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だって好きなんだもん  作者: 空葉
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返事

田神くんと映画に行ってから一週間後、また彼と会う約束をしていた。

この一週間、学校ではこれまで通りほとんど彼と言葉を交わすことはなかったけれど、メールでのやり取りは時々あった。


あやちゃんには彼のことは何も言っていない。これまで身の回りの出来事をすべてと言っていいくらいに逐一あやちゃんに話していたから、本当は早くあやちゃんに言いたい。でも、やはりなぜかそれを拒む自分がいるの。


今日は田神くんと近所のゲームセンターで遊び、帰りに公園に寄り道した。二人でベンチに腰掛け、先ほど買った肉まんをほおばる。

田神くんは意外と話しやすく、すごく盛り上がるわけでもないけど無言が気まずいということもなかった。肉まんを食べながらいろいろな話をした。クラスメイトのこと、数学の先生の口癖のこと、部活のこと・・・。

覚悟は決めていた。今日田神くんにちゃんと告白の返事をする。


「田神くんあのさ」

「ん?」

「この前の返事なんだけど・・・」

「あ、あぁ」


話を切り出すと急に田神くんが落ち着かない様子になった。目線を落とし返事を祈るように待っている田神くんを見て、ちゃんと言ってあげなくちゃと思った。


「私でよければ、その、付き合って・・・みようかな、って・・・」

「!!」


付き合ってくださいとは言えなくて、何だか上から目線な言い方になってしまったけれど、それでも田神くんは顔をバッとあげて嬉しそうに、


「ほんと!?やったー」


と喜んでくれた。その笑顔を見て、私はこれでよかったんだと思えた。田神くんと付き合うという決断に、最後少しだけ残っていた躊躇が打ち消されたようだった。

これであやちゃんに迷惑をかけなくてすむ、そう言い聞かせていたのかもしれない。


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