一途とは
帰ってきた。俺は天使のみさちゃんのデートを監視するために後ろをつけていました。
まだ高校生だから。付き合いも健全じゃないとだし?そう、監視のため。決してストーカーなどではありません。うん決して。
「はぁぁぁぁぁぁぁみさちゃん~かぁいいなぁ~~~。まじ彼氏なんなん?俺の方が絶対みさちゃんを幸せに出来るし愛しているのに。」
♪♪♪♪
バカな独り言を部屋で呟いているとスマフォが鳴りました。
画面に写し出されるおーはしという文字。嫌いです。恋愛の価値観が合わないからです。
というか一ついいですか?合わない人多すぎです。一人の人を愛し、その人にすべてを捧げる。相手が自分を思っていなくとも自分は相手を思い続ける。そう一途なんです。これこそが愛。だから俺はみさちゃん一途。その愛の証拠に部屋にだってカバンにだってみさちゃんの写真。くぅぅかぁいい~><
おーはしからの電話は無視。そして画面に写し出された18時半という数字。
「やべっバイト遅れる!!」カバンにお守りみさちゃんを詰めてバイト先のホクドナルドへダッシュ。
葵視点
「はぁぁ美咲先輩可愛すぎですよ~><手繋いでウィンドウショッピングからの彼氏とゲームセンター。ふっふーん、ゾンビを銃で打つゲームに悪戦苦闘する美咲先輩、クレーンゲームをする彼氏さんを応援する美咲先輩、クレーンゲームで可愛い妖精さん?(多分ポリキョア)ぬいぐるみを彼氏に取ってもらって喜ぶ美咲先輩、今日も写真大収穫ですね~」
とベッド上でうつ伏せに足をパタパタさせながら本日の写真鑑賞会に浸ります。しかし、一つ気になることが。
「今日の美咲先輩のデート、変だった。ずっと挙動不審な男が隠れながら(あれで隠れてるつもり?)付いてきている男がいたんだ。どこかで見たことある気がするけど・・・要チェックね。」
空並視点
はぁぁ…面倒くさいバイトにため息。
「おつかれさまで~す」
!?その声に心臓が飛び跳ねました。
「今日、かおりん出勤だったなんて。」
彼女は琵琶香里といいます。香里ちゃんはとても可愛い。整った顔立ちに可愛らしい声。
実はかおりんはスペア。みさちゃんがダメだった時の保険。可愛い。今日シフト表に名前なかったから油断してたよかおりん...
「空並さん、そこ変わります。」
「え、あ、」
いきなりかおりんに話しかけられて必殺技コミュ障発動です。
言葉に詰まって硬直している俺を蔑むような目で見てかおりんは俺の持ち場を奪取。
その蔑むような目が気持ちいい。
今日のホクドバイトは脳内かおりん一色。ごめんねみさちゃん。そう一言呟きました。