戸惑い②
あやちゃんあやちゃんあやちゃん…
とにかく会いたかった。
突然の予想だにしなかった事態に頭がパニックで、あやちゃんに会って安心感を得たかった。足は気持ちのままにあやちゃんのもとへと向かう。
あやちゃん!
姿が見えた途端、それまでの勢いが嘘のように足が止まった。なぜか、あやちゃんに言ってはいけない気がした。いや、言いたくなかったのかもしれない。とにかく今は何もなかったことにしようと思ったの。
***
帰宅した。心の中では、パニックになって泣き出した子供が母親に抱き着くように、私はあやちゃんを求めていた。あやちゃんに抱き着いて、抱きしめてほしかったの。けれどもう一人の私がそれを抑える。私には告白してきた男子の気持ちがわかる気がした。誰かを好きになること。気持ちがどんどん大きくなって言わずにはいられなくなってくる。私はあやちゃんに拒絶されるのが怖くて言いたくても言えない。けれどこの男子は勇気を出して私に告白したんだ。そう思うと彼に尊敬の念すら抱けるようだった。自分も誰かを好きな立場にいるから分かる、彼の気持ちが痛いほど。好きな人を想って胸が苦しくなって、ほんの少しの時間でも一緒にいたいと願って、時折妙に「あぁやっぱり自分はこの人が好きだなぁ」って胸が震えるほど実感したり。そういうせつない思いを彼も知っているのかもしれないと思うと、真剣に誠実に向き合わなければいけないと思った。彼は私に告白したのだから、私は私自身で考えて自分の力で答えを出さなければいけないと。