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電脳世界ファンタジー冒険物語RPG  作者: 祐。
一章 電脳世界ファンタジー冒険物語RPG
8/9

〈フィールド〉身の丈に合った冒険のすゝめ

 現在のステージ〈フィールド:ガトー・オ・フロマージュの豊かな地〉


 ・絵に描いたような、大自然。現在地は、平原。他、波打つ断崖の丘。魔力が含まれた青空の天井。流れ往く雲の群。眩しい太陽。天高く飛ぶ、鳥、モンスター、竜、そして……メカニックな飛行船。

 ・奥には、漠々たる山脈。所々に空洞。上から落ちてくる滝。崖際の巨大な城。浮遊する岩石を周囲に漂わせ、熱風、山の尖端に雷。

 ・丘の高台の下には、平原や森林。平原には、序盤のモンスターが徘徊している。森林は、深い緑で覆われている。又、竜が住んでいそうな、果てしない湖。おんぼろの館。魂のようなものが徘徊し、森から巨大生物が顔を出している。

 散策を堪能した主人公アレウスは、メインクエストの進行を再開していた。


 主人公アレウスを案内する、赤い矢印。それがメインクエストの発生場所を指しており、それを頼りに主人公は平原を歩き進めていく。

 ……が、主人公アレウスは直ぐにも矢印から逸れた。目についた光景が気になり、そちらを優先してしまうのだ。


 勇敢なる魂(ブレイブ・ソウル)から、球形のミントが現れる。また案内を無視した主人公を軌道修正するために、少女はふわふわと彼の後を追った。




 主人公アレウスは、足を止めた。


 目の前にした、光景。視界には、深い緑の森林。

 道が続いている。その森林に、呑み込まれるようにその道は伸びていた。


 内部は、暗がり。陽の光が遮られ、闇に支配されていた。

 森林の入口に設置されている、鳥らしき形を模した木のオブジェ。その、頭部かクチバシかにエフェクトがかかっており、それに吸い寄せられるように主人公アレウスは歩き出す。


 ――森林に近付くと、周りの環境音が変化した。

 森林から流れてくる、ゴゴゴ……のような、陽の光を一切と許さない深い森の雰囲気。同時にして、視界の周囲には、陰りのある葉っぱが舞い出した。


「ぉ、ぉおっ……なんだか――雰囲気あるなぁ! ……音がするぞ。ズモっズモモッ、って!!」


 主人公アレウスは、とても楽しげにミントへと振り返った。

 「はぁ」相槌を打つミント。ふわふわと球形で浮きながら、それに続いて、

「この先にも、〈森林エリア〉が展開されております。その出入りは自由であるため、〈森林エリア〉への進入は可能でございます」と言った。


 ――ほう。

 ドキドキが胸に溢れ出す。今にも、主人公アレウスはその一歩を踏み出した。


「ですが、」


 付け加えられたそのセリフに、主人公アレウスは足を止める。


「現在は、〈森林エリア〉への進入をオススメしません」

 振り向く主人公アレウス。ミントは、ふわふわと漂いながら、「最低でも、現在の装備を見直してからの進入をオススメいたします。というのも、〈フィールド:ガトー・オ・フロマージュの豊かな地〉の〈森林エリア〉とは名ばかりであり、その実態は、一つの〈ダンジョン〉、であるからでございます」


 と言いながら、入口に設置されている鳥らしき形を模した木のオブジェへと近付く。


「〈森林エリア〉に設定されしその難易度は、非常に高いです。それは、現在の主人公様では到底敵わぬほどのものであり、その心を挫くに容易いでしょう。よって、現在は〈森林エリア〉への進入を保留に留めておくことが賢明かと」

 ミントは、木のオブジェ付近で人間の女の子の姿となって降り立った。


 「難易度?」主人公アレウスの興味は、未だに森林へと向いたまま。

「それって、つまりー……難易度が高い、って言うと……何が違ったり、難しくなっていたりするんだ?」


 どうしても〈森林エリア〉に行きたい。主人公の興味がひしひしと伝わってくる。

 ――キリッ。ここで、ミントのカットイン。


「難易度が高まるにつれて、出現するエネミーのレベルの増加や、往く手を塞ぐ様々なギミックが追加されます」


 「レベル?」

 主人公アレウスの問い掛けに、ミントはトドメだと言わんばかりに、

「例を挙げながら説明をいたします。先にも、主人公様が遭遇なされた、〈エネミー:ゴブリン〉。そのポピュラーな名前や外見と比例するように、そのエネミーの頭上には、Lv1、と表示されていたかと思います」


 ミントは手招きをした。それを受けて、主人公アレウスも木のオブジェの手前まで移動する。

 エフェクトがかかっている。それを調べると、『この先、トロールの生息区域。進入する場合は、自己責任を伴います。~推奨装備、アイアン装備以上の防御力~』と表示された。


 見るからに、注意喚起であることが分かる。そして、かかるエフェクトへと手を伸ばすと、一つのアイテムを入手した。


 『魔除けのお札を入手した』。

 このオブジェに貼られていたのだろうか。それを入手するなり、ミントは、「『魔除けのお札』は、使用すると〈状態異常:呪い〉を解除することが可能です。そして、進入前にも事前に対策アイテムが配置されているということは、それ即ち――」


 「分かった! 呪い、を扱うモンスターが現れる。ということだ!」

 主人公アレウスは、すごく得意げに答えた。


「ご名答」

 浅く拍手をするミント。それにフフーンっと鼻の穴を大きくする主人公アレウスだったが、そんな彼の自信満々な態度を挫くように、ミントは、


「〈森林エリア〉には、状態異常:呪いが付与された攻撃を主体とする、推定Lv29、程のエネミーがわんさかと出現いたします」

 と、言ってみせた。


「ほぅ、推定レベルが29のモンスターがわんさか……、――――にじゅ?」


 ポキン。折れる心の音。


 ミントは、してやったりな表情を見せていた。何故だか、優越感に浸れたものだったから。


 ――主人公アレウスは、考え出した。それもそうだ。だって、先にもLv1のゴブリンに追い掛けられて焦りに焦って、その挙句に崖から転落してゲームオーバーを迎えたものだから…………。


 、、、あ。無理だな。。


「ま、まぁ……身の程を弁える。というのも、時と場合には必要だよな……」


 「そういうことです。では、気が済み次第、素直に、メインクエストを示す矢印に従っていきましょう」

 どうぞどうぞ。ミントの丁寧な促しに促される。


 そして、主人公アレウスは赤い矢印に沿って歩き始めた。――半ば、見なかったことにしよう、なボンヤリとした表情を見せながら。先にも興味を持った〈森林エリア〉を、無かったことにして……。

 ・メインクエスト:〈フィールド:ガトー・オ・フロマージュの豊かな地〉の〈花畑エリア〉へと向かい、とあるNPCと出会う。

 ・アイテム『魔除けのお札』を入手。現在の持ち物。『木の皮』、『木の枝』、『石ころ』、『木の実』、『脱皮した蛇の皮』、『魔除けのお札』

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