第17話 現実と真実
というわけで、3人で黙々と書類に目を通したり、話し合って相談しながら仕事をしていると急に生徒会室のドアが開いた。
「お、三人とも頑張っているようだね」
そう言って生徒会顧問の白石先生が入ってきた。
「先生も土曜日なのに学校来て仕事ですか?」
結衣がそう聞くと、先生は若干嫌そうな目になった。
「ま、まぁそんなところだ。雑務だのなんだのっていうめんどくさい仕事は基本、若手に回されるのよ。ほら、私若手だから」
重要なことだから、二回言いましたね。
それに家にいても誰もいなくて一人で寂しいだけだから、仕事をしてごまかそうっていう考えも含まれてそうだな。
「宮本。ちょっといいか?」
そう言って、先生は生徒会室から出て行った。
やべ。もしかして俺声に出してたか?
まぁ、とりあえず行くか。
殺されないことを祈りながら…
先生は生徒会室から遠い方の中央階段を使って上に上がっていった。
4階までつくとさらに上に上がっていった。
まさか、ここって
行き止まりまで行くと、先生はポケットから鍵を取り出して開けた。
先生について行くように俺は屋上へと上がった。
「清水の件はどんな感じかね」
先生はフェンスに軽くもたれて、空を見ながらそう言った。
どうやら、声には出していないみたいだ。
「先生が清水にここの鍵を渡したんですか?」
先生は清水のことをどこまで知っているのだろう。
学校への報告とかがあるだろうから、引っ越すことはおそらく知っているはずだ。
「私もここが結構好きでね。よく一人でここに来るんだが、1学期に何回か立て続けに失敗をしてしまったことがあってな。誰かと一緒に昼食を食べる気分じゃなかった私は、ここで昼食を食べようと思ったら、屋上のトビラの前であの子が一人で弁当を食べていたんだ。さすがにかわいそうだったから屋上で一緒に昼食を食べた。私はあの子にいろいろ話して、あの子もいろいろ教えてくれた。それで授業に戻るときに鍵を貸したんだ。いい話だろ」
「そうですね。それで、先生は清水のことをどこまで知っているんですか?」
先生は少し悩むようなそぶりを見せた。
「それは秘密だ。それを知ってもお互いにあまりいいことはないからな」
どうゆうこととよくわからないが、この先生がそう言うならそうなんだろう。
「じゃあ先生はどうして清水を生徒会に入れろって俺たちに言ったんですか?」
「それはさっきの質問と少しかぶっているな。というか、もう君たちはその答えを導き出したんじゃないのか」
「どうゆうことですか?」
「…そろそろ戻ろうか」
そう言って、フェンスにもたれかかるのを止め、トビラへと歩き始めた。
どうやらこれ以上聞いても無駄なようだ。
これより先の真相は自分達でたどり着けとでも言っているかのようだった。
「宮本。今見えていることだけがすべてではないからな。現実と真実を見誤るなよ」
そう言い残して、白石先生は職員室へと戻っていった。
それにしてもどういうことなんだ。
いまいち抽象的過ぎてつかみきれない感じだ。
現実と真実……か