たまには異世界らしく
古今東西ありとあらゆる神様仏様悪魔様。
…誓うよ。
例え今後如何なる災難が降り掛かろうとも、
私は決してマスターを裏切らない。
すげーいたくてくるしくてあたまおかしくなりそうなくらいこわかった。
今この瞬間正気を保っている自分が不思議すぎる。いや、もはやとっくに狂ってるのかもしれないが。
とにかく、あんな自殺行為は二度とやらない。今後仕事中に肉親とか恋人とか出て来ても絶対に見捨ててやる。
「気合い入ってるねえキティ」
「…久々の仕事だしね」
激励するように背中をポンと叩かれて一瞬硬直したが、すぐに持ち直した。お仕置き後暫くは悪魔に触れられるだけでトラウマが蘇り、嘔吐や失神などを繰り返していたが私も成長したものだ。慣れたとも言う。やっぱり私の精神はオリハルコン製だったのかもしれない。
お馴染みの黒い扉を潜ると景色が一転する。扉を閉めて辺りを見回すとどうやら何処かの森の中へと放り出されたようだ。お仕置きリターンズ放置プレイ編かとも思ったが、地面には人の通った形跡がしっかりと残っており、ひとまず足跡を辿って行けば遭難する事はなさそうだ。
歩きながらポケットを漁るといつも持ち歩いてる携帯の代わりに謎のカードが入っていた。ご丁寧にギルドカードなどと印字されていて、その時点で顔を顰めざるを得ない。
そりゃあ私はタフですよ?死ぬ程無茶出来ますよ?だからといって無双出来る程の身体スキルも魔法スキルも皆無なのだと、何度言えば。
ギルドカードを鬱陶しげに爪で弾くと、なにやらカードが光り出し空中に文字が浮かんで来た。
名前:キャロル
性別:女
レベル:15
職業:狂戦士
「おい」
誰だ職業決めた奴出て来いって悪魔に決まってるだろうちくしょう。
つい数分前に下僕宣言をしたのを撤廃したくなる酷さである。
理屈はわかる。魔法使いや僧侶にするのは論外だし、戦士や格闘家なんかも無理がある。だからと言って他に何かなかったのか!ヒャッハー言いながら敵に突っ込む役とか嫌なんですけど…!
「…ヒロインにドン引きされる予感しかしない」
その後所持品や出身地なんかも併せて表示されたが、特に不審な点はなかったので重要部分を記憶に留めて後は流し読みする。
もう一度軽く爪で弾くと浮かんでいた文字は空中から消え去った。現時点で所持品内にヒロインの情報が記載された物を何一つ持たされていないという事は、十中八九宿を探すより先にヒロインとの遭遇がありそうだ。持ち物の確認されても問題ない状態なのだし。
などと、脳内でフラグを立てたおかげか、少し木々が開けた場所で待機中の見目麗しいパーティーに遭遇した。大方の予想通り警戒をされている。お、ヒロインらしき人見っけ。
ひとまず警戒を和らげる為にパーティーメンバーの一人と目が合った直後に、全力で土下座をした。
「すみません助けて下さいいいい!!」
今回の設定は無害かつ貧弱な訳有り冒険者といこう。同行する理由が正直ないのだが、ストーキングもだるい事だし適当に理由を付けて潜り込むしかないか。さーて、どうやってこじつけようかなあ。




