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だって好きなんだもん  作者: 空葉
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電話

電話をかけるって結構勇気のいることだと思う。繋がらなかった時がっかりするから。相手の都合もあるし迷惑だったらどうしようとかいう遠慮もでてきちゃう。だから家族以外に電話をかけるなんてめったにない。それでも、あやちゃんには電話したいと思ってしまう。本当言うとあやちゃんには毎日会いたいし、何もしなくてもただ一緒にいたいと思う。だけど恋人でもないのにそんなのできないからどうしても気持ちを抑えられない時は電話する。


***


押しかけた通話ボタンをしばらく見つめ、画面の電源を切った。先程から幾度となく繰り返した作業。

ここのところあやちゃんと2人きりで話すということがほとんどない。もちろん学校に行けば毎日会えるんだけれど。やっぱり2人でしか話せないこととか、2人でしか味わえない雰囲気とかあるよね。そんなことを自室で1人考えていたら、あやちゃんと話したくてどうしようもなくなった。


プルルルルル……


とうとう押してしまった。けれどすぐにはつながらなくて。それでも切らずにあともう少しだけ、と待っていると、


プツッ……


え、うそ、切られた…?!!


絶望的な気持ちで画面を見つめる。そうだよね、いきなり電話なんて迷惑だよね、嫌われたんだ。あー最悪。

そこへ、


▷ごめん今電話出られないの!


あやちゃんからだ。続けてメッセージが送られてくる。


▷どうかした?


ずきゅーん。あやちゃんが電話に出れない時にいきなり電話して、ただでさえ迷惑だろうに、どうかした?って、聞いてくれるんだ。もう、私泣けてくるよあやちゃん。私はいつだって優しいあやちゃんに、自分のことしか考えなかった行動に反省しつつ返信する。


▷ううん、大したことじゃないから。ごめんね、いきなり電話して。


▷そうなの?わかった、じゃあまた明日ね!


▷また明日!


やりとりが終わる。

悩んで悩んで、やっとのことで勇気をだしてかけた電話は結局つながらなかったけれど、私はなぜか大して落ち込んでいなかった。

それもきっと、あやちゃんがどんなときでも優しくて、私と誠実に向き合ってくれるから。私もあやちゃんにとってそうでありたいと思うの。


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