第16話 休日出勤
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はぁ~。
案とも気ののらない朝だった。
というか、何でわざわざこんな日のこんな時間から学校に行かなきゃいけないんだよ。
ちゃんと休日手当とか出してくれるんだろうな。
ホント、25時の携帯通知とかこれからは絶対見ないようにしよう。
100%土曜日の仕事に違いない。
何か有名な人も言ってたし。
毎度おなじみの生徒会室に入ると、やはり毎度おなじみの人が2名いた。
「遅いわよ。宮本!」
こんな日までハイテンションとか俺からしたら考えられんな。
こっちは、休日出勤ってだけでテンション75%オフな気分だよ。
てか、昨日の夜中に急に言われてわざわざ来てやったのに、その言いぐさはないだろ。
「あ、春樹くん。おはようございます」
「おはようございます。てか青山!お前集合時間とか一切言ってないだろ」
ホント、こんな時間からわざわざ学校まで行って、集合時間は夕方だよ!何てことだったら生徒会から抜けようかとまで考えてたんだぞ。
「いや、学校と言ったら8時20分までに登校に決まってるでしょ!」
いや、決まってないから。
これはあれだな。一回精密検査した方がいいレベルだな。
脳ドックとか行った方がいいんじゃないか、手遅れになる前に。
ちらっと時計を確認すると、8時30分を指していた。
「いや、休日の10分ぐらい大目に見てくれてもいいだろ。そう言えば、佳月は今日も部活か?」
「はい」
「あいつもこんな日までご苦労なこったな」
何なら、頑張る佳月に今から差し入れでも持っていきたい気分だ。
そうゆうことになれば、休日でも平日でも何なら元旦でもお盆でも大晦日でも喜んで行くんだがな。
「で、今日は何しに集まったんだ?ゲームとか言ったら、帰るぞ」
「ゲームです」
「よし帰ろう」
そう言って俺は5秒前に座ったばかりの椅子から立ち上がった。
「あ、あの。嘘ですよ。春樹くん」
結衣まで俺をからかい始めるようになったら、俺の心が持ちそうにないな。
「こんな日にわざわざ集まったんだから仕事に決まってるでしょ」
「ですよね」
はい、わかってました。
でも口に出されて言われると、それはそれで来るものがあるなぁ。
「でも、わざわざ今日来なきゃいけない程、仕事溜まってたか?」
確か、平日頑張ればなんとかなる量だったような、、、
「そうね。量的には問題ないわね」
やっぱりそうらしい。
じゃあ、何だ。新手の嫌がらせか?
「じゃあ、どうしてわざわざ今日仕事するんだ?」
「あんたが昨日言い出したんでしょ」
………全く身に覚えがない。
大体俺が休日出勤を自分から望むはずがない。
「涼香ちゃん。そんな言い方じゃ伝わらないですよ」
どうやら、結衣は事情を知っているらしい。
「昨日の夜、春樹くんがみどりちゃんが文化祭が終わったら引っ越すって教えてくれたじゃない?」
「あぁ、あれのことか」
確かに俺は昨日清水のことをみんなに伝えたが、それと今日のこととどう関係があるんだ?
「それで、みどりちゃんに少しでも生徒会で楽しい思い出が作れるようにしたいねって昨日涼香ちゃんと電話で話してて、それならやっぱり仕事は私たちでやっておこうということになったんです」
清水には楽しく過ごしてほしいから、仕事は自分たちで。ってことか。
「そうゆうことならしょうがないな」
こいつらも自分たちなりにいろいろ考えてくれているらしい。
それにしても、まだ一回しかあってない人によくそこまでできるな。
二人揃ってお人好しだな。
そんな感じで俺にも優しく接してくれると嬉しいんだけど