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セラフィの成長と装備の効果範囲

 何が起こったのか分からないまま、ただただ音がした方向へ振り返ると、そこには俺がグスタフを止めるように伝えて行動していたはずのセラフィが瓦礫に埋もれるように倒れていたのだった。


「セ、セラフィッ!? 一体、何があった!?」


 エアハルトのことはヘルミーナに任せて、俺は直ちにセラフィの元へと向かう。どうやら、致命傷は負っていないらしく、むくりと身体を起こすセラフィの元へ駆け付けると、自身の不甲斐なさを謝罪するような言葉をセラフィが口にした。


「あ、主様……。申し訳ありませんっ! 不覚にも、あやつの、グスタフの振るった魔剣による一撃をまともに食らってしまいました。ですが、このような失態を再びおかすつもりはありませんのでご安心を!」


「魔剣の一撃を食らっただって!? 本当に大丈夫なのか? あの魔剣で斬られると、どうやら良く分からない毒に、猛毒に侵されるみたいなんだぞ!?」


 俺は重傷を負ったエアハルトの鑑定結果から推測したことをセラフィに伝える。


「ふむ。猛毒、ですか。ですが、どうやら私は問題ないようです」


 セラフィの言うように、確かにセラフィ自身は特に大きなダメージを受けた様子もなく、どちらかというと、セラフィが避け切れずにぶつかった謁見の間の壁や天井のほうがダメージが大きい。とはいえ、娘から魔剣による攻撃を受けたと聞かされて何とも思わない親なんていない。すぐさま、セラフィを鑑定することにした。


『名前:セラフィ

 種族:魔動人形?(女性) 年齢:0歳 職業:神の眷族の従者、勇者

 所属:朝比奈晴人

 称号:朝比奈晴人の従者、朝比奈晴人の初めて創った魔導具

    朝比奈晴人の娘、剣聖、神の認めし勇者

 能力:SS(筋力:SS、敏捷:SS、知力:SS、胆力:SS、幸運:SS)

 体力:999,999/999,999

 魔力:999,999/999,999

 特技:剣聖術:Lv10、体術:Lv10、魔法自動回復(毎時10%回復)、生活魔法、礼儀作法、整理整頓、勇者紋

    装備による付与効果(物理無効、魔法無効、状態異常無効、即死無効、疲労耐性:Lv10、全属性耐性:Lv10、病気耐性:Lv10、腐食耐性:Lv10)

 状態:健康

 備考:朝比奈晴人が初めて創り上げた魔動人形。

    製作者である、朝比奈晴人が名を授けることで生を受けた。

    三対の翼はセラフィの持つ魔力が溢れて具現化したもの。

    自己の意思を持ち、自由に行動することができる。

    製作者である、朝比奈晴人の命令にのみ従う。

    能力は、朝比奈晴人の神格により変化する。

    スルーズ神により、真なる勇者へと任命された。

    完成品(損傷率:0%)、構成素材(不明)

    身長:162cm、体重:52kg(B:86、W:56、H:87)』


 んんん? 思わず、首を傾げる。確かにセラフィの状態は特に問題ないようだ。だが、そんなことよりも以前鑑定したときと随分ステータスが変わった気がする。職業に『勇者』なんて付いたのは、間違いなく世界神のせいだろう。備考欄にもその旨が記載されている。


 それだけでなく、称号の欄にも『神の認めし勇者』との記載がされている。その隣にある『剣聖』というのは、恐らくゴットフリートから剣聖勲章なるものを受けた結果だろう。だが、そのせいか分からないが、特技として『剣聖術』なるものが追加されている。


 確か、ビアホフは『聖剣術』という特技を持っていたが、それとはまた別のもののようだ。どちらかというと、『剣術』の上位スキルといったものらしい。


 また、いつの間にか『体術』を覚えていたのは狩りを行うことが増えたからだろうか。となると、『生活魔法』や『整理整頓』が増えたのは魔導具店の皆の引っ越しを手伝ったりしたせいだろうか。勇者紋については言うまでもない。また、装備による耐性付与もこの欄に表示されるらしい。


 セラフィを鑑定していて気づいたことがあった。そういえば、皆の装備には『物理無効』や『状態異常無効』を付与していたのだ。グスタフの魔剣ティルヴィングから攻撃を受けたとしても問題があるはずがなかった。


 うん? だとしたら、なんでエアハルトはあんなにダメージを受けたんだ!?


 そう、謁見の間に突入する直前に俺は彼らの装備に対して耐性付与を行ったのだ。それにも関わらず、両腕を肩から切り離されるほどのダメージを受けるなどという事態が一体どうして起こったのか? 不思議に思い、改めてエアハルトの様子を確認する。すでにあれほどのダメージを負った傷も癒えたらしく、ヘルミーナに支えられながらハインリヒとアポロニアのもとへと向かっていた。


 ふむ、両肩と両腕は問題なく繋がったようだな。ん? そういえば、エアハルトの両肩って……。


「そうか!」


 改めてエアハルトの装備、というか彼が身に纏っているものを見ると、エアハルトの戦闘スタイルもあってか、装備は非常に軽装となっている。つまり、全身を覆うような鎧などではなく、袖のないタンクトップのような軽そうな上着に肘を守るサポーター、そして、胸当てといったものだった。そう、両肩が露出した装備だったのだ。


 そういえば、エアハルトのような装備はヴェスティア獣王国に入ってからよく見かけていた。


 特に、成人した男性にその傾向が多かった。何故そのような装備が多いのかというと、ヴェスティア獣王国が南方に位置しており気温が高いことと、獣人族の肉体の強靭さ、そして、とある風習が影響している。


 その風習とは、獣人族の男性は優れた肉体を持つ者こそが強者であり、それを相手に見せつけることでどちらが優れているか優劣を競い合うというものだ。それ故、薄着で筋肉美を見せつけるようなファッションが伝統的な衣装なのだそうだ。


 因みに、多くの服を着こんでいると『自身を鍛えていない軟弱者』や『自身の力を見せられない臆病者』として見られてしまうらしい。しかも、それは男性からだけでなく、女性からの評価にも直結するそうで、もし意中の女性を射止めようとするのならば、まず自身の肉体から磨かなければならないのだ。その話を聞いたときに、転生する際に獣人族を選ばなくて良かったと心底思ったものだ。


 少々話が逸れたが、つまるところ、俺の掛けた付与魔法は『装備』に対してであり、『装備』によって守られていないところにまでは効果が及んでいなかったのだ。その結果、エアハルトの両腕が斬り飛ばされるという事態が起こってしまったというわけだ。


 うーむ、これは改善しないといけないな……。


「セラフィ、俺が用意した装備には付与魔法が掛かっているが、それはあくまで装備にだけだ。肌が露出している所に攻撃を受けないように気を付けて!」


 セラフィに声を掛けながら、俺は、彼女の、装備から露出しているところを心配して見つめてしまう。そう、彼女の装備で露出しているところ、それはミニスカートとニーハイソックスとの間であり、『絶対領域』と呼ばれるところだったのだ。


「あの、主様……。あまり見つめられますと恥ずかしいのですが……?」


「おっと、すまん! えっと、その、気を付けるんだぞ!」


「はい、主様!」


 グスタフの元へと再び駆け出すセラフィを見送っていたのだが、セラフィよりも先にグスタフの前に出た人影を視界に捉えたのだった。

いつもお読み頂き、ありがとうございます!

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