第5話 閉じ込められた生徒会
荷物をまとめて、帰ろうとしてドア開けようとしたが、「ガチャッガチャッ」という音がするだけで、ドアが開かなかった。
「あれ、おかしいな。ドアが開かないぞ!」
「嘘!」
「あれ?ここにおいてあった、生徒会室のカギもなくなってます。」
「ここって中からじゃ開けられないのよね。これじゃ出られないじゃないの! どうすんのよ!」
「とりあえず状況を整理しよう。」
「そうですね。とりあえず、いったんみんないつもの席に座りましょう」
「それもそうね。焦っても何も始まらないしね」
そう言って、みんなはいつもの場所で腰を下ろした。
ちなみに、いつもの席とは、ドアから一番近い席が俺で、俺から見て右隣りが会長、正面が佳月、斜め右に青山が座っていて、会長の右にはホワイトボードがおいてある。
「それで、僕たちはどうして閉じ込められちゃったんですかね?」
「きっとこれは私たちを嫌っている人たちによる計画的な犯行に違いないですね」
いや、この状況で生徒会長の冗談とかいらないから。需要0だろ。
それともあれか。会長なりの気遣いなのか?
「いや、そんなわけないですよ! だいたい他の人たちは、あの部屋の存在を知らないし」
「なるほど!となると、犯人は秘密の部屋の存在を知っている人物……つまり前期生徒会役員の中の誰かってことよね」
いや、青山まで乗らなくていいから。
「それはないだろ。前期の生徒会役員って会長以外は、全員3年生だろ。きっと最近は受験のことで頭がいっぱいで、そんなことしてる余裕はたぶんないですよ!」
「宮本くんよく知ってますね」
「まぁ」
確かにうちの学校の生徒会は超がつくほど人気がない。
なので毎週配られる学年通信の端のほうに申し訳程度に乗っているだけで、基本誰が生徒会に入ったかなんて、大概のやつは知らないのだ。
もちろん俺も生徒会に興味など一切なかった。
だが、ぼっちの俺は超暇なので毎週学年通信は隅から隅まで読んでいる。
「も、もしかして宮本くんは私を犯人に仕立て上げようとしているんですか?でも私はずっとゲームしていたので犯行は不可能ですよ!」
いや、この頭の悪さで計画的犯行とか論外だろ。
「それくらい分かってますよ!」
「まぁ普通に考えて一番可能性が高いのは、見回りの先生が生徒会室の明かりに気づいて誰かいるのか確認したけど、秘密の部屋にいる俺たちに気づかず、ただの戸締りのし忘れだと勘違いして明かりを消して鍵をかけた。ってとこだろ」
「確かにそう考えるのが無難よね。そう言えば、今って何時なのかしら?なんで生徒会室には時計がないのかしら?とても不便だわ」
そう言いながら、青山は制服のポケットから携帯を取り出した。
「えっ‼もう8時過ぎてるわよ!どうりで締め出されるわけね」
マジかよ。俺としたことが。
妹には帰るときに連絡すればいいか。
まぁどっちみち帰ったら怒られるんだろうけど…
「そんなことより早くここから出る方法を探しませんか?それとも割り切って今晩はここで過ごしますか?」
「そんなの絶対に嫌よ!お風呂とか布団とかどうすんのよ! それに明日は土曜だから誰も開けてくれないわよ」
「それもそうだな」
「確かここ、二階だったわよね。よし、宮本!窓から飛び降りなさい」
「お前は俺を殺す気か!」
でもそうゆうのカッコよくて少し憧れるよな。
多分、分かってくれる人いるはず。
「宮本!こうゆう時には犠牲はつきものよ!それに、二階からなら飛び降りてもたぶん死なないわ」
「そうゆう問題じゃないだろ!」
てか、そうゆうセリフもっといい場面で使えよ。
定番のセリフだけど意外とそうゆうやつが心に来たりするんだよな。
「あの~、僕が今から来てくれそうな友達に連絡してみましょうか?」
佳月の友達か。一回会ってみたいな。
「いや、それはあまり得策じゃないと思うぞ」
「どうしてですか?」
「名御谷は8時施錠だから、もう校門も校舎も閉まっている頃だろう」
「確かにじゃあどうすればいいのよ!」
「あの~、私、ピッキングの得意な人が知り合いにいるんですけど、その人に今から来てもらいましょうか?」
「それはありがたいが、なんでそんな人が知り合いにいるんだよ!」
会長の知り合いってもしかしてそんな人ばっかりなんじゃないか?
だから、頭の中お花畑みたいな思考回路になったんじゃいか?
「それはですねー」
会長が、何かを言いかけようとした途端、ドアが『ガチャガチャッ』と音を立て始めた。
「キャッ!ドアが音を立て始めましたよ。ゆ、幽霊?そそそそれとも心霊現象?」
どうやら会長の頭の中はそこまでお花畑でもないみたいだ。
「会長、落ち着いてください。誰かが助けに来たのかもしれませんよ」
「誰にも連絡してないのに?」
それもそうだ。誰にも連絡していなのに、助けが来るはずがない。
じゃあ、ドアの向こうにいるのは、いったい何者だ?
「と、とりあえず、秘密の部屋へ避難しましょう。ふ、不法侵入の人だったらまずいし」
「そうだな」
俺が賛成するのが早いか、俺たちは急いで秘密の部屋へ避難した。
「ととと、とりあえず、ここにいれば見つかることはないですよね」
震えながら佳月がそう言ったのとほぼ同時生徒会室のドアが開く音がした。
生徒会室に侵入してきた何者かは、何かを探し始めた。
「おかしいですね。位置はここであっているはずなのですが」
いや何の?
って、もうこのネタだいぶ古いか。
てかホントに何探してんだよ。
生徒会室にお宝とか眠ってないから。
ONE PIECEとかなら他をあたってくれよ。
「宮本先輩、怖いから先輩の腕借りてもいいですか?」
うるんだ瞳で佳月が聞いてくる。
こんな状況で断れるはずがない。
「お、おぅ」
そうゆうと、佳月が俺の左腕に自分の右腕を絡ませて、俺の体にぴったりとくっついてきた。
「わ、私も少し怖いです」
そういいながら、会長は俺の左腕にしがみついてきた。
ほんのりいい香りが漂ってくる。
それより会長の胸の感触がもろに俺の腕から伝わってきて、俺はどうにかなりそうだ。
「だ、大丈夫よ。この場所が簡単に見つかるはずないわ」
いや青山さん。そんなこと言いながらめっちゃ俺の制服引っ張ってますけど。
「おや、ここの壁なんだかおかしいな」
どうやら、侵入者は秘密の部屋へとつながる壁を発見してしまったらしい。
「ちょ、ちょっとバレたっぽいわよ。どうすんのよ!」
「わかんねーよ」
3人の、俺にかかる力が一層強くなった。
どうすればいい。
考えろ、俺。
さっきから聞いている限りでは、おそらく相手は一人で間違いない。
戦うか?
でも勝てるのか?
普通に考えて、相手は大人だぞ。
これ以上考えている暇はない。
どうやら、侵入者は壁の開け方に手間取っているようだ。
だが、もうすぐ開けられてしまうだろう。
「俺に一つ考えがある。侵入者がここの扉を開けた瞬間に俺がそいつを一発で仕留める」
「相手が複数だった場合は?」
「その時はその時だろ」
「で、でも…」
何?こんな時だけ心配してくるとか超感動じゃん。
てか青山超足震えてるし。
さっきまでの威勢はどこに行ったのやら。
「まぁ任せとけって」
あ、今俺超カッコよくね。
「わ、わかりました。でも、無茶はしないでくださいね」
いや、この作戦自体が無茶だと思うし、俺は人を殴ったことなんてこの人生の中で一度もないが、そんなことは今はどうでもいい。
そう思いながら俺は、もうあと数秒後に開くであろう扉の前に立った。
ぼっちの力なめんじゃねえぞ!
その時、勢いよく扉が開いた。
それと同時に、目の前に、立っている人めがけて、俺はパンチを繰り出した。
「うおおおぉぉぉー」
しかし、俺の渾身の一撃は、相手にしゃがまれてかわされてしまった。
体勢を崩しながらも俺は、即座に相手を確認しようとしたが、相手はフードをかぶっていてたが、、フード中で髪がキラキラと輝いて見えた。
そう思った瞬間、相手の強烈なパンチが俺の顎に直撃し、俺はその場に倒れた。