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第15羽 初戦闘してみた

15話 初戦闘してみた。



鳥の鳴き声が聞こえ、窓からは陽の光が差し込んでくる。



「朝か…」



『おはようございます。ミヤビ!』



『おはよう、マリン。良い天気だな』



眠い目をこすりながら答える…


ついつい普通に返してしまったが、あれ?まだこの世界にいるのか?本当に夢ではなく現実なのか?


などと思考を巡らせてみた所で、



ググッグーグ。お腹が減った。取り敢えずご飯にしよう。



「あらおはよう、ミヤビちゃん!よく眠れたかい?」



「クレアさん、おはようございます!寝心地良くってぐっすりでした。いつ振りか分からないくらい熟睡出来ましたよ。」



「アハハ、ちょっと言い過ぎじゃないかい?どれだけ長い時間旅して来たんだい!」


大袈裟でもなんでもなく、最近はオフィスかネカフェでしか寝てなかったからな…



「お腹すきました!今日の朝食は何ですか?」



「はいよ、今日はブカウのサンドイッチにポタージュスープだよ。」



また知らない食材が出てきた。みたところローストビーフのようだが、肉質は白い。名前も豚なのか牛なのかハッキリしてほしい。ただこの宿の料理なら味は保証されているようなものだ。


一口食べてみる。


「これも美味い!」

少し固いが臭みもなく、よく味が閉じ込められている。マスタードだろうか?少し辛味のあるソースとの相性もバツグンだ。パンもポタージュスープに浸して食べてみても美味しい。

あっという間に完食してしまった。


「早いね。もう食べ終わったのかい?」



「はい、もう美味しくて美味しくて。お昼にも持って行きたいくらいですよ!」


「アハハ!ありがとう!そこまで褒められると作った甲斐があるってもんだ!ちょうど今朝一番に出てったお客さんが食べなかったパンが1つ残ってるから持ってくかい?」



「良いんですか?」


「良いって良いって、サービスにしとくよ!その代わりまだボーグに居るんだったらウチの宿を使ったおくれよ!」



「はい、ありがとうございます!今日も泊まりに来れるように頑張って働いてきますね。」



「ほい来た、行ってらっしゃい!」



クレアさんが表まで見送ってくれる。家庭的で温かい宿だったな。今日も是非お世話になりたい。その為にも…




「おはようミヤビ!だいぶ朝はゆっくりだったようね。そんな余裕あるのかしら?」



この悪魔との闘いを勝ち抜かなければならない。




「えっ、遅かったですか?普通に目覚めて朝ご飯食べて出てきただけなんですが…」



「冒険者たるもの朝は早いものなのよ!ダンジョンに入る準備をしたり、鍛錬したり朝やる事は沢山あるの!」




鍛錬か…たしかに言われてみれば、必要知れない。今のオレでは到底戦力になれないのだ。




「申し訳ありません。明日からは早く出勤します。」



「出勤?何言ってるの?まあ良いわ、取り敢えず今日からだけど、しばらくは私と君で別行動。私のランクのクエストには君は連れて行けなし、君のランクでは割に合わないわ。」




別行動!!予想だにしていなかった。あわよくばアオイさんが倒したモンスターの経験値を貰って安全にレベルアップしようと企んでいたんだが…




「あと5日間は報酬の分け前は免除とは言ったけど、貸したお金はすぐに返してもらうからそのつもりでね。早く行動した方が良いわよ。」



「はい、行って参ります!!」





こうなったらヤケだ。とにかく昨日借りた1500ロンド、それに今日の宿代2800ロンド、これだけは最低でも必要だ。


今後の報酬金から3割引かれることを考えるとこの5日間で当分の宿代は工面しておきたい。



オレはギルドに駆け込み依頼を見る。Gランクの依頼は以下の3つだ。



Gランク


リヤ草の納品


1kg 800ロンド



ーーーーーー


クルッコの討伐、納品


1体 500ロンド

討伐証明:全身


ーーーーーー


スライムの討伐


1体200ロンド

討伐証明:魔石



リヤ草と言うのは昨日、回収に回収を重ねた薬草だ。クルッコは昨日食べた鶏型のモンスター。あとはスライムか。やっぱりスライムはいたんだな。何たるテンプレ。



『マリンどう思う?』


『安全にクエストを消化するならリア草の回収が良いと思います。クルッコもスライムも弱いとは言えモンスターです。ただ討伐のクエストも避けては通れないので今の内に経験を積んでおくのも良いかも知れません。』




そうだな取り敢えずはリア草の納品とクルッコの討伐にするか、最悪クルッコさえ倒せれば今日の夕飯は確保できる。



オレは2つのクエスト依頼用紙を手に取り、受注カウンターに向かう。

ちなみにリア草など常時買取されているものもあるが、クエストを受けて納品する方が冒険者の手取り分が増えるのだ。



ギルドカードに依頼内容を加えてもらいギルドを後にする。



『クルッコはこの街の北側のノーサの森に生息していますから、まずはそこに向かいましょう。途中の道でリア草を拾うのもお忘れなく。』



マリンの助言を受け、ノーサの森に向かう。もう全速力だ。運動は得意ではないが言ってる場合ではない。



とにかく走る。



走る。




走る。





走…あれ?




息が切れないわ。疲れは確かに感じるが日本にいる時とは段違いに軽い。どうやらこの世界では走ったり、跳んだり跳ねたりしたくらいでは体力消費は問題ないらしい。何とも便利な機能だ。




そんな事を試している間にノーサの森に着いた。移動時間は30分と言った所だろうか、走ったおかげでかなり早く着いた。これなら十分に狩りをする時間もありそうだ。


ーーーーーーーーーーーー





早速、森の中に入ってみる。背の高い木が多く、隠れるには最適だが、射線が通りにくそうな地形。弓使いには最悪な地形だ。


「初日からクエスト選び失敗したかな…」



などと考えて、この森でどう戦おうかを考えていた所で20m程先から草が揺れるような音がした。



目を凝らして見てみると体長は30cm位だろうか?鳥型のモンスターが見える。見た目はほぼ鶏のそれだが、爪が鋭く、トサカが刃状になっている。羽は退化しているのだろうか、飛ぶ様子はなく走って移動している。



『マリン、あれか?』


『間違いありません、あれがクルッコです。』


どうやら当たりのようだ。弓を構えて戦闘態勢に入る。


距離はかなり離れているとは言え、初めての戦闘だ。危なくなったら逃げる準備だけしておこう。



矢筒から矢を1本取り出し、魔力を込めてつがえた。緊張で手が震えるが、心を落ち着かせるために深呼吸をする。




頭の中でクルッコを射るイメージが固まり、矢を放つ!



矢は一直線にクルッコに向かって飛んでいき、そのままクルッコの右脚に当たる。


「グケー」



矢が当たる直前に気付いたようで、狙い通りの場所には当たらなかったが、ダメージはあったようだ。



こちらに気付いて向かってくるが、足に当たったので機動力も削いでいる。だが、それでも自分の生命を狙った者に殺気を向けて来ている。初めて向けられる殺気におもわずたじろいでしまう。


『落ち着いて下さいミヤビ。機動力は落ちています。大丈夫ですから。』


マリンの言葉に我に帰る。



『ありがとうマリン、大丈夫だ。』



落ち着きを取り戻して放った続く第2射。魔力でコントロールされた矢は木の間を見事にすり抜けクルッコの頭に直撃する。



クルッコは断末魔の悲鳴をあげ、絶命した。



「何とか倒せたな。」



『はい、お疲れ様でした。』


こうしてオレの初めての戦闘が終了した。

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