その頃の千歳
やばい、どうしよう、華波ちゃんと付き合えた。
あの練習試合の日一目惚れして……。
手の届かない存在だと思ってた。
「キス……無理やりしちゃったな……。」
あまりの嬉しさにしちゃったけど、さすがに迷惑だったよね。はあ……。
「千歳どこ行ってたんだよ」
「あ、はるちゃん。ごめんって。」
この人は僕の友達であり、僕とよく似てるって間違われる柘植陽哉。
小4の時に転校してきたんだ。
「てかお前随分嬉しそうだな。なんかあったのか?」
「練習試合の日にはるちゃんと間違えた女の子いるでしょ?あの子と付き合ったんだ!」
「……………へぇ。」
「はるちゃんどうしたの?」
「いや……………別に、」
はるちゃんはきっと華波ちゃんが探している”はるや”くんだと思う。
でも不思議な点がある。
華波ちゃんの幼なじみの”はるや”くんが引っ越したのは夏休み。
この人が転校してきたのは小4の4月。
それまでの間一体何をしていたのだろう。
「ねぇ、ははるちゃん」
「どうした?」
「やっぱり何でもない。」
「そか。てか行こーぜ」
「うん。」
こいつが”はるや”くんなら聞きたいことは一つだ。
『なんで連絡の一つもしなかったのか。』ってこと。
「はるちゃん、前言ってたよね」
「何を?」
「探してる人がいる、って。」
「おう、」
「それって華波ちゃん?」
「……………は?」
「いや違うならいいんだけどさ?」
「確かに同じ名前だけどお前の彼女の華波さんとはまた別人だぜ。」
「ふぅーん。」
お互いに顔は合わせてないからきっとこういう風に言うんだろうな。
「はるちゃんも早く彼女作りなね」
「まだ中1だぜ?はえーよ。」
「はいはい笑」
陽哉がもし華波ちゃんの探してる”はるや”くんだったら……絶対に渡したくない。
あんなにも辛い思いさせた人に渡したくない。




