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皆の装備を創ろう!

 昨日、クルトの店でアメリアが選んだ貴族の子供の洋服を参考に、色合いを黒色を基調としたフード付きロングコート風のジャケットと、それに合わせたロングパンツと、それと合わせた革製のブーツを創造した。


 これなら貴族らしい重厚さも何となくあるし、冒険者としても活動できると思う。もちろん、ベンノたちに支給した制服と同じ様に付与魔法で強化している。そんじょそこらの防具よりも確実に防御力は高いだろう。


 そんなわけで今日から早速この装備に着替えて活動することにした。


「ということで、今日からこの衣装で活動しようと思います。どうでしょうか?」


「「「カッコいい!!!」」」


「ま、まぁ、良いんじゃない? 貴族に見えるかどうかは置いておいて」


 うーん、ヘルミーナの反応を見ると、やっぱり貴族らしくはないのかも知れないが、皆からの評価は良好だったので、恐らく似合っているのだと思う。


「ところで、よろしければ皆さんの装備も新しくご用意しようと思いますがいかがでしょうか? 魔法を付与できることもベンノたちの制服と私のこの服でも確認できておりますし」


「本当に!? それなら是非お願いしたいよ!」


「私もハルトが装備を作ってくれるのなら、是非お願いしたい!」


「主様、私もよろしければお願い致します!」


「ま、まぁ。用意してくれるのなら、ありがたく頂くわ。もうすぐ獣王国へ向かうことになるわけだし、装備も整えないといけないから」


 うん、ヘルミーナの言う通り、獣王国へ向かうことになるし、この際皆の装備は新しくしたほうが良いだろう。


「では、皆さんの装備を用意しましょう。早速ですが、皆さんのご希望を伺ってもよろしいですか?」


「「「ハルト(主様)とお揃いが良い(です)!!!」」」


「わ、私もハルトとお揃いが良い、かな」


 ふむ、皆そう言うけれど、本当に俺とお揃いで良いのかな?


 個人的にはベースは同じでも、皆の個性や戦闘スタイルに合わせたデザインにしたいと思う。


 例えば、アメリアは先頭に立って剣を振るう典型的な前衛タイプの剣士だ。動き易いパンツルックなスタイルのほうが良いと思う。それに比較的背の高い方だし、きっと良く似合うだろう。ついでに某国民的RPGの聖剣を模したロングソードも同時に用意することにした。


 カミラは前衛タイプのアメリアを魔法によってサポートする後衛タイプの魔法使い。だから、そこまで前戦に出ないからか動き易そうな短めのスカートにニーハイブーツスタイルだったのだが、これはそのままのほうが良かろう。こちらも同じく某国民的RPGに出てくる賢者が持っていそうな杖を用意しようと思う。


 ヘルミーナは錬金術師なのでどちらかというと後衛タイプなのだが、戦斧を振るいながら、前衛にも出ることができる(ただし、斧術のスキルレベルがLv:2だったことから得意とまではいえないようだが)。そんな彼女は薬品を幾つも居れたポシェットを腰に下げており、キュロットスカートにニーハイソックスとブーツと言うスタイルなのだが、これもそのままで良いだろう。同時に、こちらも某国民的RPGの知識を基に、魔力を消費して大ダメージを与える戦斧の用意を進める。


 最後にセラフィだが、彼女の戦闘スタイルも戦乙女の騎士鎧姿からして完全に前衛タイプなのだが、正直、そのステータスからはタンクもアタッカーも、どちらもこなせるだろう。今回用意するのは皆とお揃いの服をベースに両胸を覆うプレートメイル、ミニスカートにニーハイソックス、それから脛当てと鉄靴を備えたブーツをイメージしてみた。戦乙女の騎士鎧よりも、より可愛さを重視した格好だ。更に、某国民的RPGのエクストラダンジョンで手に入る最強の剣をモチーフにした両手剣を用意するつもりだ。


 えぇ、もちろん全て俺の趣味ですが、何か?


 さて、イメージが固まったので早速皆の装備を創造する。


「創造『アメリアさん、カミラさん、ヘルミーナさん、セラフィの装備』!」


 すぐに俺の目の前に光の柱が四つ立ち上る。


 それぞれアメリア、カミラ、ヘルミーナ、そしてセラフィの装備分なのだろう。最初は一つの光の柱から皆の装備が現れると思っていたので驚いたが、恐らくアメリアたちの名前をそれぞれ言葉にしたことが原因だろうか。


 でも、これって同時に複数の創造ができるってことになるのか。あまり、それが必要になる機会は少ないだろうが、気付くことができたのは良かったのかもしれない。


 そんなことを考えている間に光の柱が少しずつ消えて、そのあとには俺がイメージした通りの装備が四人分現れた。それぞれ、トルソーにディスプレイされた状態だったので、着用した時のイメージが良く分かる。


「お待たせしました! こちらから順に、アメリアさん、カミラさん、ヘルミーナさん、セラフィの装備になります!」


「「「「おおおっ!?」」」」


「一応、服や防具だけでなく、武器も合わせて創ってみました。もし、気に入って頂けたなら、使ってもらえると嬉しいです」

 

 ぶっちゃけて言うと、本当に生前のゲームに関する知識で創っただけの物だ。だが、創造する際に同時に幾つかの魔法の効果を付与しておいた。その結果、この世界でも有数の伝説の武具(つまり、アーティファクトだが)と言えるものになってしまったが、仕方がない。


「おおっ! これがハルトの用意してくれた装備かっ! 格好良いじゃないか!」 


「ハルトの用意してくれた装備……。ハルトとお揃い、可愛い? それとも格好良い?」


「流石は主様です! 私の装備は完璧です!」


「何だか、ハルトが私たちをどういう風に見ているのか、本当に良く分かる装備ねぇ。もしかして、これがハルトの趣味なのかしら? もし、それが本当なら、ちょっと心配になるわね」


「ちょっと、ヘルミーナさん何てことを仰るんですか!? 私は皆さんの個性を活かそうと、今の皆さんのファッションを基に新しい装備を考えただけで、全く趣味や嗜好なんてものはこれっぽっちも入っていないですよ、本当に!」


 そうヘルミーナに返したのだが、小心者故か両の目がクロールで息継ぎもせずに泳ぎまくっていた……。


「すみませんっ! 完全に私のイメージと趣味の結果ですっ!」


 多少やましい気持ちもあったので、皆の前で所謂ジャンピング土下座をしながら自分の趣味で創ったことを告白したものの、創った装備について皆の評価が意外と高かったようで、俺の趣味についてはさて置きと、思い思いにそれぞれの装備を抱えて自室に戻り、早速試着した状態で戻ってきたのだった。


「皆さん! 本当に素敵です! 凄く似合ってますよ!」


 ぶっちゃけ、本当に皆似合うというか、イメージしていた通りの会心の出来栄えであることが分かったので、俺は皆に感じたままの感想を口にしたのだが、皆照れたような仕草で応えてくれた。


「そ、そうか!? きっと、ハルトのセンスが良かったんだよ!?」


 アメリアが照れて頬をかきながらそんなことを言うと、カミラも続ける。


「ハルトの服のカッコ良いところを残しつつ、可愛く仕上がってる! つまり、カッコ可愛い!?」


「カミラの言う通り、格好良さと可愛さのどちらも感じる仕上げにはなっているような……。でもカッコ可愛い、ね。言い得て妙、といったところかしら?」


 どうやら、カミラとヘルミーナも気に入ってくれたようだ。


「流石は主様です! この装備は戦乙女の騎士鎧よりも動き易いですし、特に、主様の趣味を反映していながらも、かつ高い防御力を備えているところなど……。本当に、素晴らしい装備です!」


「ちょっ、おまっ!?」


 せっかく話題が逸れたのに、セラフィが再び俺の趣味に関する話題をぶっ込んできたので思わず焦ってしまったのだが、もはや後の祭りだった。


「「「ふーん、ハルトの趣味ねぇ。それで、ハルトの趣味っていうのは、一体どういう趣味なのかなぁ!? お姉さん、そのあたりをもぉっと詳しく知りたいなぁ?」」」


「い、いやぁ。どういうも何も、普通の趣味ですよ。そう、本当に、一般的なものですよ。まいったなぁ、アハハハハハ……」


「「「へぇー、そうなんだぁ? 今日はまだまだ時間もあるし、じぃっくりと、お話を聞かせて貰おうかなぁ?」」」


「(主様、申し訳ありません! ファイトですっ!)」


「(セラフィーっ!?)」


 こうして、俺は皆の装備を創ったのだが、同時に俺の趣味について三人の怖いお姉さんたち(とセラフィも加わり)から尋問されることになったのだった……。


 因みに、その後彼女たちはこれまでの装備から、今回新たに創った装備を標準装備にすることにしたと、少し恥ずかしそうに伝えてきた。俺としても大満足な結果となったのだった。

いつもお読み頂き、ありがとうございます!

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