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電脳世界ファンタジー冒険物語RPG  作者: 祐。
一章 電脳世界ファンタジー冒険物語RPG
7/9

〈フィールド〉フロンティア精神

 現在のステージ〈フィールド:ガトー・オ・フロマージュの豊かな地〉


 ・絵に描いたような、大自然。現在地は、平原。他、波打つ断崖の丘。魔力が含まれた青空の天井。流れ往く雲の群。眩しい太陽。天高く飛ぶ、鳥、モンスター、竜、そして……メカニックな飛行船。

 ・奥には、漠々たる山脈。所々に空洞。上から落ちてくる滝。崖際の巨大な城。浮遊する岩石を周囲に漂わせ、熱風、山の尖端に雷。

 ・丘の高台の下には、平原や森林。平原には、序盤のモンスターが徘徊している。森林は、深い緑で覆われている。又、竜が住んでいそうな、果てしない湖。おんぼろの館。魂のようなものが徘徊し、森から巨大生物が顔を出している。

「主人公様。ルートから、だいぶ逸れてしまっております。目指すべき地点は、そちらではございません」


 勇敢なる魂(ブレイブ・ソウル)から、球形のミントが慌てて現れた。


 眼前には、メインクエストの発生地点へと案内を行う赤い矢印が伸びていた。

 ……だが、そんなものなどお構いなし。そう言わんばかりの自由な冒険を、主人公アレウスは展開していたものだ。


 移り往く興奮が冷めやらない。目についたものへと、無意識に飛び付いてしまう。

 また、何かありそうなものを見つけてしまった。それは、平原のど真ん中に、ドッスン、と倒れている木々の跡。そこにも、アイテムの存在を示すエフェクトがかかっていたため、主人公アレウスは夢中になってそちらへと走って行った。


 また、矢印から外れていく。主人公の自由奔放さに、ミントはその後を付いていくことで精いっぱいだった。


 倒れる木々へと、手を伸ばした。

 かかるエフェクトが消えると、表示されたのは『木の棒を入手した』のテキスト。それを拾い上げ、手に持ってそれを眺め遣るものだったが、直ぐにも主人公アレウスは『木の棒』を捨てた。


 続いて、倒れる木々の付近に建っていた小屋へと駆け寄った。

 その小屋はボロボロで、空いた穴から内部へと入れそうだった。それを見つけ、主人公アレウスは穴を通り抜けようと足をかける。


 ……と、その時にもチラリと視界に入った、小屋の外。一瞬と見えたエフェクトに、主人公アレウスは小屋の外を回り始めた。


 発見したのは、小屋に取り付けられた、石の釜。その上でエフェクトがかかっていたため、主人公アレウスは目を光らせながらそのアイテムを拾い上げた。


 『やすらぎの鈴』。そう表示された。

 ――胸から溢れ出す、勇敢なる魂(ブレイブ・ソウル)水縹(みはなだ)。それに照らされると、この胸からメニューが現れた。


 アイテムの欄を開き、早速と入手したアイテムを調べてみた。

 展開された水色の画面。そこに文字を連ねた、アイテムの数。入手順だろうか、それは上から、『木の皮』、『木の枝』、『石ころ』、『木の実』、『脱皮した蛇の皮』、『毒々しいキノコ』、『やすらぎの鈴』、などなど……これまでに拾ってきたアイテムがずらりと並んでいる。


 「ミント。『やすらぎの鈴』って、一体なんだ?」

 ようやくと主人公アレウスに追い付いたミントへと、それを尋ね掛けてみる。


「『やすらぎの鈴』とは、使用した対象の全状態異常を治すことができるアイテムです。その対象は自身だけでなく、周囲の内の一人にも効果を発揮します。又、全状態異常を治すことができるその破格の効果から、この世界の冒険者から重宝されております」


 「尚、難点を挙げるとすれば、その効果に見合った価値であるということ。つまり、レア度が高いため、入手は比較的に難しいです」と説明を終えるなり、ミントは人間の女の子の姿となって降り立った。


 ……いや、それにしても、中々にイイモノを拾ったな。レア度が高いという響きに、主人公アレウスは達成感を得る。


 ――そうだ。どうせなら、今の内に"この効果"を体験しておこう。



 「っ……主人公様。一体、何をなされているのですか?」

 不思議そうに尋ね掛けたミント。突然とゴソゴソし始めた主人公アレウスの様子を覗き込む。


 ……次にも、主人公様が取り出したそのアイテムに、ミントは、えっ、とドン引きした。


「せっかくと手に入れたんだ。だから、"その効果"を直で確かめてみようじゃないか……!」


 取り出したのは……『毒々しいキノコ』。それを見たミントは、察した。


 ミントの、冷めた視線。しかし、それを受けても主人公アレウスは止まらない。

 「はっ、ッハハ……あぁ、だって、こうして手に入れたんだ。だから……早速、"その効果"を体験してみようじゃないか……!!」目がぐるぐるし始めた主人公アレウス。右手に『やすらぎの鈴』、左手に『毒々しいキノコ』という二刀流を構える。


 「……主人公様。一体、何をなさるおつもりなのですか……?」冷めた調子のミントに尋ね掛けられると、主人公アレウスは嬉しそうに少女へと振り向いた。


「"この効果"を確かめるんだ……!!」


 「あの……」

 ミントは、右手の『やすらぎの鈴』を見遣った。「……その効果を確認なさるのでしたら、それが必要となった場面で使用されては如何でしょうか? 『やすらぎの鈴』は、現時点においてその入手は困難。今、焦ってその効果を実感される必要性は、皆無、であると、このミント・ティーはそう思います」

 と言うものの、その時にも主人公アレウスは『毒々しいキノコ』を使用してしまっていた。


 バリッムシャ、ムシャ、ムシャ。使用すると、とても美味しそうに食す効果音が響き出す。


 頬張ってもぐもぐする主人公アレウス。――うっ。直後にも、状態異常を発症して、主人公アレウスはダメージボイスを上げた。


 全身からポツポツと湧き上がり始めた、毒々しいシャボン玉。

 ステータスを確認する。すると、そこには〈状態異常:毒〉の文字が追加されていた。


 その最中にも、効果が現れていた。ドクン、ドクン、一定の時間経過と共にして、1、1、1……と、微量のダメージを受け続けるこのHP。

 ――なるほど。これが、〈状態異常:毒〉というものか……!!!!


 次第と減少するHP。それを確認して、続けて主人公アレウスは『やすらぎの鈴』を使用した。


 チリリン、チリリン、鈴の爽やかな音色が響く。

 すると、その心地良い響きと共鳴するように、全身を巡り出した回復のエフェクト。そして、〈状態異常:毒〉が綺麗さっぱりと消え去ったのだ。


 消費して消滅した、『毒々しいキノコ』、と、『やすらぎの鈴』――


「――ぉぉ、ほうほう……。そうかそうか……ッ!」


 主人公アレウスは、とても楽しそうにミントへと振り向いた。

 ――冷めた視線を送るミント。「効果、体験なされましたか?」と聞いてみると、主人公アレウスは、「おぅ!!」と、ハツラツに答えた。


「……このミント・ティーには、主人公様の行動を理解することができません。『やすらぎの鈴』の効果を確かめるために、敢えて『毒々しいキノコ』を食されるだなんて――」



 「え?」

 主人公アレウスは、キョトンとする。続けて……


「俺は、『毒々しいキノコ』の効果を体験したかったんだ」



 「え?」

 ミントは、キョトンとする。続けて……


「しかし、"その効果"を確認する、って、仰られて……」


「だから、確かめたい"その効果"というのが、『毒々しいキノコ』の効果のことだったんだが……?」



 ミントは、絶句した。


「そりゃあ、そこに『毒々しいキノコ』なんてワードがあったら……。ッ一体、使用したらどんな効果が現れるんだろうか……!! ――な!? それを考えると……試さざるを得ないだろう……ッ!?」


 ミントは、言葉を失っていた。

 ――そんな少女の目の前で、主人公アレウスは目についたアイテムを取り出していく。


 『脱皮した蛇の皮』。ミントはそれを見るなり、うわっ、と失った言葉で形容し難い表情を見せた。


「……なんだー。これ、使用できない系のアイテムなんだなー……」


「――すごく残念そうに見えますが……」


 ミントが向けたその視線は、主人公アレウスに深々と突き刺さっていた。

 ・メインクエスト:〈フィールド:ガトー・オ・フロマージュの豊かな地〉の〈花畑エリア〉へと向かい、とあるNPCと出会う。

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