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第53羽 ミヤビの弓術

はぁ〜?

何で男女の2人パーティで男の方が弓士で女性が格闘家なんだよ!体格的にお前が格闘家だろ!エルフに、あんな柔和な女性を前線に立たせて、安全な後方から攻撃とかクズかお前は!


この際、自分のことは棚に上げておく。





「じゃあ2人ともよろしくね!」



待ってくれ、アオイさん!何でオレの相手がこんな無愛想な男なんだ!!あっちはあっちで女2人、あはは、うふふで楽しそうなのに…オレも仲間に入れてくれないかな?


『言いたいことは分かる…ミヤビ諦めろ。』



ライトが宥めるが状況は変わらない。ロアさんとお近付きになるチャンスだったのに…


「ちなみにライトの相手は私だからね。」

『!!!!!!』

『言いたいことは分かる、ライト諦めろ…』




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ノーン渓谷ーーー



ライトと出会ったこの場所。改めて来てみたが、正直今さらここで相手になるモンスターがいるのだろうか?


「初日だからな。まずはお前の腕を見てやるのだよ。ここなら地上を走るもの、木に隠れるもの、空を飛ぶもの様々なモンスターがいる。人も殆ど通らない。好きにやれ。」



「ここのモンスターは今更相手になりませんよ。強いモンスターと言ってもアームドベア程度ですよね?」

「良いからやれ。」

「分かりましたよ。」

以前と同じ様にまずは一帯のモンスターの状況を確認。上空にスカイクロウの群れを発見した。ライトの同郷だ。以前と比べるとやりづらいな。視界は良好だ。直接狙える。




雷電地帯ゾードライトニング



群れの内の一体に当たり周囲を飛んでいる別のスカイクロウにも伝播する。一射で群れのスカイクロウを一網打尽にした。

「次はあいつだ。」


越境弓撃ゲーティングアロー


木に隠れた猿型のFランクモンスター、グラブエイプの頭部に直撃させる。


ガサガサッと後ろの茂みが揺れる。


グオォオオ!

いつもの如くのアームドベアだ。強力なモンスターだが、今のオレには大した相手ではない。

疾雷槍葬ランズドブリッツ

一筋に煌めく閃光。最速の弓矢がアームドベアを貫く。反応も出来なかった様でこちらに向かって走りながら途中で膝折れし絶命する。遅れて雷鳴が轟く。



「こんなものかな?」

全ての敵を一撃のもとに倒した。表には出さないが、心の中でガッツポーズをする。



「何だ、その弓は?」







…。












「は?」


シドロは溜息をつく。

「アオイのパーティと言うからどの程度のものか少しは期待していたが、期待はずれだな。」






「なっ、何でですか!今のどこが悪かったんですか!全てのモンスターを一撃で倒しましたよ。どこに問題が!」





「こんな雑魚を倒した程度で何を得意気になっている。魔法と組み合わせる事で攻撃力を補う魔導弓。発想としては面白いが、お前のは拙い弓の実力を魔法で誤魔化しているだけだ。」





「うっ…」







「それに加えて弓矢に魔力を通わせてコントロールか、とことん魔力に甘えきっているな。それでは弓の腕が上がるわけがないのだよ。」








…………事実だ。すぐに実戦で通用させるために、自分の1番のウィークポイントである射撃の精度を補うことを最重視してきた。朝練は行なっていたが、そんなにすぐに上達はしない。









「極めつけだ。お前は敵のどこを狙うかを意識したことはあるのか?」




「敵のどこ?敵の身体のどこでも当たれば、それで…」



「だからお前はダメなんだ。弓使いに最も必要な力は一射で弱点を正確に突くことだ。お前が疎かにしている事なのだよ。」





「でもそれは……」







「仕方がないか?冒険者になりたてで時間がなかったからか?万が一、急所を外しても仲間が討ち取ってくれるからか?それはただの甘えだ。基本が出来ていないものが、強くなどなれるはずがないだろう。」






何も言い返せない。








だが……






「そこまで言うなら貴方の実力見せて下さいよ!今、指摘された事なんて自分でも分かっているんです。それでも直ぐに実戦に出なければならなかったから!貴方の実力も知らずにそんな事言われたくありません。」






ただの八つ当たりだ。本当は自分でも分かっている。自分でも気にしていた部分を突かれて、面白くなかっただけだ。





「良いだろう。」






シドロは背中に取り付けられたホルダーから一対の羽根を模した短剣を取り出す。ワンタッチで剣の柄の部分が繋がりシドロの身体程の大弓が出来上がった。







「刃翼弓剣・ホークスエッジ。レシッド手製の武器だ。近距離では双剣、遠距離では弓として使う。」






武器の説明を簡単に済ませ、シドロは弦を弾き、すぐに矢を放った。矢は木々の間を抜け見えなくなった。

………………







外した!?!?何にも当たらず、刺さった音も聞こえてこない。続けて2射、3射と放つが同じように当たった様子がない。






…………







あれだけ正確性云々言ってたヤツがこの程度で許される訳ないよね?






「行くぞ」








………。








行くぞじゃねーんだよ。


シドロが矢を放った方角に進むが、100m程進んでもまだ矢は見当たらない。200m…ない。


おいおい、どれだけ外しているんだよ。


500m…ない。








1000m…ない。












1500m…


「これは…魔石か?」

シドロの放った弓矢に貫かれた黒い魔石が木に打ち付けられていた。

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