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10話『危険なのは海じゃなくて〜後編〜』

 海に到着しました……かろうじてですがね。

「あら〜アレね、間様が言ってた海の家って?」

愛子さんが指をさした先には大量のサンゴ礁を屋根の上にのせた海の家があった。

「綺麗なサンゴ礁もあれだけあれば気持ち悪いの〜ハッハッハッ!」

笑うところじゃねぇぞジジィ。

なんで筋肉ムキムキのアンタが荷物一つだけなんだよ……こっちはパラソルやらなんやら持たされて死にそうだぜ。

くそ〜全て俺に押し付けやがって、このクソ忍者め!

「なにか俺に言いたそうな目だな完助」

タバコをふかしながら俺を睨み付ける結衣さん。


「なんでもありませんよ」

ゆっくりと……だが確実に海の家に近づき、先に着いていた間様が手招きをする。

海に来ている人はたくさんいるのに何故か一つの大きなテーブルが空いていた。

そのテーブルの上にドサッと荷物を置く俺。


「ん? 予約席……八乙女やおとめ 千年ちとせって誰なんだ?」

「私の本名じゃ完助殿♪」

「えぇぇ!!」

ついに明かされた間様の本名。そんでもってコードネームがフェノクロス……実にややこしいッス。

……だが新たな疑問が生まれてしまったな。

なんで‘間様’なのだろうか?


《砂浜》

俺は用意していた海パンを着用して砂浜をうろつく。

間様は予想通り海の家に残り、結衣さんも間様の側で警護……と言っているがカナヅチを隠すための言い訳だろう。

去年のプール同様、見たかったな……水着姿。

ジジィはすでに泥酔。あまりに早すぎるジジィの飲酒に呆れる愛子さん。

とりあえずほっとくに限るな。

「ん? 恥芽?」

砂浜で座り込んでいる恥芽を発見。晶子車では怖い思いさせたし、一緒に遊んでやるとしますかな。

「おう恥芽! 何して遊んでんだ?」

「あ、お兄ちゃん。うん……何しようか悩んじゃって」

「泳がないのか?」

しまった、そういえば恥芽はプールに行った時も泳げなかったっけか?

「前よりかは泳げるようになったんだけど、今はちょっと疲れちゃって」

「なら仕方ないな……よし恥芽、何がしたい? スイカ割りか? ビーチフラッグか? それとも近場の林立地帯でセミ取りか?」

「じゃあ碁石並べ」


めちゃめちゃ地味な遊びじゃん。

ヤバい……明らかに場の空気が重くなってきたぞ。

「……ブツブツ」

お? フラフラと歩きながら呟いている拳使郎を発見。

「お〜い拳使郎! 一緒に遊ばなっ……」


拳使郎の体から漏れだすドス黒いオーラに俺は言葉を詰まらす。

拳使郎はクルッと振り返り、俺達を見つめて言った。

「安西先生……バスケがしたいです」

終羽里の件で完全に壊れてやがるなコイツ。

《海岸》

ん? あれは俺が用意したブルーシートじゃないか? 何故に海岸に放置されてるんだ?

「あのブルーシートの上でアタイにオイル塗ってくれないアルか完助?」

俺の背後から現れた巨乳シェオルン、見事に俺の背中にその胸がムニュと当たり心地好い感触だ。

「よ、喜んで〜!」


そうか、あのブルーシートはそのためのものか。作者のヤツめ、たまには俺にもおいしい思いさせてくれるじゃないか。


ガスッ!


「げはっ!!」

その胸に飛び込もうとした瞬間に後頭部に衝撃が走った。

「てめぇ阿呆豚! 何しやがるコノヤロー!」

「目がエロイんだよ、キサマには絶対にやらせねぇ」


「だったらボクが塗るピョン」

あれ? 晶子車暴走事件で死んだんじゃなかったのか? このウサギ?

「ボクの黒魔術でパーフェクトな塗り心地を味あわせてあげるピョン」

「いや〜ん、楽しみアルよ」

ん〜なんか良い感じに壊れた雰囲気になってきたなコレは。

「とりあえずウサギを止めろパンダくん」


「てめぇの命令じゃ乗り気にならねぇが仕方ないな」


ゴスッ!

「ビョッ!」

阿呆豚のハンマーパンチが炸裂し、ピョン太は地面にめり込んだ。

「アタイを巡って争うのはやめてほしいヨ」

頬を赤らめて照れるシェオルン。

もぅ馬鹿馬鹿しくて付き合いきれんな。


《浜辺》

コレだ!

海といえば、まさにコレと言っても過言ではない!



水着!


そう、美女の水着姿を見るために海があると言えるだろう。立花姉妹の水着姿は太陽より眩しいほど美しい。

いや……言い過ぎた。

しかし美しいのにはかわりなく、今回はさらにシェリカちゃんの水着姿も見れてレアだ。

ティールじゃなくて良かったぞ。


そして。気合い入りまくりの迷彩柄の海パンと、その海パンに良く似合う筋肉。実に惚れ惚れして……し。


「って、オイそこの軍人」

「なんでありますか完助ボーイ」

俺の右手が容赦なくチャールズ大佐の首を掴んだ。もはやコレは反射的にと言える。

「テメェのせいで美女の花園が台無しだ」


「なんのことですカ?」

「ようするに場違いなんだよテメェは!!」

俺は掴んでいた右手を海に向かって振り下ろし、チャールズを投げ飛ばした。

「アアァアアァ!!」

ドボーン!


その距離三十メートル。人間やろうと思えばやれるものだな。


「……で、見物料として。あなたの首を貰ってもいいのかしら?」

背後には麗華ちゃんがまさに今、刀を抜こうとしていた。

「あれ? いつの間に? 海で三人、ビーチボールで遊んでたハズじゃ?」

「ふふっ、死ぬ人間が今さらそんなこと聞いても意味がなくてよ」

「姉さん……とりあえず落ち着いてね」

「そーですの、人殺しは良くないですの」


ん〜恵理華ちゃん、シェリカちゃん。なんかもう彼女に何を言っても止まらないと思いますよ。

「最近暴れ不足ですのよ!」

シャキーンと音をたてた刀が俺の首に斬りかかった。

「嘘つけ暴れ過ぎでしょ〜が〜!」

間一髪で俺はしゃがみ込み避けたが、二撃目が直ぐ様やってきた。


キィィィン。

その時、二人の少女が俺を護った。

見たことのある槍が麗華ちゃんの刀を止めている。

「おぉ! 終羽里! シュバリエさん!」

助かった〜。

「フン、まぁ今回は見逃してさしあげますわ」

さすがに麗華ちゃんでも、この二人にはただでは済まないことが分かっているようだ。刀を収めて去っていった。

「……大丈夫? 兄さん?」

「いや〜本当に助かった」

しかし、なぜ麗華ちゃんがあんなにもピリピリしていたかは本当に謎だ。

「そういえば完助。晶子がオマエを探していたぞ」

槍を片手にシュバリエさんが言った。

なんか嫌な予感がするな。

《水上バイク置き場》

「はぁ〜い完助くぅ〜ん。ウェルカ〜ム」


ビバ予感的中!

「あの〜晶子ちゃん。状況が飲み込めないのですが」

「見たままやで完助君。特別にウチの水上バイクテクニックを体験させてあげるんよ」


遠慮させてください!


……と、言う前に俺の体は晶子ちゃんの手によって水上バイクに乗っていた。

晶子ちゃんの運転する水上バイクの後ろに股がりながら、俺は声が渇れるまで叫び続けた。



「いっそ殺してくださぁぁぁい!!」

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