第35羽 作戦会議
何とかアオイさんにルナのパーティ入りの許可をもらった。ルナは人見知りなのか一言もアオイさんと言葉を交わさなかった。帰り際に何か小さい声でボソボソっと呟いていたが何だったんだろう?
その後、ボニ村の件は確認に行った冒険者により伝えられるが、兵士の姿はなかったことからヴァルザーグの進行を決定的に示すものは見つからなかったとマクスタット支部長より伝えられた。
村は全滅の為、クエストは取り下げ、物資の返却と引き換えに報酬はクエストクリア分は保険から支払われた。
夕食はクレアさんの宿で食した。1日ぶりの手料理は涙が出るほど美味かった。帰って来れて本当に良かったと改めて思った。ルナもこの店の料理の味に驚いていた様だ。意外と大食いなのか、おかわりを重ね皿が積み上がっていく。オレの財布は寂しくなっていく。まぁルナが満足したなら良しとしよう。
明日からしっかり働いてもらう事だしな。
先程のレシッドさんの店での帰り際にアオイさんから
「あぁ、そうそう。その子なんだけど、もちろんミヤビが連れてきたんだから報酬の山分けも適用させてもらうから。その子にひもじい思いさせたくなかったら、2人分しっかり働きなさい。今後のことを考えたら早いとこ2人ともランクアップしておいた方が良いわよ。」
ヤツはやはり悪魔だ。今すぐにでも反旗を翻したい気持ちは山々だが、恐らくまだ実力が足りない。オレの報酬が山分けなのは以前に取り決めたが、オレの仲間まで適用なのか?そんなの契約時には聞いていないぞ。
想定していなかったから特例で出されたら終わりか…
ただ確かにランクは上げなければならないし、出来ると思う。昨日倒したエディルノ、ドルタワーは恐らくA〜Bはあるだろう。
冒険者ランクのアップはクエストの消化数や対象モンスターの討伐など色々ある。1番手取り早いのがモンスターの討伐だ。
あのレベルまでとは言わないがC〜Dクラスであれば3人で力を合わせればすぐだろう。
という事で作戦会議とステータスの確認、割り振りでオレの部屋にライト、ルナの3人が集まった。
「さて明日から冒険者ランクUPを行おうと思う。」
『いつになく真剣だな。突然どうしたんだ?』
「私も冒険者になったばかりだけどー?」
「現状の確認をします。今、オレとルナの2人はGランク冒険者です。受けられる依頼はG〜Fのみで、報酬も多いとは言えません。アオイさんのパーティに入ったオレたちは明後日から報酬の3割を支払わなければなりません。これはとんでもない割合です。」
オレは机を力いっぱい叩く。音が響き手が腫れる。けっこう痛い。次からは気をつけよう。
「オレたちは今、危機に瀕している。住む場所も寝る場所も食べる物も何から何までお世話になっているこの宿に支払うべきお金が不足するなんてことはあってはならない。その為にも金が必要だ!」
オレにもかなり力が籠もった演説が出来るものだな。
「1日でも早くランクを上げる!オレたち3人なら楽勝だ。目標は明日でC、あわよくばBまでいく!明後日からはアオイさんが合流する。アオイさんのランクは不明だが今の内に上げるだけ上げるんだ!」
「『おー』」
「よしそれではお互いのステータスを確認して振り分けしてないPTを割り振っていこう。まずはオレだ。」
ミヤビ 17歳
人族 男
職業:魔導弓士
レベル 18 未分配能力値:30
Rank:G
HP 106/106
MP 756/826
攻撃 98 (+12)
防御 121 (+23)
魔攻 80
魔防 75
敏捷 82
スキル
契約魔法ー 契約(MP30〜100)
炎熱魔法ー 炸裂弓撃(MP100)
空間魔法ー 越境弓撃(MP10)
収納(MP1〜)
空間探知(MP1〜)
情報魔法ー 鑑定(MP5)
一帯鑑定(MP15)
雷電魔法ー 雷電地帯(MP30〜)
回復魔法ー 天使の抱擁(MP50)
氷雪魔法ー 永久凍土(MP80)
契約精霊
イアド ルリィ マリン サファ パース アユカ ラビス
契約モンスター
スカイクロウ(ライト)
我ながらステータスはルナに比べて貧弱だが、魔法のバリエーションはかなり豊かだ。余裕があれば新しい技の開発にも着手したいが、今は余裕がない。ちなみに技など作らなくても魔法は発動出来るがイメージが固まっていない魔法は威力がガタ落ちする。結局技は作らないとダメだ。
「ミヤビってやっぱりすごいね。私たちがいれば敵なしだね。」
『本当なステータスさえ貧弱じゃなければな…』
うるさいぞ、お前ら!オレは頭脳で戦うタイプなんだ。例えもやしでも魔法と頼もしい仲間が守ってくれれば関係ないんだよ!言ってて悲しくなってきた…
「2人には悪いが、オレは援護射撃専任で行きたいと思う。火力は期待しないでもらいたい。」
「良いんじゃない?私たちがミヤビを守ってあげる!」
『中途半端に前線に出られても邪魔だしな。』
………
「敏捷に全振りしようと思う、後方から動き回って相手に見付からないよう心掛ける!!!」
お前らの気持ちはよく分かった。オレは金輪際前線には出ない。女の子とパートナーに任せて陰からチクチク攻撃するよ…
頬を光っているものが伝うが、気のせいだ。
何はともあれ異議なく敏捷値を上げれた。30pt分あったので150UP。敏捷値232。今までのおよそ3倍速だ。これだけあってもライトとルナとようやく同程度だ。だが取り敢えずこれで大方のモンスターからは逃げられるだろう。
見つかった時には大人しく2人に任せよう。最低だと言う声は聞こえない。
「じゃあ次はルナだな。」
ルナ 19歳
獣人族 女
職業: 拳闘士
レベル 10 未分配能力値: 20
Rank:G
HP 480/480(+360)
MP 189/248(+186)
攻撃 375(+284)
防御 300(+233)
魔攻 69
魔防 86
敏捷 288(+222)
スキル
強化魔法
契約精霊
ミツキ
流石に武具の能力までは強化魔法には掛からないようだ。よし…
「防御に極振りの一択だな。」
どこぞの総司令よろしく、指を組んで立て肘をつく。眼鏡は掛けていないが瞳は白く輝いて見えていることだろう。
『親バカか!』
「えー、ルナは攻撃もしたい!」
ライトその表現はおかしいぞ。男が女の子の身を心配して何が悪い。ルナの見た目が幼いからって勘違いするな。犯罪臭なぞしないぞ。
「確かにルナの攻撃は強力だが、前線は危険が多い。防御を固めておくのも必要だとオレは思う。」
あくまで真面目な意見として発言している。おいそこ!カラスの癖にジト目をするな。
「ミヤビ、心配してくれるのは嬉しいよ。でもルナもみんなの役に立ちたい。その分、ミヤビが後ろから守ってくれるって信じてるもん。」
「よし攻撃に極振りだ。」
『もう少し真面目に考えろバカ!』
仕方ないだろルナの太陽の笑みに逆らえる者などいないのだ。ただ真面目な話、攻撃と防御には半々に振ることにした。武具には乗らなかった強化魔法もバッチリ対応した。ルナ攻撃575、防御500と言うとんでも数値を叩き出した。オレなんか掠っただけで跡形もなく消されそうだ。
ライトは冒険者ではないので、ステータスボードはない。モンスターの中には進化するものもおり、爆発的に能力が向上するものもいる様だがライトは果たして…
こんな所でパーティの方向性が決まったところでこの日の会議は終わったのだが…
「なんで君はまだここにいるのかな?」
「えへへ?」
ルナが自分の部屋に帰らないのだ。部屋着姿に着替え、いつもよりも体のラインが強調される。改めて見るがやはり凶悪な代物だ。
「えーとルナさん?作戦会議はもう終わったよね?そこ僕のベッドなんだけど……」
「今日からルナのベッドでもあるよー」
ベッドの上からルナが見上げてくる。緩んだ服から凶器がこぼれ落ちそうである。ルナは自分の魅力を最大限に発揮出来る角度を理解している様だ……これ以上はまずいと頭の中で警鐘が鳴る。
「っ〜〜」
顔から火が出そうだ。女性経験のないオレ。どうすれば良いのか分からず、無言で見つめ合い時間が過ぎる。ここで行かないのは男としてどうなんだ?
仕方ないよな。ルナ相手じゃ力付くで追い出すなんて事は出来ないし、不可抗力だ。
………………いざっ




