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最終話『帰る場所』

 季節はすでに春となったある日のこと、俺が目覚めた場所は……繁華街のゴミ置き場だった。


「ん〜が〜頭が痛い。ココは何処だ?」


確か大学の友達と久しぶりに飯を食いに行って、夜はカラオケ行って……居酒屋行って……ん〜?

ダメだ思い出せん。きっと酔いつぶれて寝てしまったのだろう。


で、俺一人だけか……あのバカ野郎オレを見捨てやがったな!

「え〜此似手完助、迷子であります」


《2時間後》

ありえん! さっきから同じ所を何度も歩いてる気がする。


繁華街をさ迷い続けたが、何度も同じ看板の店が確認できる。

それに人の姿もない……それに。

「霧……濃っ!」


まさかココは間様から前に聞いたことがある幻の都『メビウス』。ケータイの電波も無ければ、決して人とは出会えないと言われているらしい。

この霧が何よりの証拠で、神出鬼没らしく……まるで神隠しだ。

「お〜い誰か助けてくれ〜! 妹よ〜! 間様〜! …………」

俺はクタビレ荘の皆の名前を順番に叫び続けた……声が枯れるくらいに何度も何度も。


「グルルルルッ!」


グルル?

背後から感じる嫌な気配……だが、あまりの寂しさに俺は恐怖を捨てて振り向いた。


「なんじゃコリャ〜!!」


実にシンプルに説明しよう。



一つ目怪獣が現れた。


「グルァァァァァ!」

「ぴぃぎゃああああ!!」

忘れててスミマセン! コメディだってこと忘れててスミマセン!

「冗談じゃねぇぞ! 最終話で食われて死ぬのは嫌じゃ!」

まだ管理人と恋に落ちて『1つだけお願い……1日でもいいから私より長生きして』って言われてないし、宇宙人の少女と禁断の恋とかしてないし。何より双子の姉妹とあんなことやこんな……。

「ぶへっ!!」


怪獣のメガトンパンチが俺の体を軽々と吹き飛ばす。

つーかナイスなツッコミだ。俺の脳内暴走を見事に止めてくれた。

こんな形で出会わなければ相方にしたいくらいだぜ。


しかし避けることに関しては神的だった俺も……もはやココまでの男だったというワケだ。妹よ、こんな情けない兄を持ってすまなかった。俺のことは忘れて一人でコレからの人生を生き抜いて……。



「……兄さん? こんな所で何してるの?」

霧の中から現れたのは……やっぱり何でもありな我が妹、此似手終羽里。

だが、さすがの終羽里でもこのメビウスに来れるものなのか?

まさか幻?

「お前本当に終羽里か?」

「……うん」

「今朝何食った?」

「……サンドイッチ」

「何個食った?」

「……151個」

ポケ〇ンか!?

「俺のことは?」

「……好き」

「グレイト!」


120パーセント終羽里だ。一瞬だけでも疑った自分が情けない。

だって俺に話しかけた時点で一つ目の怪獣を瞬殺しているところが、完全に終羽里ではないか!

「終羽里〜助けに来てくれたのか〜」

俺は涙を流しながら妹に抱きつく。他者から見たら情けない光景だが、もはやそのようなプライドはクタビレ荘に暮らし始めてからとっくに捨てている。


「……うん。ほっといたら兄さん最終話で無理矢理食われたりして死ぬようで危なっかっしいもの」

「まさにソレでした今まさに!」

「……兄さんには帰る場所があるじゃない。せめてそこで死ぬべきよ」

え! 死ぬことは決定されてんのか妹よ!


「……行こ……兄さん」

「ん……あぁ、でもココから出られるのか?」

「……大丈夫。ゲート作るから」

うそ〜ん! ゲートってそんな簡単に作っていいものでありますか!?


「とにかくココとはおさらばだ。俺には帰る場所があって、騒がしい連中とまたバカやらないといけないからな」

「……そうね」


帰ろう。クタビレ荘へ。


終羽里が手をかかげると、掌から光が漏れ出しみるみるうちに霧が晴れていく。


そして虹色の球体が現れ、終羽里とともにその中をくぐった。



抜けた先は今にも崩れそうなアパート。あの毎日が騒がしいアパート。


とんぼ町にある我らがクタビレ荘。


階段を駆け上がり、俺は201号室の扉を勢いよく開けて叫んだ。



「ただいま〜!!」



おかえりなさい此似手完助。

さぁクタビレ荘の愉快な日々をまた供に築きあげようではないか。

『続・クタビレ荘の生活』

まずは無理矢理な形で終わらせてしまったことをお詫び致します。

未熟な身でありまして、連載を長期に渡って止めたりしました。たくさんの誤字もありました。

でも本当に楽しく書かしていただきました。読者の方々に少しでも楽しめていただけていれば幸いです!

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