第28話 視線
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結局昨日はあの後、生徒会室には戻らず家に直行して、ベッドに飛び込んでナマケモノのように過ごした。
昨日とは打って変わって、今日は夏がぶり返したかのような暑さだった。
どうやら本当にいい日になったようだ、なんて昨日の些細な会話までしっかり記憶しているほどに、昨日のことは暗黒の黒歴史として刻み込まれているようだ。
とは言っても、後ろは振り向かない俺としては昨日のことなんて気にせず、上を向いて歩いて今日も変わらない校門をくぐった。
その時、後ろから誰かに飛びつかれた。
「春樹くん。おはようございます」
重い、苦しい、てか何か背中に当たってるんですけど。超柔らかい。後、超柔らかい。
てか、この人周り見えてないの?
めっちゃ周りの視線痛いんですけど
「ちょ…何やってんだよ」
少し口調が強くなってしまった。
まぁツンデレってことで許してくれ。
結衣は、ゆっくりと俺の背中から降りた。
てか、こいつってこうゆうやつだったっけ?
でも人に人格を勝手に決めつけるのはよくない。
きっと以前より少しバカになっただけだろう。
それより、そうゆう行為を好きでもない人にやるのはどうかと思いますよ。
そんな無邪気な行動1つでピュアな男子高校生は勘違いしてしまうんですよ。
「こんな朝早くから元気だな」
「春樹くんがいつも元気ないので、たまには元気出してもらおうかと、日常にユーモアを?みたいなやつです」
ちょっと、何か今文脈おかしくなかった?
それとも俺の聞き間違い?
いつも元気がないじゃなくて、最近元気がないとかの……あ、でも俺の場合は、いつも、であってるか。
俺の勘違いでした。
「それはどうも」
てか、それにしてもそんなに直接言うことなくない?
めっちゃ傷ついちゃうんですけど。
まぁ冗談なんですけど。
「昨日は行けなくて悪かったな」
正確には、行かなくて、だけど。
「私も文化祭の準備であまり行けてないので、気にしないでください」
「そうでしたね。お姫様」
「あー、また言った~」
結衣は少し頬を膨らませて、冗談っぽく怒ってる顔をして俺を見上げてきた。
はいはい。怒ってる顔もかわいいよ
「タメ口になった」
俺はからかうように言った。
「たまにはいいんですー。ていうか、同級生です~。何なら私の方が位、上なんですけど」
あー、そのアングルもいいね。
もう一枚お願いしまーす。
それにしても、結衣も言う様になったな~
権力って怖い。
教室に入ると、いつもより邪悪な視線を感じる。
まぁそうだと思ってました。
さぁ広めた奴出て来い。今、正直に名乗り出たら怒らないから。
あー、これ絶対怒るやつだわ。
とは言っても、こうゆう状況になったとしても、直接何かされることもないだろうし、俺のやることがいつもと変わるわけではない。
先生!クラスの皆が目で僕のことイジメてきます。
おい、どこの小学生だよ。
この状況から察するに、結衣も既に昨日のことを知っているのだろう。
知っていなくても、後5分もすれば教えてもらうのだろう。
まぁ元から俺のクラスは俺の居場所ではなかったわけだし、どうでもいいけど。
何て、ちょっと強がってみちゃったりなんかして………




