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19 僧侶「ひと息つきましょう」

~アラバの森、泉~


吟遊詩人「着いたわ」


魔法使い「う、うわー、キレ―……」


ガンナー「ここでいいのか?」


魔法使い「うん。……敵なのに、変に仲良くなっちゃったね」


吟遊詩人「いいんじゃないかしら。そういう縁があっても」


魔法使い「……またいつか、会えるといいね」


青色の小魚――アグアは何も答えなかった。


~クリエント、宿~


剣士「帰ってきたか」


魔法使い「吟遊詩人が言ってた泉に放してきたよ。ガンナーのテレポートって便利だね」


ガンナー「三人以上だと疲れる」


吟遊詩人「改めて、皆お疲れさま。……なんだか僧侶以外ズブ濡れだけど、大丈夫?」


騎士「……」


勇者「あーうん、平気」


吟遊詩人「どうだった? 実際に戦ってみて」


ガンナー「銃弾の消費が半端なかった」


勇者「何度後ろに吹っ飛ばされたことか。背中痛い」


剣士「正直最初の一撃が一番痛かった」


僧侶「治癒以外何もしてませんでしたね」


魔法使い「詠唱長いよう」


吟遊詩人「そ、そう」


騎士「魔王の刺客は」


魔法使い「アグアちゃんがお魚少女だった」


吟遊詩人「おおまかなことは勇者に聞いたわ」


魔法使い「金魚!」


吟遊詩人「えーと」


剣士「本来は全く別の生き物だったあの子を石がヒトの姿に変化させていたらしい。だから石を砕いたら元の姿に戻った」


吟遊詩人「……他の人たちもそうなのかしら」


勇者「どうなんだろう」


ガンナー「そうなんじゃねぇの?」


僧侶「可能性がないわけではありませんが……決めつけるのは早計ですよ」


魔法使い「そうなんだとしたら――なんだろう。虫とか!」


剣士「嫌だなそれ」


ガンナー「何、無限に虫を召還できんの?」


勇者「か、考えるだけで寒気が」ブルッ


魔法使い「絶対嫌だね」


ガンナー「別にそういう、相手の正体だとかは考えなくていいんじゃねえの? 戦いに影響があるわけじゃねえし」


勇者「まあ、いきなり魚にもどっても、ちょっとびっくりしただけだよな」


ガンナー「いや別に驚いてはいない」


勇者「あ、そう」


~???~


ドロシー「帰ってこないって事は、負けた――みたいね」


フラマ「ま、所詮はただの小魚だ。俺は負けるじゃねぇかって思ってたぜ」


風「しかし、まさか人間に敗れるとはな」


ドロシー「そう邪険に扱う事ないでしょ。あっちにだって特殊能力があるの」


フラマ「でもなあ」


?「なあんだ、負けたの? アイツ」


ドロシー「アルボル……」


アルボル「ねえ、次は僕が戦ってもいい?」


風「……何故俺に聞く」


アルボル「だって、なんか戦いたそうな顔してるし」


風「どんな顔だよ」


ドロシー「適当な事言ってんじゃないわよ、コイツ顔見えないでしょ。あんた前髪長いのよ切りなさいよ」


風「それは俺の勝手だろう」


ドロシー「どっちが前で後ろかわからないじゃない!」


フラマ「ぶふっ」


風「おい何笑ってんだフラマ」


~夜、クリエント~


ガンナー「Zzz」


剣士「寝たか」


勇者「ガンナーって寝付くの早いよな」


剣士「勇者も早く寝ろよ。……明日起きたらお前筋肉痛とかは――」


勇者「流石にならないよ……」


剣士「そうか?」


勇者「お前本当ガンナーに――逆だったっけ」


剣士「いや、うちの場合は俺がガンナーに感化されたんだろうよ」


勇者「そ、そうだよな、うん。剣士が昔あんなだったとかそういう事はないんだよな」


剣士「ないから安心しろ」


勇者「……あっでもそれって剣士が徐々に変わっていってるって事だから近い将来あんなになるんじゃ――」


剣士「ないから安心しろ」


勇者「で、でも未来のことなんてわからないだろ?そうなることもあるわけで……あああ絶対嫌だあ。剣士、どうか今のまま変わらずにいてく」


剣士「さっさと寝ろよお前」


~翌朝~


勇者「起きた!!」バッ


剣士「いきなり叫びながら起き上がられるとビックリする」


僧侶「おはようございます、勇者さん」


勇者「おはよう」


剣士「……ところで勇者、今日はどうするんだ?」


勇者「どうって?」


剣士「次の街に向かうのか、もう少しここで休憩するのか」


勇者「ううん……昨日は刺客と戦ったんだし、今日は休んでもいいかなって思ってたんだけど――でも結構長居してるんだよな。それに俺たちがここにいるってことはあいつらに知られてるっていうのが心配なんだよな。昼までに別の町に移ろうか」


僧侶「では、騎士達にもそう伝えてきますね」


勇者「うん」


剣士「じゃあもう少ししたらこの猛獣も起こすか」


勇者「っていうか寝起きでその日の予定を決めさせないでくれよ」


剣士「早めに決めておいた方がいいだろ」


勇者「そうだろうけどさ」


~道中~


勇者「魔法使いツインテールだ」


魔法使い「吟遊詩人がやってくれたんだよ」


吟遊詩人「魔法使いはいつもポニーテールだからたまには別の髪型もいいと思って」


勇者「二人とも髪長いもんなあ、それくらいあれば色んな髪型できるね」


魔法使い「似合うかどうかが問題なんだけどね」


勇者「いいと思うけどやっぱりポニーテールの方がしっくりくるなあ」


ガンナー「え? 何? 勇者ポニーテールにしたいの?」


勇者「今の話をどう解釈すればそんな結論に至るのか物凄く気になる」


ガンナー「じゃあポニーテールが好きなのか」


勇者「いや別に嫌いではないけれど好きかどうか聞かれたら……」


剣士「どうした?」


僧侶「髪型の話のようです」


騎士「勇者の」


勇者「違う。騎士初めから聞いてただろ?」


ガンナー「女装した時はポニーテールにしてるみたいな事を言っていた気がする」


勇者「絶対言ってねえ!!」


魔法使い「えっ勇者女装趣味があるの?」


勇者「ないよ。いたって健全な思想を持っている男子だよ……って魔法使いポニーテールに戻ってる」


ガンナー「ポニーポニーうるせえよウマシカ勇者」


勇者「理不尽な言葉の暴力! シカは何処から来たんだよ」


ガンナー「うるせえホースディア」


勇者「言い方変えただけだろ」


ガンナー「ディアホース」


勇者「意味全部同じだろ。シカは何処から来たんだって」


ガンナー「草原」


魔法使い「何? 勇者は何? 女装趣味があるの? それとも実は女の子なの?」


勇者「選択肢が二つともおかしい! 両方ありえないだろ」


ガンナー「いやでも勇者だからなあ……」


魔法使い「ねー」


勇者「何その理由、勇者だったら実は女だったとか女装趣味があったとかあるの?」


ガンナー「えっ女装趣味あるのか?」


勇者「違うから! ちゃんと聞いて!?」


ガンナー「じゃあもうお前は一体何なんだよハッキリしろよ」


勇者「してるでしょ!? 初めから答えは出てるから!」


ガンナー「初めに出てるってことは女装趣味……」


魔法使い「女装系勇者……」


勇者「もおおお伝わらないもどかしさあああ!」


剣士「牛かお前は」


ガンナー「馬か牛かハッキリしろよ」


勇者「論点が一気にズレたぞ今」


ガンナー「知ってるよ!!」カッ


勇者「おおっ!? な、なんだよ急に」ドキドキ


ガンナー「いや別に何でもないけど」


勇者「意味も無くでかい声出さないでくれ心臓に悪い……」


ガンナー「剣士今日昼飯何?」


勇者「無視すんなよぉ!」


ガンナー「勇者騒ぐなよ……」


勇者「ご、ごめん――って、俺が謝る必要はないだろ今のは」


ガンナー「いやなんかもうどうでもいいよ。めんどくさくなってきた」


勇者「お前がよくても俺はよくない」


ガンナー「自分勝手だなあ」


勇者「お前がそれを言うか!?」


剣士「もういいから遊んでないでちゃんと歩けよ……」


勇者「僧侶助けてこの兄弟がいじめてくる」


僧侶「申し訳ありません、私からは何も言えないです。もっと言うなら聞いていませんでした」


勇者「吟遊詩人!」


吟遊詩人「あとはそうね、サイドテールとかいいんじゃないかしら」


魔法使い「そっかー」


勇者「このパーティ内に俺の味方はいないのか……パーティメンバーなのに」


僧侶「そんな事ないですよ。友人だからこそああいうじゃれ合いをするだけで……」


勇者「そう言ってくれるのはお前だけだよ。ただじゃれ合いだとしてもライオンがウサギとじゃれてるみたいなもんだからこれ」


ガンナー「何、勇者友達いないの? 元気だせよ」


勇者「そんな事は一言も言ってない」


剣士「俺はお前の事ずっと友達だと思っていたんだが……お前はそうじゃなかったのか?」哀しい目


勇者「そっ、そんな事ない、そんな事ないよ! 俺は皆の事友達だと思ってるから!!」


ガンナー「でも女装癖あるやつに友達だと思われてるってどうよ」勇者を見ながら


勇者「だからしないってば!」


ガンナー「知ってるよ」


勇者「えっ?」


ガンナー「えっ?」



挿絵(By みてみん)

アグア編終了。

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