第24話 イケメンとポスターと安息と
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あくびをしながら教室のドアを開けると、誰もいないと思っていた教室にはスポーツウエアを着て、今から運動でもするかのような格好をした人が一人いた。
その人物は、俺が入ってきたことに気づくと少し驚いた表情を見せたが、すぐにいつもの爽やかな顔に戻った。
「おはよう、宮本くん。今日は早いな」
「まぁな。そっちはバスケ部の朝練か?」
「そうだよ。最近文化祭の準備とかでなかなか部活行けてないからさ」
「そうか。頑張ってな」
「ありがとう」
そう言って、教室を出て行った。
クラスのことにまったく興味のない俺でも、あいつの顔と名前くらいは流石に知っている。
なんせ、このクラスの男子の中心人物だ。
城山和人
彼は眉目秀麗、学業優秀、運動万能で、もちろん女子からの人気もある。
そして誰にでも分け隔てなく接して、周りの空気を読むのに長けている。
だから、さっき声をかけられた時もさほど驚かなかったし、俺も普通に話せた。
まさに俺とは真逆の人間だ。
城山と俺は光と影のようなものだ。
つまり俺は黒子ということだ。
俺もミスディレクション使いてー。
これから将来の夢聞かれたら、ミスディレクション使えるようになることって言おうかな。
でもそんなこと言ったら、ますます俺への風当たりが強くなりそうだから止めておこう。
ホント、俺なんかに話しかけてくれるなんて、城山くん超優しい。
そして超羨ましい。
おっと、そんなことより俺もやることがあっていつもより1時間も早く学校に来たのだ。
カバンの中から昨日夜更かしして作ったポスターを取り出した。
柄が決まっているポスターならパソコンで2時間程あれば作れるのだが、今回はミスコンのポスターでターゲットが女子高生なので、最近の女子高生の目を引くものを知らない俺は、作るのにだいぶ時間がかかった。
結局、これと言って女子高生の目を引きそうなものは分からなかったので、ここは俺の得意分野で勝負することにした。
ポスターには女の子のキャラクター大きくが印刷されていて、上にミスコン募集と大きな字で書かれている。
勿論キャラクターは女子にも抵抗がなさそうなのを選んだつもりだ。
このポスターの目的は皆にミスコンの存在を知ってもらうことなので、悪目立ちだろうが何だろうが目立てばそれでいい。
ポスターはより人が通る場所に貼ったほうがいいに決まっている。
俺はとりあえずポスターを各階の中央階段を上がったところと、昇降口の近くの掲示板に貼った。
そして最後に職員室前の掲示板に貼った。
本来、掲示板に何かを貼るときは生徒会に申請をしないといけないのだが、今回は貼っている張本人が生徒会のメンバーなので、申請はしなくてもいいだろう。
ようやくひと段落つけると思うと急に眠気が襲ってきた。
まだホームルームまでは時間があるし、教室戻ってデスマの疲れを取るために寝るか。
ちなみにデスマとはデスマーチの略で休みのない過酷な労働環境のことである。
まぁ家に可愛いメイドのドラゴンがいる人は分かるだろう。
俺の家にもメイドのドラゴン来ないかなぁ。…来ないですね。分かってます。
ホント、月曜から夜更かしとかするもんじゃないよな。
テレビの方は面白いから、つい毎週録画ボタン押しちゃったけど…
いつも通りどうでもいいことを考えながら安息を求めて教室へと向かう階段をゆっくりと上がっていった。




