表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生徒会での…  作者: 藍井 湊
第1章
38/43

第38話 ミスコン

 * * * * * * * * *


 今週は延々と生徒会の仕事をして気づいたら金曜日。

 お陰で、文化祭までの仕事はほとんど終わった。

 実行委員の方もほとんど終わったみたいだった。


 今日は実行委員の文化祭当日のスケジュールを決めるらしい。 

 こんなに働いたんだから文化祭当日くらいゆっくり休ませてほしいところだが、文化祭なんて仕事でもしとかないと退屈すぎて誰もいない屋上にずっといそうだからいいけど。

 とは言っても、実行委員の中での俺の位置づけはあれだから、どうせ単独行動が可能な場所に配置されるはずだ。

 まぁ俺としては好都合だな。

 だって一緒に行動してるはずなのに、俺だけ3歩後ろ歩いてるとかなんか嫌だし。



「それでは実行委員の会議を行いま~す」

 今日も菊地が適当な感じの喋り方で会議が始まった。

 こんなんで根が真面目だからよくわからない。


「今日は文化祭当日の割り振りを決めていきたいと思いま~す」

 こいつ本当に一年だよな?

 俺の後輩だよね?

 こりゃあれだな。

 好き嫌いがはっきりしそうだな。

 とりあえず大概の女子には不人気確定。


 会議は思ったより順調に進んでいった。

 というか、割り振りはすでに菊地によってだいたい決められていた。

 実行委員の担当別に時間、場所などがきれいに振り分けられ、クラスのと時間がかぶっている人は時間をずらして、などと菊地が要領よく操作していた。

 最初に生徒会に来た時とは大違いだな。


 まーた育ててしまったか。ガハ八!…

 まぁ全く育ててないし、このセリフは危ないな。


 基本担当別なので、俺は一人確定ということで興味無さそうに聞きながらも少しわくわくしてたんだけど、俺(生徒会)の担当箇所は告げられぬまま会議が終わってしまし、皆が続々と会議室を出ていき始めた。 


 あれ?

 俺仕事なし?

 リストラ決定?

 それともいない人扱い?

 誰か死ぬの?

 死ぬのは確か2親等以内だから、妹が危ないな…

 まぁ冗談はこの辺にしておいて。


 役割ナシならそれでもいいんだけど、てっきりこき使われるのかと思ってたから、なんか拍子抜けだな。

 まぁ生徒会の仕事もあるし、菊地が配慮してくれたのかな?

 珍しいこともあるもんだな。

 

 それにしても菊地さん?

 あなた、実行委員長のくせに文化祭当日の仕事ないんだけど…なめてんの?

 確かに今まで結構頑張ってたし、それに菊地のイメージ的にもお祭りサイコー、文化祭大好きーみたいな感じだけど、だからってそれはダメでしょ。

 最後まで責任もってやりなさい。


 割り振りのない俺が思うのもどうかなって感じはするけど。

 まぁこうゆうのは知らなかったふりが一番だな。

 注意して俺まで仕事増やされるのはごめんだし。

 逃げるが勝ちだな。

 このままここいにて最後、菊地と二人になったら困るしな。

 

 俺は配られた資料をカバンにしまって、すたこらさっさーっと会議室を出て生徒会室へと向かった。


 今日の生徒会室は平和そのものだった。

 俺が生徒会室のドアを開けると、俺以外の4人で仲良くトランプをしていた。


「あれ、宮本。もう実行委員の仕事終わったの?」

「まぁな」

 一応、実行委員の仕事って、生徒会として頼まれたんだけどなー。

 いつの間に、俺の仕事になったんだっけ。


「ていうか結衣。お前なんでまたそれ着てんだよ」

「今、休憩中で30分後くらいからまたリハーサルなので、この格好でいいいかなーって思ったんですけど」

「まぁそれならしょうがないな。ていうかそれなら、クラスの方に居なくていいのか?」

「皆は色々運んだりしてて、私も手伝おうかな~って思ったんですけど、皆が衣装汚れたらいけないから、休んでていいよって言ってくれて、それでここに来たんです」

「そうかい。そりゃご苦労なことだな」


 その時、生徒会室のドアが勢いよく開けられた。

「先輩!大変です。大変なんですー」

 いや、こっちまで大変にやる予感しかしないんですけど。

 今、やっと自分に文化祭当日の振り分けがされてないことに気づいたとかいう、ドジっ子演出だったらぶっ殺すぞ。

 てか、今のでこっちの布陣も全員、再起動不能みたいになっちゃってるんですけど


「どうした?」

 菊地はきょろきょろと生徒会室を見ている。

「………あ、やっぱり大変じゃないです」

「お前、一発殴っていいか?」

「いや、流石に先輩に触れられるのは困ります」

 …拒否る理由それ?

「じゃあ手袋着けてならいいのかよ」

「まぁそれなら妥協します。だけど顔以外でお願いしますよ」

 いや、俺のこと嫌いすぎだろ。

 俺に触られるより殴られる方がマシとか、俺も落ちるとこまで落ちたな。


「あ、でも一つ頼み事したいんですけど」

「…別にいいけど、楽なのにしてくれよ」

 また仕事かよ

「先輩には用事ないんでもう帰っていいですよ」

 いや、ここ俺の居場所だから。

「お前、俺への扱いひどすぎるない?一応先輩なんだけど、その辺わかってる?」


「それで皆さんに頼みなんですけど、いいですか?」

「無視かよ」

 しかも、その皆さんの中に俺は入ってないんだろ。

「いいよ。何でも聞くよ」

 お前も勝手に話進めるなよ。


 それにしても、結衣って後輩には敬語使わないんだな。

 当たり前と言えば当たり前だけど、ちょっと意外だな。

 なんか新鮮でいいな。


「あのーミスコンの話なんですけど」

 またその話か。

 菊地はそう言うと、俺の方をチラッと見た。

 何?俺なんか悪いことししたか?

「先輩に一回侘飲んだんですけど、あんまり何もやってくれなくて、」

「いやいやいや。ちょっと待て。俺はちゃんとミスコンのポスター作って学校中に貼ったぞ」

「でも、それだけじゃないですかー」

「まぁ確かにあれだけだが、人数足りないのか?」

「はい、てっきり足りてると思ってて、確認してなかったんですけど、さっき見たら4人も足りてなかったんですよ」

 おっかしいな~。

 あの作戦で行けると思ったんだけどなー。


「だから、先輩に何とかしてもらおうと思ってここに来たんですけど、ここに頼んだら出てくれそうな人がいたので、使わせてもらおうかなと思いまして」

 なるほどね。

 こいつらをミスコンに出させるわけね

「そうゆうことだったら出てもいいよ」

「ホントですか?…えっと名前なんでしたっけ?」

「宇佐美結衣です。初めましてかな?」

「話すのは初めてですね。ついでに後の3人の名前も教えてもらってもいいですか? ちなみに私は菊地楓です」

「2年の青山涼香」

「青山先輩ってどっかであったことありますよね」

「ここで会ったわ」

 それくらい覚えとけよ。

 俺なんか滅多にしゃべりかけられないから、ほとんど覚えてるぞ。

「あ、そうでしたね」

 ホントに思い出したのか?


「えっと水無瀬佳月です」

「よろしくね」

「は、はい」

 何か佳月の喋り方ぎこちないけど、もしかして佳月ってコミュ障なの?

 マイフレンドだったのか、知らなかったぜ。

 まぁちょっと内気なだけだろうけど。


「1年の清水みどりです。よろしくおねがいします」

「あー、君がみどりちゃんなんだ。何かあれでしょ。最近よく学校来るようになった人でしょ。思ってたよりかわいいね」

「ありがとうございます」

 お前の清水へのイメージはどんなんだったんだよ。

 知りたいようで知りたくないようで。


「それで、4人ともミスコン出てくれるってことでいいですか?」

 4人?

 もしかして、佳月も入ってるの?

 こいつ、佳月が男だって分かってないんじゃないだろうな。


 もしかしてだけど~もしかしてだけど~ それぇて佳月を誘ってるんじゃないの~

 そうゆうことだろ。ジャン。


 ……一応制服着てるんだけどな。

「あの~僕は流石にちょっと」

「佳月くん男の子だからミスコンなちょっと可哀そうかなーって思うんだけど」

 流石会長、部下が困ってたら助けてあげないとね。


「男子なのは制服見てすぐわかりましたけど、でもぶっちゃけその辺の化粧まみれのケバイ女子高生よりよっぽど可愛くないですか?」

 まぁ否定はできないな。

 というか全面的に肯定だな。

 やっぱりわかる人にはわかるんだよな。


 当の本人は相当戸惑ってるみたいだった。

 それもそうだろうな。

「体型も小柄で女子っぽいから女子の制服着たら知ってる人以外は男の子だってわからないと思いますよ」

 佳月が女装?

 見たいに決まってるだろ。

 舞台の上でスカート引っ張って、内股で恥ずかしそうにもじもじしてる姿とかめっちゃ見たいんですけど。

 何ならその後速攻で告白して、速攻でフラれたいわー。

 これは俺も推薦するしかないな。


「まぁこんな機会一生ないし、一回やってみてもいいんじゃないか?」

 俺がそうゆうと佳月以外の全員の矢のような視線が飛んできた。


「いや違うぞ。別に佳月の女装が見たいとかそういうことじゃなくてだな。人数足りないらしいし、しょうがなくだな」

 なんで俺が悪いみたいになってんだよ。

「…そこまで言うなら、出ても、いい、よ」

「ホントですか? ありがとうございます」

「人数足りないみたいだし、それに僕いつも部活であんまりみんなの役に立ててないから、何か役に立ちたいし」

 けなげだなー。

 超感動。


 すると、菊地が俺の横に歩いて来て、俺にだけ聞こえる声で言った。

「先輩。私、あの子を弟に欲しいんですけど」

「奇遇だな。俺も超欲しい」

「先輩、変態ですね」

 菊地はそれだけ言って、元いた位置に戻った。

 もしかしたら俺と菊地は意外と仲良くなれるかもしれないな。

 依然として俺への扱いはひどいけど。


 後は2人だな。

「それで清水はミスコンどうする?」

「出てみたいです。私こうゆうの一度でいいから出てみたかったんです」

「決まりですね。後は青山先輩だけですね」

「…私は出ないわよ」

 そうだろうと思った。


「どうしてですか?」

「ど、どうしてって…ほら私装飾品とか持ってないし…」

 そうゆうことね。

「いや、その格好で出ていただければ大丈夫ですよ」

「いやそうゆうことじゃなくて……その……とりあえず私は出ないから」


 菊地が困ったような顔をしながら、また俺の方に来て俺に向かって話しかけてきた。

「先輩。青山先輩どうしちゃったんですか?」

「お前女なのにわかんないのかよ。俺でも分かったぞ」

「ホントですか?」

「まぁ見てろって」


 ここは俺の腕の見せ所みたいだな。

 見せたくないけど。

「青山。所詮ミスコンなんて、みんな顔しか見てないから、顔より下がどれだけ貧相でも気にすることないぞ」

「は?宮本。誰の胸が貧相だって」

「別に胸なんて誰も言ってないだろ」

 やっぱりこうなるよな~

「ほぼ言ったも同然でしょ。私がどれだけ悩んでると思ってんのよ。あぁイライラしてきた。おい宮本、一発殴らせろ」

「いや流石にそれは理不尽すぎるだろ」

「心配しなくてもいいわよ。殴ったらミスコン出てあげるから」

「ホントですか? ありがとうございます。じゃあ私が抑えとくんで、思いっきりいいですよ」

 そう言って、菊地は俺を羽交い締めにした。

 

「ちょっと待てちょっと待て(青山さん。ラッスンゴレライてなんですのん。違う違う、そうじゃない)。話し合おうじゃないか」

「先輩。そうゆうのいいんで大人しく殴られてください」

「お前もこうゆう時だけいい様に利用してんじゃねぇよ」

「ごちゃごちゃ言ってんじゃないわよ!」

「ホントに待って。俺親にも殴られたこと」

「黙れ!」



 「……チーン」


……流石に顔面に正面からグーで殴ることないだろ。

 それにめっちゃ本気だったし。


……菊地は見た目により意外と大きんだな。

 ってそうじゃなくて。

 こんな時だけ、いい様に利用しやがって。



「まぁ不本意だけど、しょうがないから参加してあげるわ」

「ホントですか? ありがとうございます。これで無事にミスコン開催できそうです」

 みんな倒れてる俺は無視して話進めるのね。

 それとも死人扱いなの?

 相変わらずの対応だな~

 泣けてくるな~


「あ、私もうクラスの方戻らないと」

「そう言えばそうだったわね。後は私たちで何とかしとくから行っていいよ」

「ありがとうございます。それではお先に失礼します。 あ、春樹くんもお疲れ様です」

「ん」

 結局結衣も助けてはくれないのね。

 佳月と清水はさっきから二人で楽しそうに何やら楽しそうに話してるし。

 俺もそっちに混ぜてほしいんですけど。


「ちょっとそこの粗大ごみさん。早く起きないとゴミ袋に詰めるわよ」

「……みんな今日はいつも以上に俺への対応ひどくない?」

 俺はなんとか起き上がって言った。

「最近仕事ばっかで、ちょっとストレス溜まってたからかも」

「私もそんな感じです。それと私、この前実行委員会で先輩にいじめられたんですよ~」

「あ~なんかそんな噂流れてたわ。ぼっちでクズのカスが一年の実行委員長をセクハラして泣かせたとかなんとか」

「おいおいちょっと待て。どう考えても誤解だろ。ぼっちでクズのカスなのは分かるけど、セクハラはしてないぞ」

 ぼっちたる者、絶対に犯罪は犯さない。

 俺のぼっち理念の中の一つ。


「まぁ確かにあれはセクハラじゃないですし、私も少し悪かったことろもあると言えばあるし…」

 いや、そこでいきなり声のトーン下げたら完全に逆効果で俺が悪いみたいになっちゃうからやめて!

「ほら私、ウソ泣きとか得意じゃないですかー」

「は? ウソ泣き? あれウソ泣きだったの?」

「はい、そうですけど」

「おい、ふざけんなよ。心配して損しただろ」

「何ですか? 先輩、私のこと心配してくれてたんですか?」

「そりゃ後輩の女子泣かせたら心配するだろ」

 こいつ、どこまで俺のことなめてんだよ。

 いつか倍返しにしてやる。


「先輩って意外と見た目によらないところありますよね」

「人間見た目が9割だから、ほとんど見た目通りだよ」

「いやちょっとよく分かんないですけど」

 何でわかんないんだよ。

 お前とか、まさにそうゆうの信じてるタイプの人だろ。

「まぁいいですけど。私、まだやることあるので、そろそろ帰りますね」

「おう。じゃあな」

「皆さんもまた今度」

「じゃあ」(山)

「ばいばい」(月)

「さようなら」(水)


……ようやくいなくなったな。

 てか、あいつ「また今度」とか言ってたけど、もう来ないよね?

 社交辞令みたいなやつだよな。


 それにして疲れたな。

 というか顔痛いな。

「もう今日は帰るか」

「そうね。何か疲れたし、達成感みたいなのもあるし」

「いやお前今日は、俺を殴っただけだろ」

「だからそれの達成感が半端ないって感じ?」

「もういいよ」

 こいつも菊地も大概だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ