第4話 秘密の部屋でゲーム大会
「そう言えば、何のソフト買ってきたんですか?」
「何がいいかわからなかったので、四人でできて『売れてます!』って書いてあるやつを買ってきました」
「えーっと、ステラ・ナイト?聞いたことないゲームだなぁ」
人気のゲームならそこそこ知っているつもりだったので、少しショックだ。
でも、知らないゲームをやるほうが面白い気がするのでよしとしよう。
そう思いながら、ケースの下側に目を向けると、思っていたのとは、少し違う字が書いてあった。
「会長、これ、『売れてます』じゃなくて『売れてほしい』って書いてありますけど…」
こいつホントに馬鹿だろ。
ていうか天然?
それともわざとやってんの?人工?
「ホントだ、結衣、あんた見間違えて買ってきたんじゃない」
「え? …ホントですね。朝急いでいたので、うっかりしてました」
よくそんな朝早くにゲームやなんてやってたな。
「まぁとりあえずやってみるか」
そう言って、俺たちはゲームを始めた。
どうやらこのゲームは、プレイヤー同士が協力して、ステージを攻略していく、まぁよくあるゲームだ。
最初に自分の職業を決めるみたいだ。
「僕、こうゆうの初めてやるんだけど、どれがいいと思いますか?」
「そうだなー。佳月は踊り子とかヒーラーとかが似合うんじゃないか」
可愛い系だしな。
なんなら、俺のために踊ってほしいくらいだ。
そしたら、生徒会の仕事もいつもの6割増しで進みそうだ。
まぁ生徒会の仕事と言っても、よくわからん費用の許可申請にハンコをおしたり、目安箱の中身を確認したり、学校行事の手伝いをするくらいで今のところは全然忙しくないんだが…
「じゃあ、僕はヒーラーにしようかな。みんなのサポート頑張ります。それで皆さんはどれにするんですか?」
「私は、剣士にするわ」
「じゃあ、私は魔法使いにします」
「えっと、佳月がヒーラーで、青山が剣士で、会長が魔法使いだから、このままだと前線が青山しかいないから俺も前線での戦闘に長けてる職業にしたほうがよさそうだな」
「じゃあ、宮本くんは槍使いなんてどうですか?」
「甘いわよ結衣。宮本は農民くらいがちょうどいいわよ」
こいつホントに俺のこと農民か何かだとおもってないだろうな。
「農民ってそれたぶん一瞬で死ぬぞ」
そう言って俺は、会長の言った槍使いにした。
ゲームが始まり、最初のステージで草原の中をしばらく進むと、最初の敵にふさわしいような見るからに弱そうな敵が、10体ほど現れた。
「さぁ、どっからででもかかってきなさい! 私がどんな相手でもぶった切ってやるわ」
そう言って青山は、敵をどんどん倒していく。
「青山。おまえ、うまいなぁ~」
「まあね!私こうゆうの得意だから」
結局、最初の10体は、ほとんど青山が倒してしまった。
「私も戦ってみたいです!」
「じゃあ、次は結衣と宮本でやってみて! 私は横で見てるから」
「あの~、僕はどうすればいいんですか?」
「佳月は、私たちがダメージを受けたら、回復させるのよ」
「あ。モンスターが出てきました。今度は私の魔法で蹴散らしてあげます」
いや会長、前に出すぎだろ!
俺がそう思うのと同時に、会長が敵に集中攻撃を受け始めた。
「あー、やばいです。どうすればいいんですか」
「俺もこっちの敵を倒すので手いっぱいだから頑張って倒してください。後、佳月!会長にヒールよろしく」
「わかりました。えっとヒールはこうかな?」
「ちょっと佳月! 結衣の周りの敵を回復させてどうすんのよ!」
「え!あ、ごめんなさい。もう一回やってみます」
「…あ!」
「どうした?」
「死んでしまいました」
「まじか! てか、会長のところにいた敵がとっちにくるじゃねーか!」
これ以上敵が増えたら俺もきついぞ。
「こっちにも敵がきました。ヒーラーって、どうやって攻撃するんですか?」
「ヒーラーは攻撃できないわよ。頑張って逃げなさい」
俺がなんとか周りにいる敵を倒すとほぼ同時に佳月のHPが0になった。
「宮本先輩、すみません。死んでしまいました」
「二人じゃこのステージ勝てそうにないから、一回リタイアしましょう」
「そうだな」
「それにしても、意外と難しいですね」
「まぁ、最初はそんなもんだろ」
この後も、会長が味方を攻撃したり、青山が一人で突っ走りすぎて後ろの三人が青山の倒し損ねたモンスターにやられたりと、なかなか最初のステージがクリアできないでいた。
てか、このゲーム最初から難しすぎだろ!
そして、7回目にしてようやく第一ステージをクリアした。
「いやー、ようやくクリアできたわね! きりがいいし、今日はここまでにしましょう」
「も、もうちょっとやりませんか?」
どうやら、会長はゲームにハマってしまったらしい。
「僕はもう疲れちゃったかな」
「そうだな。ゲームはまたいつでもできるし、とりあえず今日はこのくらいにしておくか?」
「そうですね。今日はこのくらいにしておきしょう」
そう言って、本来の生徒会室に戻ると、生徒会室は真っ暗だった。
「あれ?誰か、生徒会室の電気消したっけ?」
「私は知らないわよ。てか、別にそんなことどうでもいいじゃない!」
「そうだな。確か、蛍光灯のスイッチは、この辺に……あったあった」
「さっさと荷物まとめて帰るわよ」