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戸惑い①
あやちゃんと出会ってもう少しで1年が経とうとしていた。
近頃は、一時期よりもあやちゃんへの好きが落ち着いて、気持ちが暴走して後悔するというようなことはなくなっていた。そんな自分の成長も感じられ少し自信がついていた頃、びっくりするようなことが起きた。
***
「好きです。付き合ってください」
え…
驚きすぎて頭の回路が停止した。今私の目の前にいるのは、いつかあやちゃんが私のことを好きなんだよと言っていた男子。
「えっと…あの少し考える時間をもらってもいいですか?」
なぜ同級生に敬語なのだろうかとか、なんでほとんど喋ったこともないのに私なんだろうとか、色々などうでもいいことが浮かんでは消えていった。でも真っ先に思い浮かんでずっと消えなかったのはあやちゃんの顔だった。
「あっうん、もちろん」
「ありがとうございます。じゃあ」
「あっちょっと待って」
「?」
「連絡先教えて?」
「…はい」
「俺のはコレ。…はい、ありがとう!」
「いえ、では」
私はそれだけ言ってそそくさとその場を立ち去った。