4.二重人格ですか?
酔っぱらうと私は気が大きくなってしまう性質らしい。
「これからももう少し忙しくなると思うが、大丈夫か?」
「大丈夫です!どんどん厳しくして頂いて結構でえす!」
「……そう言って貰えると助かる」
フッと笑われて……ドキドキする。
なんか総務課の知合いが、亀田課長人気あるって言っているの……分かるような気がしてきた。普段滅多に笑わない人に笑顔って……何だかとっても胸に刺さるんですけど。
伏兵亀田。スッゴイ武器隠し持ってるな……!
「亀田課長!呑んでますか!」
亀田課長の右側が空いたらしく、三好さんがストンと腰を下ろした。
「三好」
亀田課長が三好さんの方を向くと、息せき切ったように彼女は仕事の話をし始めた。
「寿屋の会長について教えていただきたいのですが……」
「樋口さんの担当だろ、樋口さんに聞けよ」
「亀田課長も一時期担当していたんですよね」
「まあ……樋口さんが大変な時期な」
「私も何かあった時カバーできるようになりたいんです」
「お前、前のめりもいいが……今の担当満足にこなせるようになってからにしろよ」
「勿論でっす!」
三好さん……やっぱ仕事熱心だなぁ。
私なんか自分の仕事で手一杯。範囲を広げようなんて全然考えないよ。まあ正社員だから私とはスタンスが違うのかもしれないけれど。
それに亀田課長に自分から近寄ろうなんて考え、全く湧いてこないもんな。怖すぎるから。
でも。
さっきみたいな笑顔を見せてくれて、褒めてくれるんだったら―――もうちょっとお仕事頑張れるような気がする。
よしっ!頑張ってみようじゃないの!
と小さくガッツポーズを作って、ふらつく頭で私はニタニタと笑いながら目の前の皿に手を伸ばしたのだった。
しかし翌日、私は直ぐに後悔した。
飲み会の優しい言葉と笑顔はいずこ?!
ニコリともしない亀田課長の厳しさは相変わらずで。いや、当社比1.2倍になったかも。
そりゃ『大丈夫です!』とは言ったけどお~!
心が通じたから、今後ちょっとくらい手加減してくれるって期待してた私が甘かった。
何だったの、あの笑顔は。
二重人格ですか??
A型だと思っていたけど―――絶対AB型だっ……!そうに違いない。
亀田め~~!
もっと女の子には、優しくしろ~~!




