第2話 学校は勉強する場所
「学校は勉強をする場だと思うのです!」
「そうですね」
会長は、きれいな長い髪をなびかせながら、何かよくわからないことを言いだした。
なので、とりあえずそれっぽい返事を返しておいた。
ちなみに、今生徒会室にいるのは、副会長の俺、宮本春樹と会長の宇佐美結衣だけである。
それにしてもどうして会長は急にこんなことを言い出したのだろうか?
「どこか、勉強で教えてほしいところでもあるんですか?」
「そうゆうことを言いたいのではありません!」
どうやら、俺の予想はかすりもしていないらしい。
「それじゃあ会長は何を言いたかっかんですか?」
とりあえず、俺は話を戻した。
「最近放課中にゲームをしている人が増えてきていると思いませんか?」
「言われてみれば、スマホとかPFPとかをみんな放課中によくやってるのをみかけるな。」
「でしょ! 私は学校でそうゆうことをやるのはよくないと思うのです」
「まぁそうだな。それで生徒会で取り締まろうってことですか?」
「そうゆうことです。でもその前に………」
会長が何かを言いかけようとしたその時、生徒会室のドアが開いた。
「すみません、遅れました。」
「ごめん、掃除が長引いちゃって!」
そう言って、生徒会室に入ってきたのは、会計の水無瀬佳月と書記の青山涼香だ。
「ちょうどいいところに来てくれました。ちょうど今から今日の会議の本題について話すことろだったんですよ」
え⁉さっきのもう会議中だっだのかよ?
「まぁ、軽い序章みたいなものですけど」
「そ、そうか」
てか、声に出てた?
「ちょっと、私たち抜きで何勝手に会議はじめちゃってんのよ」
青山はトレンドマークのツインテールが左右に揺れる。
どうやら青山は自分がいない間に会議が始まっていることに、ご立腹のようだ。
「いや悪いな。俺もまさか会議がもうはじまってるなんて思ってなくてさ。ちょっとした雑談のつもりだっだんだよ」
「まぁ、そうゆうことなら仕方ないわね」
「それより、全員揃ったことだし、会議を再開しましょうか、会長」
「そうですね」
全員が着席し、ようやく会議らしい雰囲気になった。
「それで、会長さん。今日の議題は何なんですか?」
佳月がいつもの可愛らしい様子で質問した。
確かに佳月は可愛いが、正真正銘の男だ。
余計なことは考えるな、宮本春樹。
そんなことを考えていると、会長が今日の議題について話し始めていた。
「今日の議題は、生徒会のみんなでゲームをやってみよう、ということです」
そうそう。みんなでゲームを…………え?
俺は会長が何を言っているのか、意味がわからなかった。
「会長、何言ってるんですか? さっきと言ってることが、正反対ですよ!」
「そ、そんなことないですよ」
「えっと、話の内容がいまいち掴めないんですけど」
状況を掴めていない佳月が困惑した様子で尋ねた。
それもそのはず、最初から話を聞いていた俺ですら、この状況を把握できていないのだ。
というか、誰かどうしてこうなったのかわかるやつがいたら、説明してほしいものだ。
「最近、校内でゲームをしている人が増えてきていると思うの」
「まぁ、確かにそんな感じもするけど、それでどうして私たちまでゲームすることになるのよ」
青山がまさに俺が質問しようと思っていたことを質問した。
「そ、それは……あれです、敵を知り己を知れば百戦危うからずってやつです」
「今考えたでしょ! ホント結衣って勉強以外のことになると器用よねぇ~」
青山は、またもや、俺の思っていることをそっくりそのまま発言していた。
「その言い方だと、私が勉強できないみたいじゃないですか」
「あれ?でも、この前のテスト、ひどかっかわよねぇ~」
「会長さん、この前のテストそんなに悪かったんですか?」
「あ、そっか、佳月は知らないわよね」
本人によると、相当悪かったらしい
まぁ俺もその話を聞いたのは、ほんの数日前なんだが、、
そうなのだ。なんならこの前のテストが終わった時点では、俺はまだ、水無瀬佳月という存在を知らなかったまである。
というのも、この前のテストというのは、7月にあった、いわゆる、1学期期末テストのことであり、現在の後期生徒会が初めて集まったのが、9月の初めのことだからである。
何故かうちの学校は前期が1学期だけで、後期が2、3学期すべてという変わった構成になっているのだ。
まぁどうせ2学期からは3年生には受験勉強を頑張ってほしいからとか、そんな理由だろうけど、、
それに、俺と会長の宇佐美結衣と書記の青山涼香は、三人とも2年生だが、会計の水無瀬佳月は一人だけ一年生なのだ。
ちなみに、俺はと会長は3組で、青山は1組だ。
ちなみに、今は、9月の中旬だ。
つまり、生徒会ができてから、まだ2週間そこらしか経っていないということになる。
「いい機会だから、結衣がどれだけ馬鹿なのか佳月にも教えてあげるわ。確か結衣のこの前のテスト用紙、全部写メで撮っておいたのよ」
「え! ちょっと、涼香ちゃん!そんなのいつのまに撮ったんですか」
「この前、結衣の家に遊びに行ったときに撮ったわ。 …あ、あったあった」
そう言って青山はスマホの画面をみんなに見えるように、机の上においた。
「あはは。これは……なんというか…いろんな意味ですごいですね」
佳月は、遠慮がちに言った。
俺もあらためて見たが、やはりすごい点数だ。
英語29点、日本史25点、国語26点、生物28点、化学19点、数学2点
見事にすべて赤点だ。
一体どうやったらこんな点数が取れるのだろうか?
というか2点ってなんだ。
「この前は本調子じゃなかっただけです! それより涼香ちゃん!私のテスト返してください」
「おっと、危ない危ない、とゆうかこれ私の携帯なんですけど」
「そうゆう細かいことはどうでもいいんですー! それよりその写真早く消してください!」
青山が携帯を片手に、会長から逃げ回っている。
会長が若干涙目になりながらも、携帯を取ろうと必死になっている。
少し会長がかわいそうに見えてきた。
「青山、もうその辺にしておけ」
「わかったわよ、しょうがないから消してあげるわ」
青山が会長に見えるように画面の削除ボタンを押した。
「それで会長さん、今日の議題のことについてですけど…」
佳月がタイミングをうかがいながら言った。