想い(あや視点)
藍ちゃんは、正直で素直だからとても信頼できる。この子は絶対に嘘はつかない人だ。だからもちろん大切な友達だし、大好きだ。けれど、私にとって友達はみんな同じく大切で藍ちゃんだけ特別というわけではないのだ。そんなことを思いながら、今日の帰り道で藍ちゃんに聞かれた言葉を反芻する。
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「ねぇあやちゃんにとって私はどんな存在?」
「えっどうしたの急にww」
「なんとなくwで、どうなの?」
楽しそうだと思ったら急に不安げな表情をする藍ちゃんをみて、これは真剣に考えなくてはと思った。
「うーんとそうだね。藍ちゃんは私にとって同じクラスで仲のいい友達だよ」
どうだ、と思って藍ちゃんを見ると納得してなさそうな顔で続きを待っている様子だったから、本当は続きなんて無かったけれど他に言うことはないかと考えた。
「あと~正直で嘘つかないから信頼できる!」
これでどうだ!
「うんそれで?」
おっとまだ満足してないのか。しかしもう他に言えることは思いつかず、
「え~それ以上はないよ」
「私はあやちゃんにとってただの同じクラスの仲のいい友達なの?」
「そうでしょ?ただのっていうとあれだけど、大切な友達だよ」
「一番?」
「え?・・・友達に順番なんてないよ。みんな大切」
「・・・そうだよね」
そういった藍ちゃんはなぜか少し寂しそうにみえて、藍ちゃんが一番だよって言ってほしかったのかなと思った。けれど私も嘘をつくのは好きではないし、同じ友達の中で誰かを特別扱いするのは嫌だ。藍ちゃんを大切に思う気持ちに偽りはなく、こんなに大切にしているのに藍ちゃんは一体私にこれ以上なにを求めているのだろう。
***
わからなくはない。お互いに一番だと言い合える関係を夢見るのは。けれどそれは所詮理想でしかないのだ。
私は藍ちゃんの一番でなくていい。
私にできるのは、ただ藍ちゃんのことを心から大切に想うだけ。