第8羽 ステータスカード作ってみた。
白銀に青みがかった髪。いかにも魔法使いを思わせる服装。その格好に似合わず、バックリと開いたスリットから伸びる脚が美しい。
「その子は私のパーティのメンバーよ!それ以上の狼藉は私を敵に回すことになると思いなさい!」
突如現れた女性に門兵も驚きを隠せない…と言うよりもこれは見惚れているな。
「この子の身分は私が保証するわ。先日のダンジョン攻略中にモンスターの強襲を受けて落としてしまったようなの。この街の冒険者ギルドで再発行を希望するわ。」
そう言って女性がカードのようなものを門兵に提示する。
「だ、誰のパーティだろうと今は怪しい者を街に入れることは出来ない!そもそも私はお前を知らない。こいつを庇うならお前の身柄も拘束させてもらう。」
そう言いながら女性のカードを取り上げ、その内容を確認する。カードを奪い取った門兵が固まる。
ん?どうしたんだ?
数瞬の膠着後、カードを見た門兵の顔が青ざめていく。今にも泣き出しそうな表情だ。対して、女性はとびきりの笑顔だ、一体何が書かれていたのだろう…
「失礼しました。こちらの方を冒険者ギルドまでご案内させて頂きます。疑う訳ではありませんが、身分証の発行が完了するまでは私が同伴させて頂きます。」
先程まで横柄だった門兵の対応が激変した。見事な敬礼だ。街の門が開かれる。ようやく街に入場出来そうだ。
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街に入いるとレンガ造りの建物が広がる。出店も多いようだ。大通りには沢山の人が往き交う。獣国“レイナード”に近いだけあって獣人族が多いように感じるが、人族、ドワーフや小人など亜人族、本当にここフランでは色々な種族が共生しているようだ。
おっと街並みに見とれて忘れるところだった。街に入るための手引きをしてくれた女性に話しかける。
「ありがとうございました。あの…」
「いいの、いいの気にしないで。私たち同じパーティなんだからさ!」
そうだ、一応パーティの設定だったな。身分証の発行が済むまでは怪しい素振りは見せないように努めよう。あの門兵の怯えようからして、例えバレても問題は無さそうだが…
門兵に聞こえないように小声で話しかける。
「ありがとうございます。オレはミヤビ。この辺りは初めてで右も左もわからないもので本当に助かりました。」
「ミヤビね。私はアオイ=ハイノリーテェ。一応冒険者をやってるわ。アオイで良いわよ。それにしても身分証も持ってないなんて、この世界じゃ考えられないわよ。」
まぁ、この世界の人間じゃないからな。常識なんて分からん。それにどうやらウチの精霊は常識と言う面では役に立たないらしい。
『ミヤビ?何か失礼なことを考えていませんか?』マリンの声に言い知れぬプレッシャーを感じるが今は無視だ。
「アオイさん、よろしくお願いします。いやオレは田舎の村出身なもので…」
アオイは呆れた様子だ。
「まあ、そう言うことにしておくわ。冒険者ギルドに行くなら丁度良いんじゃない、この世界の常識について少し教わると良いわ。ほら見えてきたわよ。」
目の前に冒険者ギルドが見えてきた。他の建物に比べるとかなりの大きい。レンガ造りの建物で、頑丈そうな造りをしている。中には酒場もあるようで笑い声や怒声も聞こえ、正面のドアからはひっきりなしに人の出入りがある。
「これが冒険者ギルド…」
あまりの熱気に気圧される。日本にいた時にもこれ程まで活気のある場所は見たことがない。少し身震いする。
「何?その様子だと君、冒険者ギルドも見たことなかったわけ?一体どれだけの田舎者よ。」
アオイはまた呆れ顔だ。
門兵の案内で冒険者ギルドに入る。剣と盾を持った剣士や杖を持った魔術師、斧を持った戦士など色んな冒険者がいる。どの人も強そうだ。
門兵の案内で冒険者登録のカウンターに通される。受付は黒ネコの獣人族だ。猫耳と尻尾が時折動いて愛くるしい。
「いらっしゃいませ。冒険者ギルドボーグ支部は始めてですね!受付のフィーナです。まずは冒険者登録をしてもらいます。手続きは簡単。まずはこちらの用紙に名前を書いて下さい。」
オレは渡された用紙に『ミヤビ』と名前を書く。この世界では世界観に合わせてミヤビだけで通そうと思う。
「ミヤビさんですね。それでは次にこちらのカードに魔力を注いで下さい。わずかな魔力でも反応してくれるので、魔法が苦手な獣人族でも安心な設計なのです。緊張しなくても大丈夫ですからね。」
先程アオイが出していたものと同じカードに見える。フィーナからカードを受け取り、意識を集中する。するとカードから薄っすらと文字が浮かび上がってきた。
ミヤビ 17歳
人族 男
職業:未選択
レベル 1 未分配能力値:0
Rank:G
HP 18/18
MP 2/54
攻撃 6
防御 8
魔攻 8
魔防 7
敏捷 9
スキル
契約魔法 炎熱魔法 空間魔法
契約精霊
イアド ルリィ
これはステータスカードだったのか!
色々気になる点がある。
まずは年齢、オレ実年齢よりひと回り若くなっている。これがマリンの言っていた異界転移の影響だろうか?
そして、MPだ。他と比べてやたらと高い気がするが、契約の影響かゴリゴリに削られているな。他のステータスは…レベル1ならこんなものか。それよりも問題はスキルと契約精霊だ。マリンはこの世界でも複数契約出来るものは珍しいと話していた。このステータスカード…見られたら色々と面倒くさそうだ。
「上手く登録出来ました?ステータスは名前や年齢よりも重要な情報になりますので隠す事も出来ますよ。魔力を注いで見てください。」
ステータスが隠れるようにイメージし、魔力を注いで見る。
HP以下の情報は黒塗りになった。これなら他人にステータスが知られる事もないだろう。
「このカードは最初に登録をされた人の魔力を識別します。ステータス表示のロックも本人しか出来ませんので、基本的には常に隠して置くことをお勧めします。」
本当に紛失した時が恐ろしいので、常時ロックをかけて置く。
「種族によって差がありますが、レベル1のステータスの平均は5~10といった所でしょうか?レベルアップをすると種族に応じてステータスがアップします。自動的に割り振られるものと自分で分配できるものとあります。自分好みにステータスを高めていけますよ。」
めちゃくちゃ平均だな、オレ…いや周りの冒険者を見て、とても自分が優れているとは思えないが…
「それで分配の方法ですが…ステータスアップと念じてカードに魔力を込めてください。」
『ステータスアップ…』
唱えるとカードから光が溢れ出し、像を為して行く。
「これは…ホログラム?」
ステータスカードの上空には、立体映像が現れた。均整が取れた星のようにも見えるがかなりトゲトゲしい。それを確認した瞬間だった。
『ミヤビ!!早くそれを閉じなさい。』
突然マリンがすごい勢いで警告してきた。




