第29話 これでいいのだ ?
放課後になり、俺はゆっくりとした足取りで教室から直接会議室に向かった。
昼食の時に皆には、これから実行委員の方は俺一人で大丈夫だと伝えておいた。
会議室に入ると、まだ授業が終わったばかりなのに相当な人数が揃っていた。
俺が入ってきた時の反応は、だいたいクラスと同じような感じだった。
これだけの人数がいるのなら、俺一人来なくても余裕で回るだろう。
けれど、俺は来なければいけないのだ。
簡単に言えば、これだけの人数をキープするためには、少なくとも俺がある程度来て、真面目にかつ効率のよい作業をしなければならないだろう。
例えるなら、ゲームをクリアするにはボスを倒さなければならず、主人公はクリアに向けて進んでいるのはなく、ボスに出会うために進んでいるのだ。
リーグの途中で後ろ向いて波乗りとかなめとんのか。
つまり、今回は俺がボスということだ。
だから俺は毎日とは言わなくても、それくらいの頻度でここへ来て真面目に仕事をしなければいけないのだ。
ボスが弱すぎたら、逆に戦意喪失するからな。
というわけで、俺は今日もここで黙々と仕事をこなしていかなければいけない。
とは言っても生徒会の担当は、遅れている個所の補填だ。
こうゆうのって、頼れるスーパーエリートか、何もできない奴が任させるところじゃないの?
俺、どっちにも当てはまらないんですけど……まぁ強いて言うなら前者かな……いや、ないな。
だって俺は孤高のスーパーエリートだからな。
人に頼られてたまるか。
担当じゃない仕事で残業とかワロス。絶対したくない。
俺は定時に帰る派だからな。
てか、それを言うなら働きたくない派だな。
どの仕事をやったらいいのかは分からないが、人に聞いたり聞かれたりするわけがないので、適当に残りが多そうな仕事をすることにした。
そう思い、領収書が大量にファイリングしてあるものを持っていき、電卓を打ったり、記録したりのちまちました作業をすることにした。
やはり気になるので、作業をしながらちょくちょく見ていたが、見た感じでは菊地は今までと変わらない様子で作業を進めていた。
感情の上下が激しい人なのだろうか。
確か温度の上下が激しいのは海じゃなくて陸だったな。
日本は海に囲まれてるくせに、夏は超暑いし冬は超寒いけどな。
モンスーンの影響だったっけ?
後、ラニーニャ現象な。
やる気なさ過ぎて、つい勉強のことまで考えてしまっていた。
でも、今日菊地が来てくれたのはよかった。
俺のメンタル的にも精神的にも。
ってそれ両方とも一緒だな。
流石に6時を過ぎると、半分くらいの人がいなくなっていた。
まぁ自分のクラスのこともあるし、そこはしょうがないだろう。
俺も、もうそろそろ帰るとするか。
最後になったら、いろいろ気まずいしな。
てか俺、今日ここで一切喋らなかったな。
これぞ真のぼっち……誰か~。
俺は荷物をまとめて会議室を出た。
会議室を出て廊下を少し歩いた時に、後ろから声がした。
「先輩!」
声の方向からしても、声を勝てた主からしても相手に俺に間違いはない。
振り返ると、何か言いたげな菊地が気まずそうに立っていた。
俺と菊地の間には5mくらいの間隔があった。
「あの…昨日はあ」
「昨日は悪かったな」
俺は菊地の言葉を遮って言った。
菊地は俯いた。
「いえ、わかってますから」
菊地が今の言葉をどちらの意味で使ったのかは俺にはわからなかった。
「まぁ昨日のことは忘れてくれ。後ついでに俺のことも忘れてくれ」
これでいい。
俺は菊地に背を向け校門へと歩き出した。




