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丸め子と博士3

丸め子はなんだか泣きたい気分になってしまいました。

心の奥が締め付けられ、鼓動が早く波打ちました。


しかし、彼女の顔は硬く動きません。


彼女はこんなに悲しんでいるのに、表情を変えることも出来ず、もちろん、涙も流すことも出来ずにいました。



それでも確かに、彼女の心は悲しみに満ちていました。

今ではびちゃびちゃになって重く潰れてしまった丸太でしたが、彼女は丸太を抱きしめてじっと悲しみに耐えるのでした。



それでも丸め子は諦めませんでした。


そういえば、仲良しのクレアは牛乳が好きで、よく飲んでいました。

クレアは肌が白く、手を握ると柔らかくすべすべの肌をしていました。


牛乳は白いですし、もしかしたらクレアの肌が白いのは牛乳のおかげかもしれません。



早速丸め子はギシギシと唸る体を必死に動かして、冷蔵庫に入っている牛乳を小さなお鍋に移しました。


お風呂から出たら、あっという間に丸め子の体は以前の冷たい金属に変わってしまいました。なので、今度は牛乳をあつあつにしてから飲んでみようと思ったのです。


温かいものを飲めば、人間のような温かな体になるかもしれないと思ったのです。



お鍋に火をかけしばらくすると、ふつふつと小さな泡が牛乳からたくさん出てきました。


コンロの火を止めると、丸め子の顔にブワッと牛乳の香りの蒸気が舞い上がってきました。

すうっと香りをかぐと、なんともいえない生臭い香りがしました。


いつも関節がスムーズに動くように塗っているオイルの香ばしい香りの方が、丸め子には魅力的に感じるのです。


その牛乳を、カップに注ぐと、一気に飲み干しました。


すると、口から飲んだ牛乳は、いつもオイルを塗っている身体中の関節から吹き出てきました。その瞬間、

「ピーピーピー」

という機械音とともに、丸め子は床にバタッと倒れ込んでしまいました。


丸め子の中に入っている精密機械が熱い牛乳によって壊れてしまったのです。


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