24 騎士「船」
勇者「なぜ銃使いなのに剣を扱えるのか不思議で仕方ない」
ガンナー「お前とは出来が違うんだよ」
勇者「知ってるよ」
魔法使い「もしかしたら剣でも勇者よりガンナーの方が強いかもね」アハハ
勇者「うっ」ドキッ
僧侶「どうでしょう。ああでも、あの海賊さんと互角以上に戦えますから……」
魔法使い「勇者って海賊さんより強いの?」
ガンナー「んなわけねーだろ。アイツ協調性ないけど単体だと剣士より強いぞ多分」
勇者「そういえば海賊さんって普通に若いのになんでガンナーは老けたとかどうとか言うんだ?」
魔法使い「その前にあの人何歳なの」
ガンナー「アイツ確か二十六か七だよ」
勇者「うろ覚えかい。ところで剣士は?」
船員C「剣士さんなら酔いが醒めてきたらしくて厨房の方手伝ってますぜ。中々手際いいんで大助かりッス」
勇者「あ、Cさん」
ガンナー「なんでこいつ当たり前のように部屋に来てんの?」
船員C「いやぁ、それにしてもガンナーさんかっこよかったッスよ! 剣を手に巨大イカへ突っ込むなんて俺にはできねぇッス! マジパネェ。……まあ俺としては吟遊詩人さんの奮闘する姿も見たかったッスけどねぇ……揺れる双きゅゲフンゲフン」
船員D「そんな事より七並べしようぜ」
~翌日~
海賊「もうじき南大陸に到着する。すぐ出られるようにしておけ」
勇者「はーい」
海賊「ガンナー……は寝てんのか」
ガンナー「Zzz」
勇者「あ、寝てたんだ」
魔法使い「さっきまで『ハンモックまじ楽しい』とか言いながら揺れてたけどね」
剣士「揺らしすぎて一度落ちてたぞ」
海賊「なんだそれ超見てぇ……」
魔法使い「勇者はすぐに落ちてたね」
剣士「乗るのは手伝ったけど結局朝になったら落ちてたな」
海賊「思わず写真撮ったわ」ホレ
勇者「いつの間に!?」
海賊「つーかなんで落ちたんだ?」
勇者「……いやなんか、ガンナーが結構楽々乗ってたから、結構安定してる物なんだと思ってた」
海賊「お前等の基準で考えるのは間違ってるぞ」
勇者「ですよね」
魔法使い「まあでも、ちょっと動いただけで結構揺れるよね」
勇者「落ちるの怖いから寝返りができなかった」
剣士「無理せずベッド使えよ」
海賊「ある意味すげーな」
僧侶「バランス感覚を鍛えてみてはいかがでしょう」
勇者「どうやって?」
僧侶「」聖書
僧侶「くれぐれも落とさないようにしてくださいね?」ニコッ
勇者「えっ」
ガンナー「寝て起きたらなんか面白い事になってた」
騎士「……」
吟遊詩人「あれは何をしてるのかしら……」
勇者「」プルプル
ガンナー「勇者が頭に聖書乗っけて変なポーズ取ってる」
騎士「聖書」
吟遊詩人「歩こうとしてるんじゃない? 全然動いてないけど」
魔法使い「勇者がんばれー」
僧侶「あと半分ですよ」
海賊「お前ならできるぞー」
剣士「……」読書
勇者「おおおい剣士完全に飽きてんじゃねーか!!」
ガンナー「なんで聖書なんだ?」
僧侶「普通の本より分厚い分重いですし聖書ですから落とすわけにもいかないでしょう?」
魔法使い「つまり本気になれるってわけだね!」
勇者「二重の意味で重い」
剣士「聖書を頭に乗っけてて落としたとか後生が悪いもんな」ペラッ
海賊「それ面白いか?」
剣士「まあまあ」
船員C「南大陸には到着したけどもう夕方だしあと一泊してけってお頭が言ってやしたぜ」
勇者「じゃあお言葉に甘えて」
ガンナー「また船に困ったら呼ぶわ、って言っといて」
船員C「俺伝言係ッスか。アイアイサー」
船員D「勇者スピードやろうぜ」
勇者「え、俺あんまりルールしらないんだけどなぁ……」
魔法使い「トランプ好きだね」
船員D「船にいる間はそれくらいしかする事がない」
剣士「いや仕事しろよ」
船員D「だって空いた時間とか退屈でしょ?」
僧侶「え、いえ……教会はスケジュールが詰め詰めですので」
船員D「えー……」
船員C「教会ってなんかめんどくさそうってか怖そう」
剣士「海賊やってるアンタ等がそれを言うか……」
船員D「そんな事より誕生日やろ――あれ、Cの誕生日っていつだっけ」
船員C「ひでぇ」
魔法使い「それくらい覚えておこうよ」
船員D「以前に俺の誕生日いつだっけ」
剣士「それは忘れるなよ……」
船員D「いや、なんかもう船に乗ってたら――」
ガンナー「誕生日忘れたのを船のせいにするなよ?」
船員D「……あらぁ」
勇者「楽しそうだなこの人たち」
~夜、展望台~
ガンナー「……」ボー
海賊「間抜けた顔してんじゃねぇよ」
ガンナー「げ、狭いのにくるなよ……」
海賊「お前がもっとチビだった時はもっと余裕あったのにな。覚えてるか?」
ガンナー「覚えてると思うか? そんな昔の事」
海賊「……あいつらには言わなくていいのか?」
ガンナー「……何の事だ?」
海賊「……」
ガンナー「……別に、隠すような事でもおおっぴらに話すような事でもないだろ。気が向いたら、あるいは訊かれたら言う」
海賊「あっそ。まあ、お前の事情なんて、俺にとってはどうでもいいんだけどな」
ガンナー「どうでもいいならなんで構うんだよ」
海賊「そう言うなよ、俺とお前も兄弟みたいなモンじゃねぇか」
ガンナー「……」
海賊「本気で嫌そうな顔すんなよ……まあ、魔王退治頑張ってこい」ポンッ
ガンナー「さわんな」
海賊「お前昔っからかわいくねえな」