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Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜  作者: 杜若スイセン
Ver.0-1 戦いの始まり、《天竜城の御触書》
30/473

30.先入観は踏み台にするもの

 さて、そろそろ予定していたパートに移ろうか。これまでに習得したアーツと魔術の確認だ。

 すぐ隣に手が空いた観客が一人増えたけど、気にせずこのままいきます。


「まずは《片手剣》から」


 スキルレベル5、《スラッシュ》。少しだけ水平斬りの威力が上がる。せっかくなので検証してみたところ、倍率は1.05倍といったところだった。MP消費があることを考えると、あまり美味しい量ではない。型が固定されて安定するのが利点、なのかな。

 スキルレベル10、《ペネトレイト》。腰だめに構えてから、速度上昇を乗せて刺突する突進技だ。威力補正はないが、射程距離内なら普通に走るより速いからけっこう便利。


 スキルレベル20、《チャージストライク》。長い溜めから繰り出す斬撃だ。柿を打ち返すのに使ったやつ。

 最低一秒、最大十秒の溜めを要して、溜め時間に応じて威力が上がる。威力は初期スキルにしては高いけれど……溜め一秒は実戦では長すぎる。突進してくる敵を迎え撃つ分には使えそうだけど、接敵中に使うのは無謀だろう。


「で、スキルレベル30。《バックフロント》ですね」

「使う時は強い、使う場面は皆無」

「たまに役には立つので、悪くないですけどね」

「それはソロだからでは……?」


 柿拾いの最中、ソロで熊と戦った時に使ったアーツだ。その場で素早く振り返り、その流れでの横斬りの威力が上がる。使う分には使えるのだけど、そもそも使う機会が少ない。

 背後に敵がいるという状況そのものが、できる限り避けたいものなのだ。自由に動けるソロであればコンボで繋ぐこともできるが、パーティプレイではそうもいかないからなおさら。

 では後ろを向けばいいのかと思えば、そんな隙を作るくらいなら《チャージストライク》の方がまだ楽で強い。

 使えるように覚えておけばいざというときに役に立つ、というくらいかな。これでないと打開できない場面はありそうだ。


「私はまだですが、スキルレベル40では《エッジラッシュ》というアーツが追加されるそうです。連続攻撃時に威力アップ」

「かなり使い勝手がいいですよ。使える場面では、DPS(かりょく)が目に見えて上がります」


 これはカナタさんが習得していたので、そのまま見せてもらった。

 一撃ごとに《スラッシュ》と同程度のMPを消費して、あちらよりやや低い倍率からスタート。一秒以内に攻撃を当てると継続して、段々威力が上がっていくアーツだ。

 敵の隙に合わせて発動することで大火力を発揮することができる。ハメ技防止のためか効果中はノックバックが消えるものの、それでも充分なパワーがあるのだとか。


「まあ、私は使わないと思います。MPは魔術に使うので、ここまで消費が激しいと……」


〈だろうな〉

〈魔法剣士だから〉

〈羨ましいなチクショウ〉






 次に《パリィ》。こちらは条件発動のパッシブで、習得は10レベルごとだった。

 10で《セーフティパリィ》。パリィ成功タイミングの前後に「パリィには失敗したが、ダメージは大幅に軽減される」タイミングが追加。これ、実は度々使っている。

 さらに20で《プッシュパリィ》。STRで勝っている時、押し込んで弾くことで敵に一瞬の行動遅延(ディレイ)。相手は選ぶものの優秀なアーツで、これもよく使う。

 30では《バスターパリィ》。弾く前に一度剣を引き戻すことで、より大きく攻撃を弾くことができる。使いづらさはあるが、狙える時に成功すれば役に立つアーツだ。


 なお、《パリィ》40レベル到達者はまだいないらしい。もしかしたら私が最初になるかも。


「前から思っていたんですけど、ネーミングがことごとく野球のバントなのは何か意味があるんでしょうか」

「さあ……」


〈草〉

〈草〉

〈草〉

〈着眼点そこ?〉


 たぶん、レベル40のアーツは《ドラッグパリィ》とかになるんじゃないかな。




 そして《回避》。こちらはまだレベル30に届いていないけど、掲示板情報も合わせて。

 10で《キープ》。至近距離で敵の攻撃を避けた時、敵の懐に入りやすくなる。無難に使えるアーツだけど、タンクとの兼ね合いに要注意。

 20で《フェイント》。一歩踏み込んですぐに戻し、敵の攻撃を誘う動きが行いやすくなる。リアルスキル持ちのプレイヤーには不要とはいえ、こういうアシストは意外と助かるものだ。

 30では《オーバーラップ》。回避しつつ敵の勢いを余らせて横合いに誘い込んだ時、敵の方へ振り返ると次の攻撃にディレイの追加効果が入る。これも使いどころを選ぶが、追加効果のおかげでパーティでも使用機会はある。

 40になると《カウンター》が開放されるらしい。敵の攻撃を回避した時、一瞬だけ攻撃力が上昇する。あって損はないアーツだ。


「こっちは露骨にサッカー用語なんですよ」


〈なるほど〉

〈それでバントか〉

〈それならわかるな〉

〈手のひらクルックルやんけ〉






 その他アーツもざっと、気になったものを適当に振り返っていく。


 《薬草看破》。10で《薬毒分別》。オンにすると薬草と毒草、両方の性質を持つ植物がそれぞれ色分け表示される。

 《索敵》。20で《サイズサイト》。敵としかわからなかったところを、その敵の大きさが大まかにわかるようになった。


 特に大きな変化はこの二つだろう。全体的に効果上昇系が多かった。このくらいしか特筆することはないので、次。








「魔術のコーナーです」


〈待ってた〉

〈やったぜ〉


 まずは《治癒術》から。

 スキルレベル1で《クイックヒール》。読んで字のごとく、短い詠唱でHPを回復する。この詠唱の短さが出色で、他の術を覚えた後も時々使いどころがある。

 10で《キュアヘルス》。こちらがスタンダード。現時点ではバランスのいい、使い勝手のいい回復術だ。


「ここから先は掲示板情報です。私、ソロ視野のアタッカーなので」


〈しゃーないね〉

〈お嬢はまだ10台か〉

〈10代?〉

〈合ってるが?〉


 20で《マナシフト》。味方一人のMPを回復する。ただし、回復量は使用MPの八割。HP回復と違って、使い道は多くない。

 30で《ラージヒール》、そのまま大回復だ。MP効率が上がる代わりに、詠唱は長め。使い分けが肝要だ。

 40で《リジェネレーション》。まあ名前の通りで、自分含む味方一人に継続回復(リジェネ)状態を付与する。本職ヒーラーは多用するらしい。







「次は……《植物魔術》にしますか」


 スキルレベル1、《クリーパーヴァイン》。いつも使っているつるのムチだ。便利だがリアルDEXが大事。普通に使っても強いけど。

 5、《リーフエッジ》。端的に言えば、はっぱカッターである。射程は短めな代わりに高性能で使いやすい。実はこれ、属性魔術の40とほぼ同じ性質らしい。

 10、《フラワーストーム》。はなびらのまい。ただし混乱はしない。威力は微妙だが花びらが邪魔で、目潰しには最適だ。こちらからも見えなくなるけど。

 20、《グラスケージ》。大きな草で敵を閉じ込める。……のだが、耐久力はそこまでないので割とすぐ破られる。あまり使わない。南無。

 30、《サップアンバー》。樹液の弾で当たった敵のSPD(すばやさ)を下げる。やや高燃費だけど、なかなか便利。

 意外なことに、植物魔術の40はまだ到達者がいない。現状エルフ限定で母数が少ないからだろうか。


「《サップアンバー》は覚えたばかりですが、今後は多用するかもしれませんね」


〈強いな〉

〈英語で琥珀の樹液?〉

〈ほっとくと固まりそう〉

〈検証班ー!〉






「さて、最後は《風魔術》と《氷魔術》ですが、これらは属性魔術ですね。八属性それぞれの魔術は、少なくとも今のところはコピペみたいな性能をしています。名前と属性以外は共通です」


〈せやな〉

〈エフェクトは微妙に違ってて面白い〉


 まあ、まだベータだ。多様化したシステムはまだまだ先のこと。


 そんな属性魔術、スキルレベル1では《バレット》系。風は《エアロバレット》、氷は《アイスバレット》だ。

 説明? 弾。癖がなくて使いやすい。以上。


〈雑ゥ!〉

〈まあ他に言うことないよな〉


「それぞれ追加効果はありますけど低確率で、DCOの魔術はそれ狙いで使うものじゃないですからね」


 SL5、《ロア》系。風は《アトモスロア》、氷は《フリーズロア》。

 ビームというか、レーザーのような感じ。詠唱が長くMPもそこそこ消費するが、代わりに威力と射程を両立している。


「総じて使いやすい魔術ですね、ロア系は」

「純後衛ならともかく、ソロでそんなこと言えるのルヴィアさんだけだと思いますよ?」


〈それ〉

〈ほんそれ〉

〈剣振りながら詠唱できるお嬢がおかしいんよ〉

〈プレイヤー組、猛反論〉


 次はSL10、《プロード》系。風は《ゲイルプロード》、氷は《コールドプロード》。

 範囲爆発だ。射程は短く消費は大きいが、当たり判定が広くて高威力。詠唱も比較的短め。《ポイント・キャスト》が使えれば、火力が欲しい時に強い。




 SL20は《ホーミング》系。風は《ガストホーミング》、氷はまだ覚えていない。

 もはや言うまでもないだろう、追尾式である。威力は低めなものの、回避の強い敵は大抵紙装甲なのでよく効く。

 なお、プレイヤー視点では回避方法はある。ギリギリで横を掠めるようにすれば、それ以上追ってこないそうだ。


「こんな感じですね。たぶん、PvPの時に詰まないための抜け道でしょう」


〈自分の魔術を自分に撃ってる……〉

〈これも高等技術では?〉

〈流れ弾が全部当たるカカシパイセンに敬礼〉


 そしてSL30で覚えるのは《アロー》系、風は《ウィンドアロー》。

 ……なのだが、ぶっちゃけ弱い。射程の長さは随一なのだが、普通そんな距離で攻撃するのは弓使いだけ。威力がバレットよりも低いせいで、かなり使いづらいのだ。消費は軽いけど、バレットも同じくらい軽い。

 遠くの敵を近づかずにタゲらせたい時に使うかな、という程度。このスキルレベルで覚える術にしては物足りないし、パーティに弓手がいればその使い道すらない。現状では私もほぼ使っていないほどだ。


「というのも、ジルさんがいましたからね。ダンジョン内で覚えたのに、敵寄せにすら使っていません」


〈悲しいなぁ〉

〈諸行無常なり〉

〈エフェクトはかっこいいのに……〉








「……それにしても、本当にそれだけなんでしょうか」

「カナタさん?」


 あまりに報われないからと私が手遊びに《ウィンドアロー》を案山子へ撃ち込んでいると、横のカナタさんが首を傾げた。

 まあ、気持ちはわかる。射程以外の全てが初期魔術である《バレット》に劣る魔術とか、何かが隠されているか調整ミスかのどちらかだろう。

 かといって、調整ミスだとして威力を上げると今度は《バレット》がお払い箱だ。ほかの魔術はそれぞれ特色があるのに、《アロー》だけは《バレット》に似すぎている。


「何かありそうじゃないですか?」

「例えば?」

「本物の矢とも差別化されているとして……例えば、無理なく同時撃ちができるとか」


 またまた、そんな。


「とはいっても、魔術はひとつずつしか詠唱できませんし。もし同時撃ちをするなら、編んだ魔術をストックできないと……」


〈いやさすがに無理だろ〉

〈歩きながら詠唱するだけで難しいのに〉

〈できたらかっこよさそうだけどなー〉


 例えば……作った緑色の矢をそのままに、例えばそれをコピーするイメージで……。


 …………うん?


〈あれ〉

〈増えてるぞ〉

〈矢が分裂してるんだが?〉

〈*イシュカ:待って何それ〉

〈えっちょっと〉

〈まてまてまてまて〉

〈は? は???〉

〈*ルプスト:それ知らないんだけどぉ!?〉





〔《連唱》を習得しました。対象魔術の複製が可能になります〕





「……できましたね」

「……できちゃいましたね」


 フラグ回収、早くない?








────────────────────────




ルヴィア Lv.23


性別:女

種族:エルフ

属性:風

特殊:火属性取得不可(永続) 被火属性2倍(永続)

状態:


VIT:42

STR:120

AGI:151

DEX:143

INT:132

MND:130


種族スキル:《森林歩法》Lv.27 《植物魔術》Lv.32 《薬草看破》Lv.14 《鷹目》Lv.17


汎用スキル:《片手剣術》Lv.38 《パリィ》Lv.39 《回避》Lv.26 《風魔術》Lv.30 《治癒術》Lv.16 《索敵》Lv.28 《解体》Lv.27 《直感》Lv.26 《攻撃予測》Lv.30 《鑑定》Lv.11 《採集》Lv.12 《氷魔術》Lv.18 《罠探知》Lv.8

偶然見つかったバグみたいな反応をされていますが、仕様です。《連唱》は今後もたびたび出てくることになります。

唐突ですが、次回でようやくバージョン0編の半分が終わります。それに伴ってしばらく出していなかったステータスを載せておきました。現在こんな感じになっております。


次回は土曜日、2度目のみんな大好き(?)掲示板回です。王都到達後のいろいろ。作中3週間にわたるベータ編もいよいよ折り返し。

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『Dual Chronicle Online Another Side 〜異世界剣客の物語帳〜』

身内による本作サイドストーリーです。よろしければご一緒に。

『【切り抜き】10分でわかる月雪フロル【電脳ファンタジア】』

こちら作者による別作となっております。合わせてお読みいただけると嬉しいです。


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