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毒男とJK  作者: 山田太郎アットマーク
4/9

毒男とJK その4

二人が食事を終えて、取り止めのない話をしたあと大野は時計を見た、時間は22時を回っていた。


「 川村さん、どうするお風呂に入る? 」と結衣に尋ねる。

「 いえ着替えがないので・・・ 実は昨日あんまり寝れてなくて、今日はもう

  このまま寝てもいいですか? 」

  結衣は疲れきった表情で、大野に尋ねる。


「 いいよ、じゃあ布団しくね 」 そう言うと、マット、敷き布団、シーツ、

 夏用の掛け布団で結衣の寝床を準備する。結衣は自分で準備すると言ったが、大野は

「 お客さんだから 」と手早くセッティングを済ませた。


「 じゃあ寝ようか? 」と大野が結衣に問いかける。しかし大野が自分の布団を用意

 する気配がない。

 

結衣は少し怖くなり、恐々と大野に尋ねる。

「 ・・・大野さんはどこで寝るんですか? 」


「 うん? 俺は隣の部屋で雑魚寝するよ 」 と言った。そう言われて結衣は初めて気がついた。

  客用の布団がないのだ。先程の布団が、元々大野の布団だったのだ。


「 すみません 私が布団取っちゃったんですね・・・」 結衣は申し訳なさそうに大野に謝る。


「 いや客用の布団用意してないのこっちが悪いんで 明日にはちゃんと布団セットを買いに

  いくから大丈夫だよ 気にしないで こっちこそ俺の布団で御免 ・・・・臭くない? 」

  大野は、恥ずかしそうに結衣につげる。 

  こんな事を言われ、結衣はますます肩身が狭くなる思いがした。



「 本当気にしなくていいから 」 

「 俺、明日は仕事休みだから、明日は色々買いに行こう 」

「 じゃあ、もう電気消すね? 」

  大野はそう言うと、部屋の明かりを消して、奥の部屋へと移動する。


「 お休み 」大野はそうつげると障子を閉じた、むこうで僅かな音がしたが1分後には

電気が消えた。結衣は、大野に感謝すると同時にすぐに眠りについた、他人の家、しかも見知らぬ

男性が隣にいるのに、小心者の自分としては考えられない位早い入眠だった。



隣から微かに、少女の寝息が聞こえた事を確認すると大野は、雑魚寝になりながら今後の事を

考えていた。出来れば明日にでも警察に連絡して、引き取ってもらった方がよくはないだろうか?。

しかし泊めた自分は罪に問われないか?。泊めた事を早速後悔しながら、今後の事がグルグルと

頭を巡る。大野は夜中の2時近くまで思案したが、3時を過ぎると眠気に恐われ眠りに入った。


 

大野は、睡眠不足の重い頭を抱えながら起きた。スマホの時間を見る10時を回っていた。

『5-6時間は寝れたかな?・・・』

とゆっくりと体を起こす。この年で半徹夜みたいな事をすると疲れが全然取れなくなっていた。

畳みで雑魚寝をしたせいか背中も酷く痛む。障子の音を立てない様に少し開けて、隣の結衣を

確認する。



よっぽど疲れているのかまだ眠ったままだ。結衣が起きたら、警察に行くように説得するか?。

しかし昨日の涙を流す結衣の姿が思い出され、大野は思いとどまった。取りあえず数日様子を見て

それからまた考えよう。大野は静かに部屋を出るとベランダの洗濯機を回し始めた。



バタバタと音がする、『 ウーン、なにぃ? 』重い瞼をあけて、結衣は周りを見渡す。

『 知らない部屋だ! 』

記憶が一気に蘇る、そうだ昨日、大野さんの家に泊めてもらったんだ。飛び起きて上半身を

布団からだす。音の元は大野だった。大野はGパンとTシャツに着替え、洗濯物を干していた。



「 ごめん、起こした? 眠かったらまだ寝てていいよ 」 申し訳なさそうに大野が結衣にいう。


「 お、お早うございます・・・あの今、何時ですか? 」


「 お早う えーっと、いま? 昼の12時かなぁ 」大野は、壁に掛けてある時計を見ながら結衣に伝える。


「 12時!! 」時間を告げられて、結衣が驚く。泊めてもらった上に、昼の12時まで爆睡してしまった自分を恥じる。いくら疲れていたとはいえ、半日も寝たことになる。


「 す、すみません 起きます 」 結衣は布団から出ると、ササっと布団を畳む。泊めて

もらった上に昼まで爆睡してしまった。だらしない娘と思われてるに違いない! 恥ずかしさで

顔が赤くなっていくのを感じる。

 


結衣が起きたので、二人は遅い朝食、正確には昼食をとった。トーストとコーヒーだ。これも大野が

用意してくれていた。一人爆睡した挙句に、昼食(朝食?)まで準備してもらい結衣は恐縮至極だ。


「 本当にすみません 」 結衣は昼間から早々、大野に謝罪する。


「 いいよ 昨日軽い熱中症みたいになってたし、疲れがたまってたんでしょ 」

 大野は、謝罪する結衣にストップをかけ、食事を勧める。


「 ご飯を食べたら、買い物に行こう 買いたいものある? 」 大野は結衣に確認する。

昨日宣言しておいた布団セットは第一候補として、同居人が一人増えるとなると結構もの

入りである、歯ブラシ、洗面セット、結衣は女性なので女性専用の細々したもの必要だろう。

二人は、食事を終えて外出の準備を始めた。この時に大野からひとつの提案があった。



「 あんまりマンション内で人に会うことはないけど、俺と川村さんは叔父と姪って事にしておこう

  兄夫婦が海外に旅行にいったので、夏休みの間だけ、兄夫婦から預かってる そういう事に

  してもらえないかな?」

  大野からの提案に


「 判りました 」 と結衣は答えたが同時に


「 叔父さんって、普段からいった方がいいですか?」 と聞いてきた。大野は叔父さんと言われるとオジサンになった感じがして妙な気分になる。確かにオジサンの年齢なんだが、真正面から人に

叔父さんやオジサンと言われた事がないので、対処に困ってしまうのだ。


「 そうだね 周りに人がいる時は叔父さんで 部屋の時は大野さんで頼むよ」


「 判りました 」結衣は笑顔で答える。結衣は自分に必要なものをメモに書き込むと


「 大野さん、準備出来ました 」 と元気に大野に告げる。

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