サクラのアメ
4月某日。
俺は通っている高校に登校している。
いつもならいるはずの口やかましいその他モブどもはいない。なぜなら、まだ春休みであり、布団の中で惰眠を貪り尽くしている(予想)だからである。
その代わりにいるのは、高校生より声も大きさ(その他諸々ここは当人のプライバシー的なものを害するので閉じる)も違う幼女である。
内心ドキドキしている。先日のジャスコの一件のせいで、性犯罪者じみた光景なのではと思っている。
隣を見る。
綺麗な金髪をした幼女である。どこに出しても恥ずかしくはないが、今一緒にいる俺はどこにも出せない位に恥ずかしい。
春のまだ少し冷たい風が吹く。
桜の木々が揺れ、俺たちを校舎へ出迎えてくれる。
そして、桜達でなくもう一人俺たちを出迎える撫子が揺れる。
「おはようございます。翔さん。お隣の女の子は誰ですか」訂正ラフレシアです。殺気的なサムシングをとばす撫子なんてお断りだ。
「おはよう。染井。こんなところにいて大丈夫なのか、生徒会長様が」挨拶を返す。もちろん後半は無視。後で香坂先生から話すだろうし、コイツと話すのは疲れる。
「あら、心配してくだれるの。嬉しいです。ところで、その子誰ですか?」
困った。こうなるとしつこい。その上。。、こいつは俺に女性との付き合いを異常なまでに制限する。少し前には廊下で世間話をしただけなのに、その女生徒が学校に来なくなった。このヤン娘には口が裂けても言えない。同棲している血の繋がりのない幼女だと言ってしまったら白は殺されて、俺は一生監禁。自由を奪われてしまう。
そこで、 「知り合いの子供を預かったんだよ。今日一日」と嘘をつく。
困り顔スマイルも忘れずに。しっかりと。
これにより、当社比30%ウソっぼさをカットできる。
効果のほどは...
「流石ですね。翔さんは、心優しいです」と可愛い笑みを浮かべて悦に浸っている。
大成功だ。ここまで来るとちょっと自己嫌悪してしまうからやめてほしい。
白の方を見ると、訳がわからなかったのか、きょとんとした顔をしていた。
命の危機だったとは言えないが。
とりあえずこれから起きる面倒事から目を背けながら、外の桜に目を向けると、手を降っていた。