第22話 輪の外の住人
俺が会議室を出て少ししたら、菊地も生徒会室から出てきてくれた。
「どうしたんですか?先輩。…まぁ言いたいことはなんとなく分かりますけど」
「人数っていつもあれくらいしかいないのか?」
まぁどんな答えが返ってくるかは、あの場の雰囲気からだいたい想像がつく。
勿論、このことを聞きたくてわざわざ菊地を呼んだのではない。
「はい。その…みんな色々忙しいみたいで」
菊地は申し訳なさそうな表情で言った。
「じゃあやっぱり、いつもこれくらいの時間になるとあんな感じになるのか?」
なるべく自然に、かつ興味なさそう声を出そうと思い、我ながらいい具合の声が出てくれた。
しかし、菊地は俺の意図が分かっているかのように少し困った表情をした。
「いや、いつもなら途中で帰る人は5時半ぐらいまで、ほとんどいないですんですけど…」
やっぱりか。
これだから微妙にスペック高いぼっちは苦労するんだよ。
後、この状況を理解して察しちゃう辺り自分で自分の首絞めてるようなもんだよな。
例えるなら、もしある人がいじめられていたとして、その人がそれに気づかず、ただ友達からいじられているとしか感じなかったら、その人自身が苦しむことはほとんどなく、問題にもならないが、その人がそれをいじめだと認識した瞬間にその人の苦しみは格段に跳ね上がり、大きな問題として浮上するのだ。
そしてそれは、いじめている側がいじめだと認識していなくても起こる現象なのだ。
知らぬが花とはよく言ったものだ。
「わざわざ作業中に呼び出して悪かったな」
「いえ、全然」
そう言って俺たちは会議室には入り仕事へと戻った。
俺は自分で言うものあれだが、周囲の適切な状況判断能力と問題解決能力にはそこそこ自信がある。
伊達にずっと輪の中に入らず一歩引いたところから周囲を観察してきたわけではない。
でも俺の場合だと一歩どころか確実に十歩は引いてるな。
視力2,0なめんな。
だからこの状況の理由も何となく察しがついてしまう。
主な原因が俺にあり、多少菊地にもあることに。
さっきの様子だとおそらく菊地も何となくかんずいているのだろう。
実際ああいうタイプの女子は常に周りには敏感だが、都合の悪いことは気づいていないふりをしてごまかすのだ。
俺調べだから信憑性には欠けるが、多分当たってるだろう。
とは言っても今回、菊地は俺に気を使って言わなかったのだろう。
ご配慮感謝します。
再びぼっちゾーンを使い、気づいたらちょうど6時半になるところだった。
流石に皆、帰ったようで会議室には俺と菊地の二人だけになっていた。
きっと菊地は自分からお願いしておいて、自分から今日は止めよう、と言い出しにくいのだろう。
俺は席を立ち、菊地がいる方へ行った。
菊地も気づいたようで手を止め、顔を上げた。
「今日はこの辺で終わりにしないか」
「はい。…てか先輩、もうちょっと早く終わってくださいよ~。私から言い出しずらいじゃないですかー。今何時だと思ってるんですか」
いや、俺がせっかく気を使ってやったのに、そっちは思ってることめっちゃ言うんだな。
「悪かったな。でもその割にすごい集中力だったな」
「まぁ仕事ですから」
こいつ真面目なのか真面目じゃないのかどっちなんだよ。
まぁ分かるけど…




