第42話 テント分
昼食を食べ終わって、午後からも校舎の外での作業を行う。
青山と清水もさっきからちょくちょく見かける。
二人とも色々と頑張ってくれているようだ。
俺はというと、明日の屋台に必要なテントを運んでいる。
勿論、一人で。
てか誰か手伝ってくれないの?
これ普通に超重労働なんですけど。
とはいっても、女子に力仕事を頼むわけにもいかないし、かといって力仕事を頼めるような男子はいないので、必然的に俺が一人でさっきから倉庫から屋台を出す予定の場所までを往復しているわけだが、正直相当きついので少し休もうかなと何回も考えたが、後で菊地とか青山辺りに色々言われるのも嫌なので、しょうがなく運んでいる。
今5個運んだのだが、まだ全然足りない。
けれどもうホントにきつかった。
「宮本。あんたなんでそんなに汗かいてるのよ。もうすぐ冬よ」
「あぁ青山か。いや、テントが意外と重くてな」
俺がそう言うと、青山は周りにあるテントを見た。
「あんたもしかして、これ全部一人で運んだの?」
「まぁな。これが結構重くてな」
「当たり前じゃない。あんたホントに馬鹿ね」
「ぼっちは陰で苦労してんだよ」
「興味ないわ。それより少し休憩したら?」
「いや、もうちょいやってからにするよ」
そう言うと、青山は呆れたような顔をした。
「そう。じゃあ私も手伝うわ」
「いやでも、このテント結構重いし、それに意外と汚いぞ」
そう言って、俺はテントを運んで黒くなった自分の手を青山に見せた。
「そんなの気にしないわよ。ほら、休憩しないのならさっさと運ぶましょ」
「悪いな」
「生徒会の仕事なんだから仕方ないでしょ」
確かに青山はどっちというと、きれい好きな方ではないが、女子なら大抵自分の手のコンディションくらいは気にするはずだ。
…そう言えば、こいつってこうゆうやつだったな。
「よし。これで最後ね」
「ようやく終わったな」
「えぇ。後10人くらいは人手が欲しいわね」
「ホントそれな」
「それにしても手真っ黒だな」
そう言うと、青山は自分の手を見て、瞬時にその手を後ろに隠した。
「あんまり見ないでくれる? 私も一応女子だし、こうゆうの少しは気にするっていうか、恥ずかしいって言うか…」
なんか急に青山が女子っぽく見えたような気がした。
まぁ女子なんだけど、何かいつもと違うというか…
こっちも少し気恥ずかしくなってきた。
「あ、あー。悪かったな。じゃあとりあえず手、洗いに行くか」
「そうね」
そして、二人で手洗い場まで行って、入念に手の汚れを落とした。
まぁどうせ、これからも少しは汚れるだろうけど。
「もういいか」
「えぇ。もう大丈夫」
「それにしても、あんなことやらせちまって悪かったな」
「別にいいわよ。確かにちょっと重かったけど。よくあんなの一人で何個も運べたわよね」
「まぁ一応これでも男だからな」
うん、さりげなくカッコいい。
「……な、なにカッコつけてんのよ。相当きもいわよ」
「え、まじ?」
「まじ」
まじかー。
結構いいと思ったんだけどな~。
「そうだ。手伝ってくれたし、何か飲み物でも奢ってやろうか?」
「いらない」
即答かよ。
せっかく俺が珍しくマイマネーをフォーユーしようとしたのに。
「それに何でちょっと上から目線なのよ」
「あぁ悪い。でもいいのか」
「いいって言ってるでしょ!」
なるほど。
どうやら本当にしつこい人間は嫌われるようだ。
しつこいのはFateシリーズだけで十分。
「あ、でも」
そう言って青山は俺の方を振り返った。
「一つお願いいい?」
「いいぞ」
「その…明日…さ、文化祭…一緒に回らない?」
今、こいつなんて言った?
文化祭を一緒に?
俺と?
「…え? 悪い。もう一回言ってくれないか?」
「は? なんで? てか絶対ヤダ」
いやいや、落ち着け俺。
これはある意味チャンスだぞ。
今までは 文化祭=一人で人ごみの中を永遠と散歩 だったし、これからもそうだと思っていたが、その歴史を変えるチャンスだ。
いやでも、雰囲気的にこれ二人で回るってことだろ。
流石にそれはな~
「それで? 私と回るの?回らないの?」
とはいっても、さっきは青山に助けてもらったわけで、それに青山からの誘いであって、俺がどうこうとか言う問題ではない。
だったら特に迷うことはないな。
「まぁ、さっき手伝ってくれたし、どうせ文化祭当日は俺も暇だし、一緒に回るくらいなら…いい…かな」
「…そう。じゃあ約束ね。忘れないでよ」
「あぁ」




