……コメントの反応を見た本人たちが乗り気になっていた。それならこのまま話を進めよう。

 なお、例によって今回もコメントは全員表示になっている。手元でコメントが流れるの、慣れていない人にとってはかなり楽しいようだ。


「実は、祖父が武術の専門家でして。実家は少し遠いのですが、帰省した時には稽古をつけてもらっていたんです」

「私は棒術、姉様は剣術でした。お爺様はどちらもできる人で、護身術として教えを受けておりましたの」

「そういうわけで、二人は実際に武器が使えるんだよね。それもかなり」


〈へえ〉

〈やっぱそういうのあるんやなあ〉

〈リアルで運動できないお嬢も似たような動きしてるが?〉

〈どっちも化物なんだよなあ〉


 そこまでではないと思うけど……自分のVR適性(この場合は、VR空間で現実と比べてどれだけ動けるか)が人より高いらしいことくらいは自覚しているから、あまり強く否定もしづらい。


「でも確かに、ルヴィアはリアルだと持久走とか走り切れないくらいだもんねえ」

「去年の体力テストでやるだけやって、ふにゃふにゃになってリタイアしたルヴィア可愛かったよね……!」

「どうどう、それじゃただの変態よぉ。……まあ、リアル武術者ともやしが同じくらい動けるってのも凄い話よね? じゃない?」


〈もやし〉

〈はっきり言ったな〉

〈安定の暴走天使〉

〈この双子ド安定だな?〉


 ……フリューの発言は置いておく。その時介抱してくれたのが彼女だから、あまり無下にできないんだ。


 確かに、私はリアルでは運動が全くできない。ただ、それは素質がないからというよりは、これまでの半生でハンディキャップを背負ってきたからという面が大きい。長いリハビリでようやく日常の活動に困らなくなってきたばかりなのだ。

 それまでは生まれつきの病気で入退院を繰り返して、軽い運動にもドクターストップがかかるような体だった。普通の子が保育園や幼稚園の頃からつけていく運動神経を、私は中学時代の後半からようやく作り始めたようなもの。強引な言い方をするなら、それこそ運動経験そのものが小学生並みなのだから仕方ない部分もある。

 だから、私に運動センスがあるのかどうかは私にもまだわからない。家族はみんな動ける方だけど、私はどうだろう。


「まあ、運動音痴ではないと思うわよ? VRとはいえ、これだけ動けてはいるんだもの」

「だといいけどね……」


〈なるほど、特殊なケースなんだな〉

〈諦めろ運動音痴共、俺達に才能はたぶんない〉


 まあ、かといってその現実の運動神経に依存するわけでもあるまい。現実で普通に運動ができなくても、VRワールドでは動ける可能性は充分にあるはずだ。




 ……と、ここでジュリアが思い出したようにこちらを向いた。


「そういえばルヴィアさん、最初の頃の身のこなしは何を参考にしたのですか?」

「それはあの時のクレハの……ああ、そういえば。確かに、その影響はあるかもね」


〈なんだなんだ〉

〈それで思い出すようなことが?〉

〈ゲームのキャラとかじゃなくて?〉


「実は私、クレハたちの帰省について行ったことがあるの」


〈え?〉

〈帰省について行く仲ってあんた〉

〈友達の帰省についてくとかそうないぞ〉


 というのは、私の家庭事情が少々特殊なことが原因だ。

 父は経営者、母は歌手、そして妹は女優。普段から家で一人きりになりがちな鍵っ子なのだ。特に母と妹は、長期休暇の時期は逆に忙しくなる。現に今、紫音はロケ合宿で家を空けているし。

 今回の春休みは自宅にいるけど、私は長期休暇になるとしばしば他の誰かの家に身を寄せることが多い。幼馴染の家の厄介になることも多く、その一環でクレハとジュリアの実家にも行ったことがあった。


〈いやでも普通自分の親戚の家だろ〉

〈楽しそうだけどあんまり想像つかない〉


「小さい頃は私、病院と行ったり来たりだったから。さすがに他の家にそこまで迷惑かけるわけにはいかないし、交互に祖父母の実家に行っていたんだけどね。

 ただ、その時に迷惑掛けすぎちゃったから、治ってからもお世話になるのは心苦しくて」

「それを見てたウチのお母さんが、中三の夏にうち来なよって言ったのが始まりだったよね」

「うん。まずミカンのところで、それからいろいろと。家族ぐるみの幼馴染が3家族もいたから、すごく助かったよ」

「私達にとっては、ルヴィアは昔からアイドルだったものねえ? 休みのたびに争奪戦になってたり? してたり?」


〈なるほどなあ〉

〈そういう〉

〈争奪戦ってか戦争が見える〉


 もっとも、今は不自由しているわけではない。体力もついてきて家事もある程度ならできるようになったし、これでも料理はできるほうだ。

 ただ、これはもう習慣になっているのだ。今更やめる理由もないし、やめると言ったらたぶん泣く。フリューが。


〈じゃあ今も?〉

〈今も春休みだよな〉

〈この中に1~2人、同棲者がいる!〉


「今回の春休みはこの配信もあるし、家にいるよ。それはそれで新鮮な感じ」

「で、私とフリューとルプストが家事を手伝いに行ってるの。洗濯とか、体力いるし」

「なんか、通い妻みたいだよね! ね!」

「どっちかというと家政婦じゃない? ないかしら?」


 そんなわけで、私は皆にもらってばかりだ。それでいてあってないようなお礼しか要求されないものだから、いつかは返さなければという思いは強い。

 ……が、その素振りを少しでも見せるとこれでもかと甘やかされる。それはもう幸せそうに私を甘やかしてくるのだ。

 それで、なんとなく理解してしまっている。この子たちにとっては、私を甘やかすことそのものがご褒美なのだと。


 いつも思うのだ。私、ダメ人間にならずに大人になれるのかな……。

向けられる矢印で八方塞がりのルヴィアをすこれ。

なお彼女は充分な運動神経は持っていますが、身体能力の方が絶望的なので今後も現実世界での運動能力は残念なままです。所業無常ですね。


次回は火曜日、再び戦闘回でボス戦を含みます。彼女たちの息の合った戦いぶりをとくとご覧あれ。

ご満足、あるいはご期待いただけているようでしたら、ブックマーク、更新通知、そして評価ポイントの3クリックをよろしくお願いいたします。

本作、なんと10/31付で月間5位にランクインしております。作者もテンションが上がって続きを鋭意執筆中ですので、今後ともよしなに!





※↑ここまで予約投稿時点のテンションです。ダメージの大きいケアレスミスで現在作者のテンションはダダ下がりしております。

確認画面ではちゃんと確認しましょう。します。

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『Dual Chronicle Online 〜幻双界巡りの物語帳〜』

身内による本作別視点です。よろしければご一緒に。

『【切り抜き】10分でわかる月雪フロル【電脳ファンタジア】』

こちら作者による別作となっております。合わせてお読みいただけると嬉しいです。


小説家になろう 勝手にランキング

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