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生徒会での…  作者: 藍井 湊
第1章
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第15話 清水の秘密? 妹の勘!

「それで、話って何だ?」

「…私、生徒会に入るかどうか決めました」


「聞かせてくれるか?」

「はい。……私やっぱり生徒会には入れません」

「どうして? 結構楽しそうだったと思ったけど…」

「はい。ハル先輩の言った通り、3人ともすごく優しい人たちで、とても楽しかったです」

「清水が入ってくれれば、皆喜ぶと思うぞ」


「きっとそうですね。………実は私もうすぐ引っ越すんです」

清水は少し間を置いた後、何故か笑顔でさらっとそう言った。


「え?」

俺には突然すぎて意味が分からなかった。


「びっくりしました?」

「当たり前だろ。そんな急に言われて」

「ですよね」


「それでいつなんだ?引っ越すのは」

「文化祭の次の日です」

「そうか」

ということは、後2週間ちょっとか

すごい急な話だが、そもそも俺と清水が初めて会ったのが今週なんだからしょうがない。


「だから、ホントは最初から生徒会には入れないのは決まってたんです。今日、生徒会に行ったのも、ただこの学校で思い出作りがしたかったからです。 私、自分勝手ですよね」

「そうだな」

清水は俺の返答が予想していたものと違ったせいか、少し驚いた表情を見せた。


「まぁでも、人間って所詮そうゆう生き物だろ。誰だって自分勝手で自己中で、自分に都合の悪いことは見ないようにして。俺だってそうしてきた。だから、最後ぐらいはもっと自分勝手でいいんじゃないか? 乗り掛かった船なんだからさ、ぎりぎりまで乗ってればいいじゃんか」 


「…まぁ言い方変えるなら、文化祭が終わるまで生徒会が清水の思い出作りに協力してやるってことだ。清水が来てくれれば、俺たちも仕事が減ってお互いwin,winだしな」


「ハル先輩。すごい上から目線ですね。……しょうがないですね。文化祭が終わるまで、ハル先輩のお仕事減らすのに協力してあげます」

清水は目に涙を浮かべながら、それでも涙を流すことはなく、笑顔でそう言った。


「清水もだいぶ上からだったけどな」

「文句あるなら入りませんよ」

「いや冗談だよ」

「私も冗談です」

そう言うと、二人とも笑った。


「もうそろそろ帰るか」

「そうですね。もうだいぶ遅いです」


そう言って、俺たちは屋上から出て鍵を閉めた。


「そう言えば、その鍵どうしますか? 私が生徒会に入ったら、ハル先輩が毎日昼休みにここでお昼ご飯を食べる理由はなくなりますよね」

清水は少し寂しそうにそう言った。


「何言ってんだよ。生徒会が清水の思い出作りに協力してやるって言ってるんだから、昼食ぐらい一緒に食べてやるよ」

「ハル先輩、今日はすごい上から目線ですね。少しムカついてきたので、一回ビンタしてもいいですか?」

「ダメに決まってるだろ」

「冗談です。でも、ありがとうございます」


「そうゆうわけだから、この鍵は引き続き預かっとくぞ」

「はい」


「そうだ。来週からは生徒会のメンバー全員で昼食食べないか?」

階段を下りながら、俺は聞いた。

「いいんですか?」

「多分皆いいって言うだろ」

「でも、私学校に来れるかどうか…」

「来れなかったら4人で食べるから気にするな」

「そうですか……それなら来週からは皆と食べたいです」

「わかった。皆に伝えとくよ」


清水は家までは歩きだということなので、学校を出たところで別れた。



「ただいまー」

家に帰ってリビングに行くと、理沙が机に教科書やらノートやらを開いて、そこ上に突っ伏して寝ていた。

どうやら、理沙は勉強途中に睡魔に負けたようだ。

俺も何度も経験がある。

というか、あいつら、たち悪すぎだろ。

勉強するまでは何ともないのに、勉強しだした途端、急に襲ってくるし。

あいつらホント、受験生の敵だよなぁ。

そんなどうでもいいことを考えながら、俺は理沙に毛布を掛けてやった。


「ん………あ、お兄ちゃん、おかえり」

理沙は顔を上げて目をこすりながら言った。

「ただいま。 悪いな、起こしちまって」


「別にいいよ。 それよりお兄ちゃんが毛布かけてくれるなんて、珍しく気が利くじゃん」

「俺は基本的に一般人の二倍は気が利く方だぞ。ずっと一緒にいてそんなことも知らなかったのか?」


「お兄ちゃん、一ついいこと教えてあげようか。 気が利く人はクラスでぼっちにはならないんだよ、ぼっちお兄ちゃん」

「ちょっと理沙さん、だいぶ精神的にくるんで、そうゆうのは止めてもらえますか」


「はいはい。 とにかく、お兄ちゃんは周りにもうちょっと気を使わないとダメだよ」

「善処します」


「ねぇお兄ちゃん」

「どうした?」

「今日学校で何かあった?」

「どうして?」

「ただなんとなく、理沙がそう思っただけ、、」


「そうか。まぁあれだな。一日たりとも同じ日なんかないんだから、何にもない方が珍しいってもんだな」

「まぁ何でもいいけど、あんまり一人で背負い込みすぎないようにね。お兄ちゃん、いつも一人でよくわからないことばかり考えて、変な方向に突っ走る癖あるから」

「そうか?」


「そうだよ。ずっと一緒にいた理沙が言うんだから間違いないよ。理沙ね、お兄ちゃんのことなら大体わかるんだよ」

「そうかい。あんまり俺の心の中覗かないでくれよ」

「そこまではわからないよ。ただ何となく感情がわかるだけだよ。嬉しそうとか悲しそうとか」


「じゃあ、今の俺はどんな感じなんだ?」

「なんかね、言葉にするの難しいんだけどね。迷ってるとか、悩んでるとか、それでいてちょっと悲しそう」

ほとんど当たっていた。

「お前、超能力者だったのか?」

「だからお兄ちゃんのことなら大体わかるって言ったでしょ」

それにしても、こんな妹がいたら、家でもなかなか心中穏やかじゃいられないな。


「だからさ、何かあったら相談してね。できる限り力になるから」

「でも、お前受験勉強で忙しいだろ」

「お兄ちゃんの相談相手くらいなら息抜き程度にちょうどいいよ」

「悪いな、わざわざ」

「いいよ。だって理沙はお兄ちゃんの妹なんだから」


「さ、こんな堅苦しい話はこれくらいで終了。お兄ちゃん夕食まだだよね。今作るから待ってて」

「俺作るからいいよ。理沙、勉強途中だったんだろ」「気にしないで。それに家事は基本的に私がやるって決めたじゃん」

「そうだったな。……俺も何かあったら相談乗るからな」


「そりゃもちろん。使えるものは使っていかないとね」

「いや、お兄ちゃんはものじゃないんだけど……」

「細かいことは気にしないの」


理沙の作ってくれた夕食を食べ、自分の部屋に言った俺は、とりあえず清水のことを生徒会のメンバーに伝えた。

昼食のことも聞いてみたが、思った通り即答で了承してくれた。


そう言えば清水はどうゆう事情でどこに引っ越すんだ?

まぁ来週聞いてみればいいか。


それにしても、どうして清水はそんなにこの学校で思い出が作りたいんだろうか?

思い出なら、引っ越し先でたくさん作ればいいんじゃないか?


まぁ女子の考えることなんて、わかるはずないか。


考えても仕方がないので、今日はさっさと寝よう。

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