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だって好きなんだもん  作者: 空葉
26/33

試み

告白された翌日、その彼から連絡がきた。彼の名は田神くん。返事は急がないから今週末遊びに行こうという内容だった。少し迷ったけれど、同じく恋をしている田神くんに自分を重ねていた私は彼と会うことにした。


***


田神くんと映画館に行く約束をした当日。朝から妙な緊張感があった。待ち合わせ場所に行くとそこにはすでに田神くんがいて、はにかんだ笑顔でむかえてくれた。私も緊張して、映画館までの道のりでの会話は途切れ途切れだった。それでも田神くんはなんだか嬉しそうで。私はそんな彼に好感を持った。


見たい映画は特になかった。男の子はアクションが好きかなと思って提案してみたけれど、田神くんが見たいと言ったのは恋愛映画だった。田神くんの伏し目がちな視線とか、かと思えばジーッとこちらを見ていたり、ここに来るまでの間にすごく意識されているのがよく分かって、正直戸惑った。


映画が終わってからも田神くんは優しく接してくれて、最後別れる時は、家が反対方向なのに私の最寄りの駅までわざわざ送ってくれた。帰り道では幾分か田神くんに慣れてきていて、少しリラックスして話すことができた。帰り際、


「今日はどうだった?」


と聞かれ、反射的に


「楽しかった」


と答えた。田神くんはそれは嬉しそうな顔をして言った。


「よかった。また今度どこか行こうね」

「うん。じゃあまた」


自分の言葉にこれほど喜んでくれることにまた戸惑いを感じつつ、少し嬉しいような不思議な気持ちで別れた。



***


もしかしたらあやちゃんを忘れられるかもしれないと思ったの。あやちゃんのことは好き。恋愛感情としても友情としても。でも恋愛感情の好きを持ち続けることは苦しいし、あやちゃんに迷惑をかけかねない。だから出会って間もないころの友情だけの好きに戻れたらなんて思ったの。というかそうしなければいけないって思った。


だから私は田神くんと付き合ってみようと決めた。


彼のことはまだほとんど知らないけれど、だからこそこれから自分の気持ちが彼に向くかもしれないと期待を込めて。

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