第21羽 朝練してみた
サファと契約をして情報魔法が使えるようになり、粗方の説明を受け、床につく。ベッドの寝心地の良さなのか、心労からなのか直ぐに意識が旅立つ。
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ムクリ…
まだ外は薄暗く日の出前であるが、直ぐに眠れた為かかなり早く目覚めてしまったようだ。簡単に朝の支度をすませ、部屋を出る。他の宿泊客を起こさない様に静かに階段を降り、外にでていく。
今の宿から直ぐのところに川原があり、まだ早い為か人もいない。
「ちょうど良さそうだな」
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ストンッ
河原に簡易的な的を作り、弓の練習をする。秘密の特訓とか出来る冒険者という感じだ。魔力コントロール込みなので、弓の精度はまずまずと言った所だ。精度よりも威力に重点を置いて練習していこうと思う。
ストンッ
人通りもないので、川のせせらぎと矢が的を射貫く音が響いている。静かな世界に響くその音は集中力を引き上げてくれ、更に気持ちを昂ぶらせてくれる。弓が上達した気分になる。
ストンッ。
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1時間程続けた所で日が昇ってくる。この世界の朝日は本当に綺麗だ。空気が澄んでいるからなのだろう。水面から反射する光が広がっていく。美しい朝日、澄んだ空気に、綺麗な水。気持ちの良い朝だ。
バシャッ!!!
……川から飛び跳ねる魚が特大サイズのモンスターでなければ最高のロケーションなんだがな。
かなり汗もかいた。川の水で顔を洗い、宿に戻る。良い朝練になった。これからの習慣にしていきたい。
『早朝からの鍛錬お疲れ様でした。』
マリンも労ってくれる。日本ではどれだけ早朝から働いても感じられなかった、感動と充実感がこの世界にはある。こんなオレでも存在していて良いのかと声を掛けてくれる人の温かさを感じて朝練を終えた。
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「お疲れさん、ミヤビちゃん朝から練習とは感心だね。お腹も減ったろうからいっぱい食べてくんだよ。」
クレアさんが朝食を準備してくれていた。今日は穀物に魚の塩焼きだ。魚は切り身だ。さっきのヤツではないのを祈ろう。相変わらず味は美味いので、もう素材は気にしない事にした。
「今日もクエストかい?」
「そうですね、昨日は思ったよりも稼げなかったので今日は稼いできますね。」
「そうかい頑張って来るんだよ!昼ごはんは持ってくかい?今日はお代をもらうけどね。」
「ハハハ、頂いていきます。いくらですか?」
「一人前200ロンドだよ。」「では2つ買います。」
今日はタマゴサンドの様だ。何のタマゴかは知らない。もう気にしないと決めたのだ。クレアさんに400ロンドを渡し、2人前をもらう。
さてクエストに向かうとしようか。
朝早くてもギルドは盛況だ。
「おはようございますミヤビさんでしたよね?ステータスカードは正常に動いていますか?」
今日の受付はフィーナさんだった。黒猫は縁起が悪いと言うが、獣人は別だろう。フィーナさん耳と尻尾は黒毛だけど、色白だしな。
「あぁ、問題なさそうだよ。やっぱり極限に魔力不足だったのだろう。」
「そうですか、それなら良かったんですけど…」
あくまでシラを切り通すつもりだ。
「それはそうとクエストの受注を頼む。」
「あっ、はい。えーっとスカイクロウの討伐依頼ですね。Fランクのクエストですか!まだ登録して間もないのに大丈夫ですか?」
「問題ない。良い訓練になると思うしな。」
モンスターの情報は、もちろんサファ先生の情報魔法で把握済みだ。
スカイクロウ ランクF
黒の羽毛を全身に纏う、鳥型のモンスター。羽根は刃物の様に鋭い。クチバシと鉤爪で獲物を襲って捕食する。胸部に魔力の源である魔石があり、成長とともに大きくなる。魔力を蓄積する性質があり、魔石の大きなものでは魔法を扱える個体もいる。小規模な群れを作り行動する。
要するにデカくて凶暴なカラスだ。
弓の良い練習になるだろうし、ランクもちょうど良い。空を飛んでいるので剣士などの近接ジョブでは倒しづらいが、モンスターとしては大した強さではないらしい。
場所はボーグより少し南に位置するノーン渓谷。数が増えすぎるとエサを求めて街に出てくるらしい。街への被害を未然に防ぐ為の討伐クエストだ。証明部位はもちろん魔石だ。
群れで行動するなら経験値もお金もまとめて手に入りウハウハだ。部位証明が魔石なのも大量に運んでも不自然ではない。完璧な計画だ。
いざ本日のクエストに出発だ!
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スカイ・クロウの討伐
Fランク 1体 900ロンド
部位証明 魔石
場所 ノーン渓谷




