こんなことって…
いや、あり得ない。てかあり得たらダメだろ!?何で俺が、お、女になってんだーーーー。
事の発端は、いつも通り変わらないと思っていた日常から始まる。
俺、白石光夜はごく普通の男子高校生だった。
「行ってきまーす!」
いつもの時間に家を出て、徒歩20分の珠洲高校へ向けて出発した。
「あれ?いつもは通れるのに、通行止めになってる。しょうがない、まだ余裕あるけど、一応急がなきゃな。」
この時点で、あの道を選択しなければ、いつもの変わらない日常を送ることが出来ていたかもしれない。
だが、この時の俺はそんなこと知る由もないのだから、回避は出来なかったんだろう。
「いつもと少し違うけど、まあ、間に合うかな、この調子だと。」
腕時計の時刻を確認し、そう呟きながら歩いていた俺の前に、突然それは現れた。
「ん?変なところから何か…しっぽ??」
そう、しっぽがぷらーんと宙から垂れていたのだ。しかもフリフリ動いている。。
「うっ、触ってみたいけど、何かあからさまに怪しいし。よし、やめとこう‼」
凄く触りたかったが、怪しさ満載過ぎて流石に手は出せなかった。無視して通りすぎようとしたところで、急に足を引っ張られ、先へ進めなかった。
「え、ま、まさか。」
恐る恐る足を見てみると、さっきのしっぽ?みたいなのが巻き付いていやがった。
「いやいやいや、ちょっ、離せ、離せよ‼あ、もふもふだ。さっき触るのやめたのに結局触っちまった。…取れない。」
必死に取り外そうと頑張っていた俺を無視して、今度は何やら地面が光だし、そこへあろうことか、このしっぽ?が引きずり込もうと俺の足を引っ張りだす。
「ちょっ、え?いや、マジで何これ!いやいやいや、行きたくない、嫌だあぁぁぁ」
そうして俺は光の中に半ば無理やり引っ張りこまれてしまうのだった。