私は猫【ノエル】
しーずー(静)&猫
略して静猫?(笑)
あっでもでも表記的には
静×ノエルだよね!w
ってな訳で、静視点と対になるノエル視点です。
私の大切な白猫、フィーア。今は私の武器に関わった張本人ならぬ張本猫。
ツンとすましたその態度、上品なあの姿が私の憧れだった。だから小さい頃から、「フィーアみたいになる」のが夢。今ではその夢はある意味で達成したと言える。
今日もフィーアの夢――。
私の手から逃げて走っていくフィーア。私をたしなめるように、時々振り返って。でもその先に行ったら貴女は――!
飛び出した白猫は、一直線にすすむ。そしてその先には憎むべきあいつの姿が――あれ?
居ない?
代わりにその猫を抱いたのは、静だった。
静に抱かれたフィーアは、私の方を見て嬉しそうに喉を鳴らした。
「んっ・・?お前珍しいな」
何だか一瞬だけフィーアが憎たらしくなった。でも何故?私はあのポジションに憧れてなんて・・・もしかして、嫉妬してるの?
私は目を覚ました後も、その感情について考えていた。いいえ、考えないとすまなかった。
とりあえず鞄に友達に配るものを入れて学校へ向かった。
時計を見てみるとどうやらいつもより早く家を出たらしい。考え事をしていた私に時計を見る余裕はなかったようだ。
このままだと早く着きすぎてしまうと考えた私は、近場のコンビニに入った。店内はやはりバレンタイン一色だ。まぁ、これも今日で終わりだが。
私は何気なくバレンタインチョコの置かれた棚を見る。すると『素直になれない人はこちら!』という変な付箋が目についた。
所謂一口サイズのチョコレートだ。よくツンデレとかいう萌え属性の子が「べっ、べつにあんたの為じゃないんだからねっ」と言い渡すようなアレだ。
・・・気になる。
一度その場を離れても、すぐに振り返ってしまう。もしかして自分用のチョコレートが欲しいという衝動?
結局私はその小さなチョコレートを一つ買ってしまった。(それだけを買うのは申し訳ないのでカイロも買った)
カイロの袋を開け、早く温まれとばかりに振る。しかしそう簡単にはいかない。私はそっとポッケに忍ばせて学校へ向かった。
学校に着いた私は、前日に作った友達用の袋を女子に配り、逆に貰ったりしながら過ごした。教室に男が居なかったのはラッキーだ。それはともかく、先生までいない事には流石に驚く。
「今日は特別授業って事で、先生はお休みで~す!」
事情を知っていそうな璢娘が嬉しそうに言った。ぶりッ子ポーズも彼女からすれば普通。
「あ、月華ちゃんおはようっ♪はいっ、友チョコよん♪」
さっき来たばかりの月華の元に、女子が集まる。暫く友チョコ交換を眺めていた私は途中で飽きてしまい、その視線を窓に向けた。
「きゃ~~~ッ!!!」
何やら外が騒がしい。校門の方に女子の軍団が集まっているのが見える。どうやら男子が登校してきたらしい。
女子のお目当てはきっと、あのモテ男や璢夷や紫綺に決まってる。どうせ静みたいな奴にあげる子なんていない。
それにしても(男子が)誰もあがって来ない。何事なの?
ガラス越しに女子の群がりを覗いていると、アイツが視界に入った。なに食わぬ顔で女子の群れを通りすぎようとしている。しかし、急に動きが止まった。ひょっとして、アイツにチョコレートをあげる子が?
暫くして、アイツは教室に到着した。
「おはようございます。」
「・・・・。」
月華ちゃんの挨拶をシカトして席に向かうアイツ。失礼にも程がある。・・・と思ったら、アイツは一点を見つめたままで硬直した。その一点というのは月華ちゃんがつけているネックレスのようだ。
その行動が気になった私は、月華ちゃんを見た。何故か微笑んでいる。そして次にアイツを見てみるとふい、と横を向いた。
あの二人、何かあったのかしら?
込み上げる謎の感情を必死に抑えつけながらも、口からは本心とは逆に、挑発する言葉が出る。
「な~に黙ってるのよ。まさか緊張してるの?」
机に座っままの問いに彼は反応を示さなかった。もしかして図星、なの?
「あ、図星かしら?珍しいわね、反発してこないなんて」
反発してこないアイツなんて変!気持ち悪いわ。
「今日は本調子じゃねーんだよ」
何かあったかのような仕草を見せているアイツだけど、あの言葉は嘘。・・・正直になればいいのに。
その瞬間、さっきのチョコレートが頭に浮かんだ。自分用に買ったはずなのに、それは私の手から離れていく。
「ふぅ~ん。じゃあこれでも食べて元気になればいいんじゃない?私、友チョコしか作ってないからこれしかないけど。」
言葉も勝手に紡がれていた。これが私の本心、なの?
反射的に投げた小さなチョコレートをアイツは片手でキャッチした。
普段だったら無視するはずなのに。おかしい。
「一応お礼は言っといてやるよ。有り難な」
しかもお礼まで言うなんて。一体何が起こっているの?
「明日は雪が降るかしらね」
こんなに珍しいこと、そうは起こらないわ。
「そうだ。俺からもこれやるよ。丁度あげる奴居ないしな!」
チョコレートをまた投げてくるとはアイツらしい。そう思ってキャッチしたそれは、チョコレートではなく小さな袋だった。
「? 何よ、これ」
聞いても何も言わないアイツが渡すものにはろくなものがないと私は考えた。袋が可愛いこともあり、私はアイツが違う女の子からもらったチョコレートだと推測。
『こういうのを作れよ』なんてアイツが言いそうな台詞だし。 とにかく、私はその袋に何の期待も抱かないまま袋を開けた。その瞬間、さっきまでの推測は音もなく崩れた。
「!!」
袋の中に入っていたのは、私が昨日眺めていたネックレスだった。
とても可愛いと思ったが、値段が相当しそうな為、手が出せなかった代物。何でアイツがこれを?しかも私に?
「ふ、ふん。あんたにしては上出来じゃない」
本当は、満面の笑顔で有り難うといいたい所。でもアイツにそんな顔を見せたくない。だから虚勢を張った。けど。
「そりゃどうも。じゃ、俺帰るわ」
アイツはそれに対して何も言わずに帰ろうとした。
ピンポイントで私にこれを渡したということは、私があのネックレスを眺めていた事を知っているはず。ため息をついてその場を離れた私も見ているはず。だったら、私がこれを喉から手が出るほど欲しがってしたのは簡単に分かる。
なのに、まぁまぁねというような私の評価に何も言ってこない。どうして?
こっちを一度も振り返らずにそのまま廊下に向かうアイツを見て、私はアイツを追うようにして廊下に出てしまっていた。
それを見たアイツは、明らかに「げっ」という顔をした。その顔は――仄かに赤い。見間違い?それとも本心?
階段をかけ降りていくのを見て、コースが分かった私は先回りをした。猫化を使えばどうってことない。
先回りしていく道を塞いだ私は、アイツに問いかける。
「なんで・・・逃げるのよ。まさかお礼を言わせない気?」
「だとしたら?」
アイツはさっきのお返しにと挑発気味に聞き返してきた。私は何も考えずに浮かんだ言葉をそのまま返す。
「・・・それはそれで上等。で、どうする気?」
アイツは答えないまま、また走り出した。逃げるつもりだ。でも、そうはさせない。伝えないまま、伝わらないままにさせたくなんてない。私は逃げようとするアイツの腕を咄嗟に掴みすぐに止めた。
「何だよ――――っッ!?」
そして――、彼の頬に軽くキスをした。多分視界からしてアイツには見えてない。気付くか気付かないかは、アイツ次第。
大胆な行動をした後、私はすぐに手を離した。逃げるかどうか見ていたが、アイツは何故か硬直している。まさか、気付いた?
私はアイツを正面から見つめた。急にさっきした事がフラッシュバックして、何が何だか分からなくなる。そういえば、何で私ってばあんな事を――!
その時に見たアイツの顔は、『驚き』と『恥ずかしい』という感情が入り交じった、そんな顔をしていた。
「何よ、そんな顔してっ・・・」
思わず本音が洩れる。そんな顔反則よ。顔が赤い、なんて。
「お前、顔が・・・」
やっと我に戻ったらしいアイツが急に話し出した。しかも、私を直視して一言洩らしたのが、『お前、顔が・・・』?今私はどんな顔をしているというの?
すぐ横にあった窓を横目で見て確認してみる。窓に映った私の顔は、林檎のように真っ赤だった。自分は至って冷静だと思っていた私は焦る。
「べっ、別にそういう訳じゃないんだからねっ。男にプレゼント貰うなんて日常茶飯事なんだからっ」
そんなこと、ない。男性とそもそも関わろうとなんてしないし。
本当はね、凄く嬉しかったの。貴方からのプレゼントが。ネックレスが理由じゃない。貴方の気持ちが分かったような気がするから。
“私達、似た者同士ね”
「・・・来年は、ちゃんと作ってあげるわよ」
俯きながらボソッと呟く。声に出してはいないから、付け足しておくわ。
“来年は、ちゃんと作ってあげるわよ、本命チョコレートを”
だから、嫌いにならないでよね。でもって、今のままでいて。
「・・・楽しみにしておくよ」
――そんな声が聞こえた気がした。
それにしても、飼ってる猫の名前……
静はフィア。
ノエルはフィーア。
似てるよね(笑)
しかも素直じゃない所も。
そんな彼らが私は好きかな。




