第36話 お仕事の時間
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生徒会の仕事はならなければならないが、実行委員の仕事も同様にやらなければならない。
ここで実行委員の仕事をさぼったら、実行委員のやつらと何も変わらない。
会議室のドアを開け、今日も十分の人数がいることを確認していつもの席に座る。
俺の実行委員の仕事は遅れているところのフォローということになっているが、実際の仕事はちゃんとここに来て真面目に仕事をすることだ。
実際、この調子でいけば余裕で間に合う。
現状、目立って遅れているところはない。
つまり今、俺の仕事はない。
ただそれが来なくていいということにはならない。
俺はカバンから大量の書類を取り出して、早速それにとりかかった。
これならどちらの仕事もこなしていることになりwin-winだ。
おそらく、この中で実行委員の仕事内容をすべて知っている人はいないはずだ。
それに、わざわざ俺が今どんな仕事をしているかを確認しようだなんて人はいないだろう。
しばらく仕事をして、少し疲れたと思って時間を確認すると、もう7時だった。
今日から文化祭一週間前で、最終下校時刻が9時になったのもあって、まだ会議室にはちらほら人が残っていた。
もちろん菊地も残っている。
ここで9時くらいまでやってもいいけど、流石に菊地に申し訳ない。
それに気まずい空気になるのが火を見るより明らかだ。
今日はこれくらいで退散して、後は生徒会でやるか。
俺は荷物を纏めて会議室を出た。
7時を越しているにもかかわらず、生徒会室には俺以外の4人がせっせと仕事をしていた。
この状況を見ると、さっきまで生徒会の仕事をしていたのに、何故か申し訳ない感じになる。
なんか、話しかけたらいけないような雰囲気だった。
そんな状況を察してか、清水は俺に気づくとニコッと笑いかけて、すぐに仕事に向かった。
というか、他の皆は無視なの?
まぁ大変なのは分かるけど、軽い挨拶くらいはあってもいいんじゃないの?
というか、結衣さん?
今日もその格好で仕事してるんですね。
生徒会のマスコット的なキャラクターにでもなりたいのかな?
それとも未来人かな?
俺は椅子に座り、横にある書類を一束取って仕事にとりかかった。
それにしても、少し前まで一切仕事がなかったとは思えないくらいの仕事量だな。
生徒会がこんなに多忙だなんて知らなかった。
そう言えばこの学校が特別なだけだったな。
お陰で、最近は生徒会と実行委員の仕事のことばっかり考えてる始末だし。
このままだと、社畜の道もそう遠くはなさそうだな。
嫌だな ヤバいな 残業地獄。
いい感じかと思ったけど5,7,5でもなんでもなかったな。
どっちかというと早口言葉だな。
嫌だなヤバいな残業地獄、嫌だなヤバいな残業地獄、嫌だなヤバいな残業地獄。
思いのほか簡単だな。
気づけば、8時半になっていた。
皆黙々となってるなーと思って顔を上げると、俺と青山以外は全員寝ていた。
青山は俺の視線に気づくと、苦笑いをした。
「今日はこれくらいにするか」
「そうね。他の3人は勝手に離脱したみたいだけど」
そう言うと、青山は席を立って結衣の背中を思いっきり叩いた。
相変わらず容赦ないな。
「ふぎゃ…」
結衣は状況が分からないのか、周りをきょろきょろしていた。
後ろにいる青山を見てようやく状況を理解したようだ。
「涼香ちゃん。もうちょっと優しく起こしてよ~」
「ごめんごめん。ちょっとストレス溜まってたからつい」
もう少しましな嘘ないのか?
「そうなの? あんまり無理しないでね。相談とかあったら乗るし」
いや、嘘だって気づけよ。
天然か?
それとも天然のふりなのか?
「…え、えぇ。そうね」
ほら青山も返答に困ってるじゃんか。
でも、こうゆう構図も新鮮でいいな。
そんなことを思っていたら、大事なことを一つ忘れていたことに気づいた。
「悪いけど俺、先帰るわ」
「ぇ?……わかったわ。 後はこの二人起こして施錠するだけだし、もうあなたは用済みだものね」
その言い方だと俺は仕事する以外に全く役に立ってないみたいな言い方になるけど、………考えてみたら、そんな気もするけども、そうゆうことはあんまり口に出されると困るって言うか、傷ついちゃうって言うか・・・
まぁでも今はいいか。
「悪いな。じゃあお先に」
「また明日」




