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生徒会での…  作者: 藍井 湊
第1章
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第18話 スタンスとのギャップ

生徒会室に戻ると相変わらず2人は山積みになっている書類と格闘していた。


「何話してたの?」

俺が椅子に座り書類を取ろうと思った時、青山が書類を見ながらそう言った。

「清水のことでちょっとな」

「先生はなんて言ってたの?」

「…まぁよろしく頼むってそれれだけだ」

「そう」


それからしばらく3人とも書類とにらめっこしたり、あっち向いてほいをしていたが、書類の量は思ったよりも減らなかった。もちろん、言葉通りの意味ではないですよ。

これは今日来て正解だったな。



少し疲れてきた時にふと時計を見ると、もう昼の1時だった。

「あ、もうこんな時間ですね。いったん休憩して昼食にしましょうか」

俺につられて時計を見た結衣がそう言った。

「俺、昼食持って来てないから、その辺のコンビニで何か買ってくるわ」

そう言って、財布をポケットに入れ立ち上がった。


「ちょっと待ってください。そうだと思って今日は3人分の昼食を作ってもらったんです」

結衣は明らかに高級そうな布で包んである大きなものを取り出した。


これはあれか、二日連続の女の子の手料理お弁当か。なんか、最近俺ついてるな。

いや、ちょっと待て。結衣は今、作ってもらったって言ったよな。

てことは、結衣の手作りじゃないのか。

そう言えば、結衣の家はクロエさんだけじゃなくて料理人も雇ってたよな。

となると、これはラッキーだな。

それにしても、大きい弁当箱だな。


「そうか。悪いな。ってか、もし俺たちが昼食持って来てたらその量、どうするつもりだったんだ?」

「涼香ちゃんには昨日伝えてあったので、春樹くんがもし昼食を持って来ていたら、二人で頑張って食べようと思ってました。せっかく作ってくださったので完食しないと申し訳ないです」

この発言には、さすがに俺も青山も苦笑いだった。


「そうだ宮本。せっかくだから今日は昨日言ってた屋上で食べない?」

「そうだな」

というわけで、俺たちは屋上へと昼食を食べに移動した。


俺は慣れた手つきで屋上の鍵を開けた。

本日2回目の屋上である。

もっと言うなら、ここ2日で4回目の屋上だ。

もうそろそろ顔認証システムとかつけてもいいくらいだな。


「宮本。あんた、何でここの鍵持っているのよ」

「清水に貸してもらったんだよ」

「みどりちゃんはどうしてここの鍵を持っていたんですか?」

「白石先生が貸したんだとさ」

「そうなんですか」


そして、清水のことやらどうでもいい話をしながら、俺たちは結衣が持ってきた弁当を囲んで食べた。

思った通り、弁当はすごい美味しかった。


そして、また坦々とした作業へと戻った。

担担麺って名前変えた方がいいんじゃないか?なんてどうでもいいことを考えたりしながら、仕事を進めていった。


しばらくすると、なんだか自分でもわかるくらいすごい集中力で仕事をしていた。

これはあれだな、ゾーンとかいうやつだな。

緑間とか超カッコいいだろ。

そう言えば、緑間はゾーン使ってなかったっけ?

っていうか、俺ってこうゆうキャラじゃなくね。

こんな序盤でキャラぶれする主人公が出てくるアニメとかあったら、絶対切る自信あるわ。


その後も仕事を続けて、ふと時計を見るとすでに5時を回っていた。

太陽が沈み沈みかけていて、赤い太陽の光が生徒会室に入ってきていた。


生徒会室を見渡すと、二人とも机に突っ伏して寝てしまっていた。

まぁ朝からずっと同じことばかりやってたら、そりゃこうなるのも無理はないか。


それにしても、3人で一日中やったのに、書類はまだまだ残っていた。

でも今日はこれくらいで限界だろう。

運の悪いことに俺のカバンの中には今日、何も入っていなかった。


もう少しこのゆったりとした時間の中にいたい気もしたが、最近は季節の変わり目で風邪をひきやすいので、もうそろそろ起こしたほうがよさそうだ。

まぁ、いつからこの状況だったのかはわからんが。


「おい、二人とも。起きろ」

「あぁ~。いけない寝ちゃってたわ」

青山は、目を覚ますとあくびをしながら両手を上にあげて伸びをした。

「ふにゃ~。あれここはどこですか?」

結衣は、それだけ言ってまた机に突っ伏してしまった。

「お前、熟睡しすぎだろ。てかまだ寝るのかよ」

まぁ、先週の寝起きと比べれば、ましな方だけど


まだ、帰るまでもう少しかかりそうだな。

「宮本。先帰ってていいわよ。私は結衣を起こして、戸締りしとくから。一人で仕事させちゃって悪かったわね」

意外と気が利くところもあるんだな、と驚いたがせっかくなので、お言葉に甘えさせていただくとしよう。

「そうか。じゃあ悪いけど先に帰らしてもらうわ」

「ん。また、来週」

「あぁ」



家に帰って、夕食を食べた後、俺は自分のカバンを持って、部屋へと移動した。

こうゆうことに限らず、勉強とかもそうだけど、やるまでが一番大変なんだよな。

夏休み明けとかゴールデンウイーク明けとかに学校行きたくないのは、きっとほとんどの人が思ったことがあるだろう。

月曜日の自殺者が一番多いのもきっとこれが理由なのだろう。



それにしても、白石先生はどうして清水にしたんだろう。

よくよく考えてみれば、先生も失敗したからってこんなところでぼっち飯とか、まだまだ子どもだな。

まぁ先生が変わってるのはは最初から薄々分かっていたことではあるが…

その一方であの先生が生徒のことをよく見ているということも最近分かったことではあるが

とはいっても、教師はそれが仕事だし、何なら俺たちと違ってそれでお金をもらってるわけで、そう言う意味では当たり前のことをしていると言えばそれまでだ。

でも現実は当たり前のことを当たり前にやるのはかなり難しいわけで、それにやったからと言って誰かに褒められるわけでもないし、逆にやらなければ怒られる可能性がある。

この世の中はどうしてこんなにも理不尽にできているのだろうか?

まぁこんな難しいこと考える俺カッコいいとか思っちゃったりする時もあるんだが

こんなことを考えていると自然とため息が漏れる。


いっそ、異世界転生とか起こらないかなー。いや、それだと一回死ななきゃいけないのか?

痛いのとか嫌だしな

そうなると異世界転移だな。

最近、ラノベとかアニメとかでも結構ブームだしその流れに乗ってとか…ないですよねー。

はい、わかってました。



まぁ、そんなこと考えててもしょうがないし、仕事しますか。

カバンのチャックを開けるとそこは…異世界につながって…なんて期待は外れて書類でいっぱいだった。

その書類を見つめ、改めてため息をついた。

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